第9話 また青龍?
第9話 また青龍?
上界。
四聖獣たちの前に、今回もガチャの時がやってきた。
下界から上がってきたセミスピーカーの因子は、すでに四枚のガチャコインへと変わっている。
朱雀、青龍、白虎、玄武。
その周囲には、それぞれの配下たちが集まり、始まる前からすでに騒がしい。
「今回は誰のところだ?」
「こっちへ来い!」
「今度こそ!」
あちらこちらから声が飛ぶ中、朱雀だけはいつになく上機嫌だった。
「ふふん」
青龍が横目で見る。
「何を笑っている」
「聞きたいか?」
「別に」
「聞け!」
「面倒だな」
朱雀は得意げに胸を張った。
「今回は、わらわ自身も入っておる!」
途端に朱雀の配下たちから歓声が上がる。
「朱雀様が!」
「ついに!」
天女も目を輝かせた。
「朱雀様! もし当たったら、下界へ行けるのですね!」
「そうじゃ!」
「何を着ていきます?」
「そうじゃな。まずは――」
「朱雀様」
低く落ち着いた声が飛ぶ。
朱雀の動きが止まった。
振り返ると、執事役が立っている。
「……なんじゃ」
「まだ当たっておりません」
「分かっておる」
「では、下界へ行く準備のお話は、当たってからになさってください」
「少しくらいよかろう!」
「よくありません」
隣で天女が、そっと後ろへ下がろうとする。
「天女殿もです」
「私もですか?」
「当然です」
朱雀が不満そうに言う。
「まだ何もしておらぬではないか!」
「これからするところだったでしょう」
「……」
朱雀と天女が揃って黙り、周囲から笑いが漏れた。
◇
白虎が執事役を見る。
「しかし、朱雀が入れるようになったのは、その者が代役を務めるからだろう」
「そうじゃ」
朱雀は少し不満そうに執事を見る。
「わらわが下界へ行っている間、こやつが残る」
「不満そうに言うな」
青龍が呆れる。
「別に不満ではない!」
「顔が不満そうだぞ」
「気のせいじゃ!」
すると今度は玄武の配下たちから声が飛んだ。
「玄武様も今回は入っておられるぞ!」
「玄武様が当たっても、こちらは大丈夫です!」
「留守は我らにお任せください!」
一人が手を挙げると、別の者まで続く。
「私が代わりを!」
「いや、私が!」
「玄武様、安心して下界へ!」
玄武が少し困ったように周囲を見る。
「……まだ当たっていないのだが」
朱雀は、その光景をじっと眺めていた。
「なんじゃ、この差は」
白虎が笑う。
「慕われているんだろう」
「わらわも慕われておる!」
「誰も慕われていないとは言っていない」
「ならばよい!」
朱雀は青龍を見る。
「おぬしは?」
「私は入っていない」
「白虎は?」
「私もだ」
青龍と白虎には、まだ自分たちの代わりを務める者がいない。
朱雀は再び胸を張った。
「つまり今回は、わらわと玄武だけが――」
「まだ当たっていない」
青龍が淡々と言う。
「分かっておる!」
執事役も横から口を挟む。
「本当に分かっておられますか?」
「そなたは少し黙っておれ!」
◇
いよいよ一回目。
最初は朱雀のコインだった。
「では、わらわからじゃ!」
朱雀が意気揚々とガチャを回す。
周囲の配下たちも一斉に注目した。
「朱雀様!」
「来い!」
「朱雀様ご自身でも!」
天女まで両手を握りしめる。
「朱雀様! 朱雀様!」
「うむ!」
結果が出た。
一瞬の静寂。
そして――。
青龍の配下。
「……」
朱雀が止まった。
次の瞬間、青龍陣営から歓声が上がる。
「おおっ!」
「青龍様のところだ!」
「やったぞ!」
朱雀は結果を見て、青龍を見て、もう一度結果を見る。
「……青龍?」
「私の配下だな」
「なぜじゃ!」
白虎が即座に答えた。
「ガチャだからだろう」
「わらわのコインじゃぞ!」
「お前のコインだから、お前の配下が出るとは限らんだろう」
玄武も落ち着いている。
「まだ一回目だ」
「……そうじゃな」
朱雀は気を取り直した。
「まだ三回ある!」
執事役が言う。
