不正なんてしてない!・後編①
不正なんてしてない!・後編①
「次は俺か」
青龍が三枚目のコインへ手を伸ばした。
その瞬間。
「青龍様ー!」
「次は俺を!」
「もう一人お願いします!」
「私も下界に行きたいです!」
今度は青龍陣営から一斉に声が上がる。
白虎がすぐにそちらを振り向いた。
「お前ら一人出ただろ! 欲張るな!」
「白虎様には言われたくありません!」
「何でだ!」
「さっき自分が当たりたいって、あれだけ騒いでたじゃないですか!」
「それとこれとは別だ!」
「同じです!」
「違う!」
「同じ!」
「お前らなあ!」
青龍が白虎を見る。
「なぜお前が俺の配下と争っている」
「こいつらが生意気だからだ!」
「白虎様が絡んできたんです!」
「ほら!」
「ほら、ではない」
青龍は小さく息を吐いた。
「俺が回すのだから、少し静かにしろ」
「青龍様、頑張ってください!」
「俺をお願いします!」
「私も!」
「全然静かになってないぞ」
白虎が言う。
「お前が言うな」
青龍に即座に返され、周囲から笑いが起こった。
◇
一枚目で当選した青龍配下も、仲間たちの中から声を上げる。
「青龍様、次も青龍陣営だったらすごいですね!」
「そうだな」
「もしかしたら青龍様ご本人かもしれませんよ!」
「その可能性もある」
「お」
白虎がすぐに反応した。
「ちょっと嬉しそうじゃないか」
「普通に答えただけだ」
「本当か?」
「本当だ」
当選した配下まで、興味深そうに主を見る。
「青龍様」
「何だ」
「もし青龍様ご本人が当たったら、私と一緒に下界へ行けますね」
「そうなるな」
「楽しみではありませんか?」
「結果が出れば分かる」
「…………」
青龍配下が朱雀を見る。
「青龍様はいつもこうなのですか?」
「だいたいこう」
朱雀が即答した。
「でも本人が当たったら、たぶんちょっと喜ぶよ」
「余計なことを言うな」
「ほら、気にしてる!」
「気にしていない」
天女も楽しそうに会話へ加わる。
「青龍様も一緒に下界へ来たら楽しいですよ!」
「話を広げるな」
「みんなで食べ歩きしましょう!」
「それいい!」
朱雀がすぐに乗った。
「朱雀様まで……」
「青龍も来たら人数増えて楽しいじゃん!」
「俺はまだ当選していない」
「私もまだだけど?」
「なら、なぜもう一緒に行く話になっている」
「当たるかもしれないから!」
「そうです!」
朱雀と天女の声が綺麗に重なる。
「天女様」
執事が静かに呼んだ。
「はい?」
「いつの間に青龍様まで予定に加えたのですか」
「今です!」
「即答しないでください」
青龍は執事を見る。
「いつも大変だな」
「お気遣い、痛み入ります」
「ちょっと!」
朱雀が二人を見る。
「そこで意気投合しないでよ!」
◇
「……そろそろ回してよいか?」
青龍が聞く。
「どうぞ!」
朱雀が答える。
「なぜお前が許可する」
「いいじゃん!」
「早く回せ、青龍!」
白虎まで急かす。
「お前は少し静かにしろ」
「何で俺だけ!」
「一番うるさいからだ」
「朱雀だってうるさいだろ!」
「何で私まで巻き込むの!」
「二人ともうるさい」
「青龍!」
「青龍!」
二人の声が重なる。
玄武が笑う。
「このままでは、いつまで経っても三枚目が回らんぞ」
「そうだった!」
朱雀がガチャを見る。
「青龍、早く!」
「だから、なぜお前が急かす」
そう言いながらも、青龍はコインを入れた。
「では、回すぞ」
ガチャを回す。
さっきまでの騒ぎが嘘のように、会場が静かになる。
白虎も。
朱雀も。
玄武も。
大勢の配下たちも。
結果を見守る。
そして。
「あっ!」
真っ先に声を上げたのは朱雀だった。
示されたのは――朱雀陣営。
「朱雀だ!」
「誰!?」
「俺か?」
「私!?」
「こっち?」
朱雀配下たちが一斉にざわつく。
それぞれが期待を込めて結果を確かめる中。
「……私?」
一人の配下が、自分を指さした。
もう一度確認する。
そして、目を大きく見開いた。
「私です!」
次の瞬間。
「やったー!」
誰より先に飛び上がったのは朱雀だった。
「おめでとう!」
「朱雀様!」
当選した配下も嬉しそうに朱雀を見る。
「ありがとうございます!」
「よかったね!」
「はい! ずっと待っていました!」
「やったじゃん!」
朱雀は自分のことのように喜び、すぐに当選した配下のそばへ行く。
天女も続いた。
「おめでとうございます!」
「ありがとうございます、天女様!」
「これで下界に行けますね!」
「はい!」
「分からないことがあったら何でも聞いてください!」
「ぜひお願いします!」
「任せてください!」
天女はすっかり先輩の顔だった。
周囲の朱雀配下たちも一斉に当選者を囲む。
「いいなあ!」
「おめでとう!」
「先越された!」
「次は私だからね!」
「帰ってきたら話聞かせて!」
「下界どうだったか全部教えて!」
「もちろん!」
当選者は仲間たちから次々に声をかけられ、嬉しそうに何度もうなずいていた。
「何したいか決めてるの?」
「まだ全然!」
「だったら天女様に聞けば?」
「そうする!」
「食べ歩きがおすすめですよ!」
天女がすぐに答える。
「やっぱりそこなんだ」
朱雀が笑う。
