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進化と白紙の超能力者  作者: ARS
序列戦
13/24

虚空の感覚

いやー、久しぶりに更新したな。

「結果は良かったけど…」


俺はポツリと呟く。


「何が不満なんだ?

充分な勝利結果だろ?」


グラフト先生は不思議そうに俺の呟きを拾う。

現在、俺はある程度の目星をつけて試合を見てから進路指導室でグラフト先生と話し合っていた。


「いいや、よくない。

どうせなら、強くならないといけないんだよ」


俺はブレードの部分が丸ごと無くなって鞘だけになった剣を見て呟く。


「それは…お家の為か?」


「調べたのか…」


俺は家の話を出されて顔には出さなかったが驚いた。


「少しな…何でお前が試験も無しにこの学園に来れたのか気になったからな」


グラフト先生は少し遠くを見ながら言う。


「それで分かった。

お前の家は名家であり、お前はイレギュラーであることが…」


「やっぱり、隠しきれないのか…。

でも、違う…俺は認められたいだけだ。

ずっと、閉じ込められてきたからな…。

だから、何か欲しかったんだ」


俺はゆっくりと呟く。


「なるほどな。

しかし、見えねぇな名家の息子には」


「それはそうだよ。

イレギュラーで一体どんな能力か分からない子供だからね、父親にも会ったことないし…ずっと秘匿されてきたんだから…」


俺はなにかを思い出すように言う。

あの時の俺は世界が狭かった。

たった六畳分の頼めば何だって出てくる部屋だけだった。


一人でずっとゲームやって、一人でずっと本を読んで、一人でずっといた。

他にあったのは時折聞く母親の話や暇潰しになる能力の説明とかだった。

あとは時折、母親が都合悪い時にご飯を持ってくる妹か女中くらいだろう。


「お前にも色々あるんだな」


「今は自由ですけどね。

それで話を戻しますけど、このままじゃ俺は負けます。

6組の壁は大きいです。

おそらく一度目は勝てますが、5組で俺の能力の秘密を暴かれて負けると思います」


「たしかに…な。

このままじゃ負けるな」


グラフト先生が苦い表情をしながら呟く。

そもそも、俺の能力の制限が大き過ぎる。

でも、俺は強くなりたい。

負けたくない。

それだけで動くには充分だった。


「だから、先生。

稽古をつけてください。

俺の全力と先生の全力で…」


「別にいいが、全力かぁ〜」


先生が全力と聞いて更に苦い表情をする。


「安心してください、エネルギーならバイキングを奢るので…」


故に俺は金に物を言わせることにした。


「分かった、なら明日からガンガンしばくからな。

あと、これを忘れるなよ」


そう言って先生は俺に一枚の紙を渡す。

そこには科目選択表だった。

基本この学園は試合による成績と単位で決まる学園だ。

故に基本的な授業は選択する必要があり、それに合わせて試合が組まれている。

LHRとかは時間が決まっており絶対参加らしい。

委員会などの所属もLHRで決めるそうだ。

実際、委員会が決まるまで一年の試合は二年の放送委員が行うそうだ。


俺は挨拶をして、寮に戻る。


*************


俺はベッドで仰向けになりながら天井を見る。

たしかに俺は強くなりたい。

でも、それだけじゃない。

今日見た試合で怖かったのだ。

第1位と第11位の試合、それは試合とは呼べなかった。

更に言えば第1位の能力が分からなかった。

俺の実力不足だった。

白紙の原書にはその能力についてなにも書かれなかった。


「分からない…怖いんだな」


俺は少し怖かった。

分からないことが…。

まるで俺の専売特許が意味がなかったかのように。


「今日も潜るか…」


俺は日課となっている白紙の書庫の入場を行う。

少しでも強くなるために俺は考え続ける。


******???*******


「この、化け物!」


薄暗い闇の中の裏路地で複数の人が交戦を行なっていた。

一人の人間に対して…。


化け物と罵った男は銃を向けて発砲する…はずだった。


「へ?」


直後、首は切り落とされて倒れる。


「くそっ、こいつはやばい!

撤退だ!」


一人の指示により仲間は全員バラバラに逃げる。

少しでも生存率を上げるために…。


しかし、男を殺した人間は突如として身体が変化して獣の耳と尻尾が出てくる。


「匂いは覚えている」


ズドン


人間はポツリと呟き、踏み込む。

一人、二人、三人、四人…。

そうして、一人一人殺していく。


そして、最後の一人…。


「俺が悪かった!

政府への反感と密売をやった俺が悪かったから助けてくれ!」


最後の一人は必死に命乞いを始める。

哀れとも滑稽とも思えるその姿は惨めでもあった。


「残念ながら…聞き届けられない」


「お願いだ!

テロのことなら話す!

あれは頼まれたんだ!」


そう、彼は学園を襲ったテロ犯の待機部隊だった。

そんな彼は追い詰められて縋り付き始める。

しかし、それも無情に剣が振り上げれる。


「お前は…死神のクォウターなのか…」


その言葉を最後に男は死ぬ。

一人の人間に街灯が少しあたり、ほんの少しだけ今まで見えなかった骨格が見える。

それは一人の少年の姿だった。


少年はその場から去ろうとした直後、携帯が鳴る。

携帯を手に取り耳に当てる。


「もしもし、任務なら完了しましたよ」


『それは良かった。

それで一人残さず始末はしたか?』


電話越しからある程度歳のいった男の声がする。


「しっかりと…」


『なら、良かった。

それで、もう一つの任務、忘れていないよな?』


「分かってます。

学園にいる原書(オリジン)の監視…ですよね」


『そうだ、分かってるならいい』


そう言って一方的に電話は切られた。


「ああ、分かってるよ。

父さん…。

俺は物だ…」


少年はそうしてその場から消える。

街灯に照らされる一つの死体を残して…。

さて、ここからが強化週間ですよ!(主人公の)


読んで頂きありがとうございます。

面白いと思って頂けたなら幸いです!

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