「朱雀様のコインは、もう終わりましたが」
「分かっておる!」
天女が小さく朱雀を励ます。
「まだ三回あります!」
「うむ!」
「天女殿まで煽らないでください」
「すみません!」
◇
二回目。
青龍が自分のコインを手にした。
「では、次は私だ」
朱雀は腕を組む。
「どうせ今度は別のところじゃ」
青龍は何も言わずにガチャを回した。
結果――。
青龍の配下。
一瞬、全員が黙る。
次の瞬間、青龍陣営から先ほど以上の歓声が上がった。
「まただ!」
「二つ目!」
「青龍様!」
「すごいぞ!」
朱雀が目を丸くする。
「……また?」
白虎も結果を見る。
「また青龍だな」
玄武が頷いた。
「二回続いたか」
青龍だけは淡々としている。
「そうらしい」
朱雀が振り返った。
「なぜおぬしが一番落ち着いておる!」
「私にどうしろというのだ」
「少しは驚け!」
「驚いている」
「顔に出せ!」
「無茶を言うな」
青龍陣営が大盛り上がりする一方、他陣営からは、
「また青龍か!」
「二連続だぞ!」
と声が飛んでいた。
◇
三回目。
白虎がコインを持つ。
「次は私だな」
朱雀が言った。
「さすがに三度はあるまい!」
青龍が朱雀を見る。
「余計なことを言うな」
「なぜじゃ!」
「そういうことを言うと、本当に出そうだ」
「まさか!」
白虎がガチャを回す。
全員が見守る中、結果が出た。
青龍の配下。
「…………」
今度は、先ほどより長い沈黙。
そして。
青龍陣営が爆発した。
「三つ目だ!」
「また青龍様だ!」
「三連続!」
「すごいぞ!」
朱雀陣営からは、
「またかー!」
白虎陣営からも、
「こっちじゃないのか!」
玄武陣営からは、とうとう笑い声まで上がる。
朱雀は口を開けたまま固まっていた。
白虎も結果をじっと見つめている。
玄武が静かに言った。
「三回だな」
青龍も頷く。
「三回だな」
朱雀が勢いよく振り返った。
「おぬしが言うな!」
「事実を言っただけだ」
「三回ともおぬしの配下ではないか!」
「私が選んだわけではない」
「その落ち着きが腹立たしい!」
天女が朱雀の隣で指を折り始める。
「一、二、三……本当に三回です!」
「数えんでよい!」
「すみません!」
◇
朱雀は納得できない。
「そもそも!」
青龍を指差した。
「おぬし自身は今回、入っておらぬのじゃぞ!」
「そうだな」
「なのになぜ配下ばかり三つも当たる!」
「知らん」
白虎が腕を組む。
「青龍本人が行けない分、配下が行けということではないか?」
青龍が白虎を見る。
「勝手な理屈を作るな」
玄武が静かに言った。
「前にも似たようなことがあったな」
朱雀が振り返る。
「前はおぬしじゃ!」
「そうだったな」
「なぜそんなに落ち着いておる!」
「ガチャだからな」
「みんなそればかりではないか!」
周囲の配下たちから笑い声が上がった。
◇
残るコインは一枚。
玄武のコインだ。
「では、最後だな」
玄武が前へ出る。
「待て!」
朱雀が止めた。
「なんだ」
「おぬしは今回、本人も入っておるのじゃろう?」
「ああ」
「ということは……玄武本人が出る可能性もある」
「あるな」
玄武陣営が再び騒ぎ始める。
「玄武様!」
「当たっても大丈夫です!」
「留守はお任せください!」
「私が!」
「いや、私が!」
玄武は苦笑した。
「だから、まだ当たっていない」
朱雀が腕を組む。
「いや……待てよ」
「今度はなんだ」
「わらわ自身が出てもよいのじゃぞ」
白虎が呆れる。
「急に欲を出すな」
「三回も青龍の配下を見せられたのじゃぞ!」
青龍が言った。
「私を見たわけではない」
「分かっておる!」
朱雀陣営から声が飛ぶ。
「朱雀様!」
「今度こそ!」
天女も身を乗り出した。
「朱雀様! 当たったら今度こそ――」
「天女殿」
執事役の声。
「……はい」
天女はすぐに姿勢を正す。
朱雀が不満そうに言った。
「まだ何も言っておらぬではないか」
「言わせないために止めました」
