03「転生失敗……?」
「あんのクソ天使……次会ったらどうしてくれようか……」
俺はそのままの姿でこの世界に転移した。
せっかく嫌だった自分の顔とおさらばできると思っていたのに。
比較的平和な場所で、裕福で容姿端麗な両親の元に生まれ変わる予定だったのに……。
……なのに現実はこのままだ。
俺の第二の人生は、開始数分で終わったかもしれない。
しかしこれからどうしようか。
金が無い。
そういえば忘れていたけど言語とかどうしよう。もしかしたら他人と喋れない、文字もわからないなんて事になったら詰みなんですけど。
もしかしたらさっきの天使が気付いて今すぐどうにかしてくれるだろうか。
だがしばらくその場で大人しく待ってはいたのだが、特に何も起こらなかった。
その間に辺りを観察していたのだが、店のようなものが沢山並んでいる。その看板を見ても、そこに書かれている文字らしきものの意味がまるで頭に入ってこない。
どうしよう、マジでどうしよう。言葉もわからないままこんな所に一文無しとか、死ぬしかないんじゃなかろうか。
「やべぇよどうすんだよ俺……このままじゃ詰みなんですけど……」
うろうろとしながらそんな独り言を呟く不細工なゴリラ顔の男というのは、そりゃあ傍目から見たら不審者なのだろう。そんな俺をちらちら見ていた複数の女性がこそこそと言っていた。
「ちょっとあれ……」
「不審者よ不審者、あんな顔だし」
「もしかしてゴリラ……?」
遠くでよくは聞こえなかったがそんな事だけは聞こえた。まあ慣れたものではある。
しかしその時、俺の頭に妙な声が響き、体に異変が起きた。
『生理的嫌悪を確認。ダメージを受けます』
「ぐはぁ!」
そんな言葉が頭の中に直接響き、胸を殴られたような衝撃が走った。
「ひぃ! 急に呻きだしたわ!」
「ちょっと危険よ! 近づかない方がいいわ!」
「逃げましょう! きっと危ない人よ!」
俺が痛みで声を上げるとその女性たちは走って逃げだした。
ああ、言葉はわかるみたいでよかった……んだけど、なんなんだこれ。
「もしかしてこれ、スキルってやつじゃないだろうな……。まさかあのクソ天使、封印スキルとか言ってたが違う意味で封印されてたスキルを選んだんじゃないだろうな……」
そうだ、こんなのおかしい。もしかしたら、封印されるほど強いスキルではなく、封印されるくらい使えないスキルを持たされたんじゃないだろうか。
……というか、町中で嫌われ続けたらそのうち本当に死ぬんじゃないのか?
なんのスキルなのかはわからないが、こんなダメージを受けるスキルだなんて到底当たりだとは思えない。
「そういや自分のステータスがわかるとか言ってたけど、どうすればいいんだ?」
とりあえず俺は、誰かに不審者扱いされるのも嫌なので人通りの少ない路地裏へ向かい、どうしたら自分のステータスが見れるのか模索していた。
まずは、頭の中で念じてみる。
ステータス、俺のステータス……。
頭の中で何度もそう念じていても、どうにも自分のステータスが表示されるような事は無かった。
その他にも、ステータス表示! だのそれっぽい色んな言葉を発してみたのだが、俺のステータスは確認できなかった。
どうしよう、どうやったら自分のスキルを確認できるんだろうか。
今わかっているのは誰かの嫌悪でダメージを受けるって事くらいか。
うん、何の役にも立たないスキルだ。
「しかし、言葉が通じるのはわかったが、何故か文字はわからないんだよなぁ……」
文字は読めないが、会話は普通に理解できるらしい。それだけでも救いか……。
ともかく、俺がこれから生きる為には何をするべきか。
衣食住がどうにか確保できればいいんだが、ここがどういう場所なのかもわからない。
金も持っていないし、そういえば着ているのも死んだ時の学ランのままだ。こんな格好、この世界じゃ目立つに決まっている。
ただ服もこうなら、もしかしたら死んだ時の状態で俺はこの世界に転移させられたんじゃないだろうか。だとしたら何か役立つ物はないだろうか。さすがにその時持っていた鞄は無いみたいだが。
何かないかとポケットを漁る。
そうして出てきた物はまず、財布だ。
財布の中身は四千円と小銭が少し。あとはポイントカードや割引券があった。
ただ、さすがにこの金はこっちでは使えないだろう。金属として買い取って貰ってこっちのお金にできれば嬉しいのだが、残念ながら小銭は少ないし、紙幣は買い取って貰えないだろう。芸術品とかでお金になればありがたいが、あまり期待はしないでおこう。
そしてもう一つ出てきたのが、携帯……まあスマホだ。
でもこれ、電池切れてるんだよな。
充電するの忘れて学校に行ったのが仇になったな。もし電池が残っていれば未知のアイテムとして高値で売れたかもしれないのに。まあ、この世界の科学技術がどれ程かまだわからないけど。魔法が存在しているなら、科学ではなく魔法が発達している気はする。
後は胸ポケットに学生証があったが、これは特に何の役にも立たないだろう。
他にも何か無いかと色々と漁ってはみたのだが、それ以外には何も無かった。
……もしかして、マジで詰みじゃないかな?
いや、諦めるには早すぎるな。
とりあえず腹が減ったし、このお金をどうにか換金したりできないか、なんとか交渉してみようじゃないか。
俺はさっそく、いろいろと歩き回ってとにかく探してみることにした。
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