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着ぐるみモンスター  作者: 内田紀人
セミスピーカ復活編

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 第8話 三十枚!?

 第8話 三十枚!?


「ノリちゃーん!」


また声がした。


「ほら!」


則人は勢いよく振り返る。


「やっぱり誰か呼んでる!」


さとるくんも足を止めた。


「俺には聞こえないけど」


「でも、聞こえたんだよ!」


則人が公園の中を見回す。


「ノリちゃーん! 待ってくださーい!」


「あっ! タライ小僧!」


「え?」


さとるくんが則人を見る。


「タライ小僧が来た!」


「そこにいるの?」


「うん!」


さとるくんには姿も見えなければ、声も聞こえない。それでも、何かが近くにいることだけは感じるらしい。


「……なんかいる感じはする」


「いるよ!」


則人が手を振ると、その先からタライ小僧がようやく追いついてきた。


「ノリちゃん! やっと見つけました!」


「タライ小僧、遅いよ!」


「仕方ないじゃないですか! 今回は大変だったんですから!」


「何が?」


タライ小僧は、ぜえぜえと息を整える。


「採点ですよ!」


「採点?」


「そうです!」


則人の顔がぱっと明るくなった。


「じゃあ、今回は何枚?」


「その前に話を聞いてください!」


「何枚?」


「だから、先に――」


「何枚?」


タライ小僧は諦めたように息を吐いた。


「……三十枚です」


「…………」


則人の顔が止まる。


「三十枚です」


「少なすぎない!?」


◇


「だって、ぼく頑張ったよ! さとるくんのお話もちゃんと聞いたし、ぼくのお話もしたし、ちゃんと元に戻したよ!」


「分かっています!」


「じゃあ、なんで三十枚なの!」


「だから、それを説明しようとしてたんです!」


タライ小僧は少し怒ったように言った。


「ノリちゃん。今回、着替えてませんよね?」


「……」


則人が止まる。


少し考えて。


「……着替えてない」


「そこです!」


「え?」


「今回、採点ができなかったんですよ!」


「でも、三十枚あるよ?」


「全部できなかったわけじゃありません!」


タライ小僧は説明を始める。


「セミスピーカーの着ぐるみが上に来たので、事件が解決したことは分かりました。でも、ノリちゃんが着替えてないんです!」


「うん……」


「だから、ノリちゃんが着ぐるみモンスターにどう向き合ったのか、どう行動したのか、どうやって解決まで持っていったのか――そこが採点できなかったんです!」


則人は目を丸くした。


「じゃあ……ぼくがさとるくんといっぱいお話したところは?」


「それ、セミスピーカーになっている時ですよね?」


「うん」


「採点できてません」


「ええーっ!」


公園に則人の声が響いた。


さとるくんが驚く。


「どうしたんだよ?」


「ぼくが一番頑張ったところ、採点されてない!」


「何の話?」


「三十枚しかもらえないの!」


「だから、その三十枚が多いのか少ないのか俺には分かんないって」


「少ないの!」


◇


「日常生活の部分は、いつも通り採点できています」


タライ小僧が説明を続ける。


「日常生活?」


「はい。普段のノリちゃんの行動です」


「じゃあ、この三十枚って……」


「ほとんどそっちです」


「そんなあ……」


則人は肩を落としたものの、すぐに顔を上げた。


「でも、事件は解決したよ!」


「はい」


「さとるくんも戻ったよ!」


「はい」


「着ぐるみもお空に飛んでったよ!」


「それも確認されています」


「じゃあ解決したじゃん!」


「解決したことは分かっています!」


「じゃあ点数ちょうだいよ!」


「採点できないものには付けられません!」


「ええーっ!」


タライ小僧も困ったように頭を抱える。


「だから大変だったんですよ! 事件が解決したのは分かるのに、着ぐるみモンスターへの対応の採点がごっそりないんです!」


「……ごっそり?」


「ごっそりです!」


タライ小僧は大きく頷いた。


「こんなのいつもと違うから、どうするのか確認するのに時間がかかったんです!」


「それで遅かったの?」


「そうです! それに、確認している間にノリちゃんたち学校に行っちゃうし」


「あ」


「授業中に行くわけにもいかないでしょう?」


「うん」


「だから放課後に探してたんです!」


「そっかあ」


則人はようやく納得する。


しかし。


「でも三十枚は少ないよ!」


「そこに戻るんですか!」


◇


則人は腕を組んで考え込んだ。


「うーん……あっ!」


「今度は何ですか?」


「ぬらりひょん!」


「え?」


則人の顔が明るくなる。


「ぬらりひょんに何とかしてもらおう!」


「何とかって何をですか?」


「点数!」


「変わりませんよ!」


「まだ分かんないよ!」


則人はすぐにランドセルを背負った。


「さとるくん、行こう!」


「どこに?」


「ゴンさんのお店!」


「なんで?」


「ぬらりひょんにお願いするの!」