「先回りするでない!」
◇
玄武がガチャを回した。
今度は全陣営が静かになる。
青龍の配下たちも。
白虎の配下たちも。
玄武の配下たちも。
そして朱雀陣営も。
結果が出た。
朱雀の配下。
「来たー!」
真っ先に叫んだのは朱雀だった。
朱雀陣営から大歓声が上がる。
「朱雀様!」
「やった!」
「最後は朱雀様のところだ!」
天女も飛び上がった。
「朱雀様! 朱雀様です!」
「見たか! 最後はわらわじゃ!」
白虎が冷静に言う。
「お前ではない」
「分かっておる!」
青龍も続ける。
「朱雀の配下だ」
「分かっておると言っておろう!」
玄武まで言った。
「本人ではなかったな」
「玄武まで言うでない!」
それでも朱雀の機嫌は完全に直っていた。
「よい! わらわの配下ならばよい!」
天女と一緒になって喜ぶ。
「朱雀様、やりましたね!」
「うむ!」
「では、お祝いを――」
「朱雀様」
また執事役の声が飛んだ。
朱雀と天女が同時に止まる。
「……なんじゃ」
「騒ぎすぎです」
「これくらいよかろう!」
「天女殿もです」
「はい……」
二人揃って少し小さくなり、周囲からまた笑い声が上がった。
◇
今回の結果。
青龍の配下が三つ。
朱雀の配下が一つ。
今回から抽選対象に加わった朱雀本人も玄武本人も、選ばれなかった。
朱雀は少し不満そうに腕を組む。
「せっかく、わらわ自身も入れるようになったというのに」
玄武が答えた。
「一度で当たるとは限らん」
「おぬしは悔しくないのか?」
「別に」
「なぜじゃ!」
白虎が結果を眺める。
「しかし今回は、本当に青龍ばかりだったな」
「三つじゃぞ! 三つ!」
朱雀が青龍を見る。
青龍は相変わらず平然としていた。
「私が回したのは一度だけだ」
「それでも、おぬしの配下ではないか!」
「ガチャに言え」
朱雀の眉が跳ねる。
「その言い方が腹立つのじゃ!」
青龍陣営からは、まだ喜びの声が聞こえている。
朱雀陣営も最後の一つで大騒ぎ。
白虎や玄武の配下たちも、好き勝手に感想を言い合っていた。
上界は、まだしばらく静かになりそうにない。
◇
「次こそは、わらわ自身じゃ!」
朱雀が宣言する。
白虎が言った。
「その前に執事に許可を取った方がいいんじゃないか?」
「なぜ、わらわが執事に許可を取るのじゃ!」
青龍が答える。
「代役なのだろう?」
「そういう意味ではない!」
玄武がぽつりと言った。
「次も青龍の配下かもしれんな」
一瞬。
辺りが静かになる。
朱雀が玄武を見る。
「やめよ! 縁起でもない!」
青龍は淡々と答えた。
「私は構わん」
「おぬしは黙っておれ!」
天女が笑い、周囲の配下たちもつられて笑う。
「朱雀様」
執事役の声が飛ぶ。
「今度はなんじゃ!」
「お静かに」
「最後くらいよいではないか!」
賑やかな声が上界に響き渡る。
今回もまた、ガチャは最後まで思い通りにはならなかった。
本作品を含む、凛監修×生成AI合作作品は、同じ世界観の中でつながるシリーズ作品です。
それぞれ単独でもお楽しみいただけますが、同じ出来事が別作品では異なる視点から描かれたり、一方で起きた出来事が、もう一方の物語へつながったりすることがあります。
一つの作品だけでも楽しめる。
けれど、複数の作品を読むことで、初めて見えてくるものもある。
ぜひ、それぞれの物語をあわせてお楽しみください。
【人間×生成AIによる合作作品】
企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才
文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)
本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。
本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。