「おいしいもの、いっぱいありますから!」
「じゃあ私も――」
朱雀が言いかける。
「朱雀様」
執事がすぐに呼んだ。
「まだ何も言ってないよ!」
「言おうとなさっていたことは、おおよそ想像できます」
「何で!?」
「これまでの会話から判断いたしました」
「執事まで私の扱いに慣れてきてない!?」
「以前からでございます」
「もっと嫌!」
周囲から笑いが起きる。
◇
「ほんとによかったね!」
朱雀は改めて当選した配下を見る。
「はい!」
「下界、楽しんできて!」
「ありがとうございます!」
「天女にいろいろ教えてもらうといいよ!」
「はい!」
「私も嬉しい!」
「ありがとうございます、朱雀様!」
「…………」
朱雀の動きが止まった。
当選した配下が首を傾げる。
「朱雀様?」
「……あ」
「どうされました?」
「私じゃない」
「…………」
当選者が目を瞬いた。
白虎が吹き出す。
「今さら気づいたのか!」
「違うの!」
朱雀が慌てて当選者へ向き直る。
「あなたが当たったのは嬉しいよ!」
「はい」
「すっごく嬉しい!」
「ありがとうございます」
「本当におめでとうって思ってる!」
「はい!」
「でも私も出たかったー!」
「朱雀様!」
当選した配下は困ったように笑う。
「先ほどの『やったー!』は、喜んでくださっていたのですよね?」
「もちろん!」
「では、そのまま喜んでいていただけませんか?」
「それとこれは別なの!」
「別なのですか!?」
「あなたが当たって嬉しいのと、私も当たりたかったのは両方本当!」
「なるほど……」
「納得するんだ」
白虎が言う。
「白虎に言われたくない!」
「俺はまだ配下も当たってないからな!」
「それ自慢するところ!?」
「自慢じゃない!」
「じゃあ何で胸張ってるの!」
「何となくだ!」
「もっと意味分かんない!」
当選した朱雀配下が、とうとう声を出して笑った。
「でも、朱雀様が喜んでくださったなら、それで十分です」
「もちろん嬉しいよ!」
「ありがとうございます」
「でも次は私も出たい!」
「……はい」
「今ちょっと呆れた?」
「いいえ」
「間があった!」
朱雀陣営から笑いが起こる。
天女も楽しそうに笑っている。
「次は朱雀様も当たるといいですね!」
「ね!」
「当たったら一緒に下界へ行きましょう!」
「行こう!」
「朱雀様」
執事の声。
「何!?」
「次回の話をするには、まだ今回の抽選が終わっておりません」
「分かってるよ!」
◇
そんな騒ぎの横で、青龍はこれまでの当選者を順番に見ていた。
一枚目。
青龍陣営。
二枚目。
玄武陣営。
そして三枚目。
朱雀陣営。
「……一人ずつだな」
「え?」
朱雀が振り返る。
「何が?」
「ここまでの当選者だ」
青龍が三人を示す。
「青龍、玄武、朱雀。それぞれ一名ずつ」
「…………」
白虎も三人を見る。
玄武も静かにうなずいた。
「確かに、綺麗に分かれたのう」
その言葉が周囲にも伝わり、会場のあちこちから声が上がり始めた。
「ほんとだ」
「一人ずつだ!」
「三枚とも違う陣営!」
「こんな綺麗に分かれるんだな」
「じゃあ次が白虎だったら……」
そこで。
会場中の視線が白虎陣営へ向いた。
「…………」
白虎配下たちも、ようやく意味に気づく。
残るコインは、あと一枚。
まだ当選者が出ていないのは――白虎陣営だけ。
「来た!」
一人が叫ぶ。
それをきっかけに、白虎陣営が一気に沸き上がった。
「次は俺たちだ!」
「白虎陣営来い!」
「今度こそ!」
「俺!」
「私!」
「絶対こっち!」
「玄武様、お願いします!」
「頼みます!」
最後のコインを回す玄武へ、白虎配下たちの声が次々に飛ぶ。
そして。
「待て!」
その中心で、白虎本人が声を上げた。
「え?」
配下たちが一斉に振り返る。
「何ですか、白虎様?」
白虎は最後に残ったガチャコインを見る。
三枚引いて。
三陣営。
一人ずつ。
確かに、この流れなら次は白虎陣営を期待したくなる。
だが。
「白虎配下じゃなくて――」
白虎は自分を指さした。
「俺本人でもいいぞ」
「えええええっ!?」
白虎陣営から、一斉に不満の声が上がった。
本作品を含む、凛監修×生成AI合作作品は、同じ世界観の中でつながるシリーズ作品です。
それぞれ単独でもお楽しみいただけますが、同じ出来事が別作品では異なる視点から描かれたり、一方で起きた出来事が、もう一方の物語へつながったりすることがあります。
一つの作品だけでも楽しめる。
けれど、複数の作品を読むことで、初めて見えてくるものもある。
ぜひ、それぞれの物語をあわせてお楽しみください。
【人間×生成AIによる合作作品】
企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才
文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)
本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。
本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。