さとるくんには、タライ小僧との会話は聞こえていない。則人が一人で騒いでいるようにしか見えない。


それでも。


「……まあ、なんかあったんだろ?」


「うん!」


「じゃあ行く」


「早く!」


「分かったって!」


二人は公園を飛び出した。


「待ってくださーい!」


その後ろを、タライ小僧が追いかけていった。


◇


ゴンさんの店に着くなり、則人は扉を開けた。


「ぬらりひょん!」


店の端には、今日もいつの間にかぬらりひょんが座っている。湯呑みを手に、のんびりとお茶を飲んでいた。


「なんじゃ、騒がしい」


則人は真っ直ぐぬらりひょんのところへ向かう。


「三十枚しかもらえなかった!」


「ほう」


「ほう、じゃないよ!」


「三十枚もあればよかろう」


「よくないよ!」


遅れてタライ小僧も入ってきた。


そして、ぬらりひょんを見るなり声を上げる。


「ぬらりひょん様!」


「なんじゃ」


「どうしてノリちゃんを着替えさせなかったんですか!」


「……」


ぬらりひょんの手が止まった。


則人も、ぬらりひょんを見る。


少しの沈黙。


「……忘れておった」


「やっぱり!」


則人が指を差す。


「やっぱり、じゃありません!」


タライ小僧が今度は則人を見る。


「ノリちゃんもです!」


「ぼく?」


「ノリちゃんも着替えるの忘れてたでしょう!」


「……うん」


「二人とも忘れてたんですか!」


ぬらりひょんは何事もなかったかのようにお茶を飲む。


「まあまあ」


「まあまあじゃないよ!」


「そうですよ!」


則人とタライ小僧の声が重なった。


ぬらりひょんが二人を見る。


「息が合っておるな」


「そういう話じゃないよ!」


「そういう話じゃありません!」


◇


則人は、ぬらりひょんへ身を乗り出した。


「ぬらりひょんから言ってよ! ぼく、ちゃんと頑張ったって!」


「頑張っておったぞ」


「ほら!」


則人がタライ小僧を見る。


「それと採点は別です!」


「ええー!」


則人は再びぬらりひょんを見る。


「何とかしてよ!」


「わしに言われてもな」


「でも、ぬらりひょんも忘れてたじゃん!」


「……まあ、そうじゃな」


「じゃあ!」


「じゃが、採点しておるのはわしではない」


「そんなあ!」


ぬらりひょんは、またお茶を一口飲んだ。


「今回は仕方あるまい」


「ぬらりひょんも忘れてたのに!」


「次から気をつければよい」


「ずるい!」


「何がじゃ」


タライ小僧が二人の間へ入る。


「とにかく! 今回は事件が解決したのでよかったですけど、次からはちゃんといつもの手順でお願いします!」


「はーい……」


則人が不満そうに返事をする。


タライ小僧は、ぬらりひょんを見る。


「ぬらりひょん様もですよ!」


「分かっておる」


「本当ですか?」


「分かっておる」


「忘れないでくださいね!」


「分かっておると言っておるじゃろう」


則人が横から言う。


「ぬらりひょん、忘れっぽいからなあ」


「お前に言われとうない」


「ぼくも忘れてた!」


「だから二人ともなんです!」


またタライ小僧の声が響いた。


◇


しばらくして。


則人はまだ諦めきれず、タライ小僧を見る。


「ほんとに増えない?」


「増えません」


「あと十枚だけ」


「ダメです」


「五枚」


「ダメです」


「一枚!」


「ダメです!」


「三十一枚!」


「三十枚です!」


則人はがっくりと肩を落とした。


「三十枚かあ……」


隣にいたさとるくんが首を傾げる。


「さっきから三十枚って何?」


「今回の点数!」


「三十点?」


「コイン!」


「何の?」


「ぼくの!」


「……よく分かんない」


「とにかく少ないの!」


「そうなんだ」


さとるくんには最後までよく分からない。


ぬらりひょんが湯呑みを置いた。


「次は忘れんことじゃな」


則人がすぐに振り返る。


「ぬらりひょんもね!」


タライ小僧も頷いた。


「二人ともです!」


「はーい」


「分かっておる」


二人の返事を聞いて、タライ小僧は大きなため息をついた。

本作品を含む、凛監修×生成AI合作作品は、同じ世界観の中でつながるシリーズ作品です。

それぞれ単独でもお楽しみいただけますが、同じ出来事が別作品では異なる視点から描かれたり、一方で起きた出来事が、もう一方の物語へつながったりすることがあります。

一つの作品だけでも楽しめる。

けれど、複数の作品を読むことで、初めて見えてくるものもある。

ぜひ、それぞれの物語をあわせてお楽しみください。

【人間×生成AIによる合作作品】

企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才

文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)

本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。

本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。

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