13「スキル解説」
「では、メルランさんのステータスも確認させて貰います。……今更かもしれませんが、メルランさんはアダチヤマさんにステータスを聞かれても平気ですか? あと、アダチヤマさんのステータス、私思いっきり喋っちゃいましたけど……」
頭をポリポリと掻きながら、今更のようにコヨンさんが言ってくれる。
まあ、メルに聞かれるのが嫌とかそういうのは特に無いので俺は気にしてないが。
「私は気にしないからいいですよ、ゴンゾーのステータスも聞いちゃったし!」
「まあ、俺も知られて困るものじゃ無いですし、気にしてませんよ」
例の謎スキルさえバレなければ、俺もその辺りの事はどうでもいい。
「……では、ええっと……、レベルは八ですね。年齢から考えると高い部類ですよ。それにステータスは……力と運はやや平均より低いですが、それ以外は平均よりやや上の数値です。割と何でもできるオールラウンダー型ですね」
「あー、前に見たときからレベルは変わってないかー……」
「アダチヤマさんもそうですが、あなた達くらいの年齢の方が意気揚々と冒険者を目指してギルドに来て初めてのステータス確認しても、大体レベルは五前後が普通ですからね? スキルは一つくらいで、無い方も多いですし」
なるほど、一般的にはそんなものなのか。俺のスキルも剣術とかありふれた物かと思っていたけど、あるだけでも良い方なんだな。
「さて、ではスキルの確認を……おぉ、生活魔法レベル二に、シューターレベル一ですか! 基本のスキルとはいえレベル二は凄いですね。シュータースキルもお持ちなら、お二人は良いパーティーになりそうですね」
「え、パーティー?」
そうか、もし討伐依頼とかの仕事をしていくんなら、ソロは危険だもんな。
ゲームみたいにモンスターにやられたら教会からやりなおし、ってわけにはいかないだろう。
死が待っているはずだ。……だよな? さすがにこの世界でもそうなるよな?
「おや、お二人で冒険者を目指す為に登録に来たのでは?」
「あはは……私たち、たまたま出会って一緒に来ただけなんですよ」
確かにたまたまだった。だけど、この後すぐはいさようなら、っていうのは俺も少し寂しさを感じる。初対面でこんなに優しかった女性はメルぐらいかもしれないっていうのも大きいのだと思う。
「ふむ……そうでしたか。しかし、お二人でなら討伐依頼も問題なくできそうですし、一人ではそもそも危ないですからね……見知った間柄で最初は色々やってみるのをおすすめしますよ。勿論、街の壁面工事とか道の整備とか比較的安全な仕事でもいいんですが。何にせよ街の為にたっぷり働いて稼いでほしいですね」
「ああ、俺もまだこの国の事とか知らないことが多いし、できればメルと一緒にやって、色々と教えて貰えたら助かるんだけど……」
「そっか……うん、私も一人だとちょっと心細いし、しばらくはゴンゾーと一緒に組んでやってみよっか!」
良い笑顔でメルは答えてくれた。同年代の女性にこんな笑顔を向けられたことなんて、今までにあっただろうか?
「……ああ! 知り合って間もない二人の距離感が少しずつ縮まっていくこの瞬間……! お互いの事を少しずつ知っていく事で二人の距離は更に縮まり、危険な依頼もこなしていくようになるのね! それで油断してモンスターに襲われた所を『大丈夫か!』ってその大きな体で守り抜く事で二人は……! 二人は……!?」
等と思っていたら、この人はまだ何かやっていた。
「まだやってたんですか、リナ。仕事してください。そもそもこれ、あなたの仕事ですよ」
「はっ……!? ああ、ごめんなさいね。えっと、それで、どこまでやったのかしら?」
「そうですね……まあ大方終わったのですが、所持スキルの説明を一応してあげたらどうです?」
確かにパーティーがどうとかで、スキルの説明が無かった。とはいえ、スキル名で大体の事はわかるっちゃわかるんだけど。
「ではスキルの説明をさせて頂きますね。メルランさんの生活魔法レベル二は、その名の通り生活を送る上で使われる便利な魔法を扱えるスキルですね。火を起こしたり、水を出したり、ですね。レベル二という事は才能があるか、かなり継続して使われてたんでしょうね」
「実家に居た頃は便利だし節約になるからって毎日使ってたので……」
「へえ、使っていくとスキルレベルは上がっていくんですね」
「はい、スキルは継続することで習得したり、レベルが上がっていくんですよ。スキルレベルはレベル五まであるのが確認されていますが、大体レベル二までは継続して使っていくことで上がると言われています。レベル三以上は、それなりの努力や才能といった領域になりますね。そもそもスキルレベル一あるだけでも、常人よりは強い証明になります」
ふむ、そもそもスキルの習得も使っていくだけでいいのか。スキルレベルも二までなら継続していくだけでいいなら、スキルを持つのはそんなに難しくは無いのかな。
……とも思ったが、俺が十年以上やってきた剣道に爺さん仕込みの古武術、三年くらいだけど更に柔道。それだけやってきて剣術レベル一、格闘術レベル一だ。そうなるとスキルを持っていない人が多いというのも仕方ないのかもしれない。
「次にシューターレベル一ですね。投擲や弓、スリングショット等といった遠距離攻撃の扱いや命中が上がるスキルです。石を投げるだけでも、小型のモンスターなら倒せなくもないので、あると便利なスキルですよ!」
「実際、弓はちょっとしか使った事なくて、実家の畑を荒らすモンスターを石投げて倒してたくらいなんですよね……」
石でモンスター倒せるのか……。いや、でも小動物くらいのモンスターなら、ボールくらいの石で十分倒せるか。実際、頭部に当たれば人間でも死ぬ可能性はあるわけだし。
「後はアダチヤマさんの言語習得スキルは先ほど説明していましたよね? なので剣術と格闘術のスキルの説明ですが……これはもうスキル名の通りですね。剣術は剣の扱い、剣での戦闘が上手くなりますし、格闘術は素手での戦闘が同じように上手くなります。どちらも近接戦闘向けスキルですから、実際の所、お二人の役割分担のバランスは良いですね。冒険者として慣れていけばパーティーメンバーを増やしていく、というのもよくありますが、今の状態なら誰が入っても役割的には問題なさそうですし」
この世界でずっと冒険者としてやっていく……のかどうかはわからないが、せっかくのゲームみたいな世界だ。まずは自分のやれる事、やってみたい事をするのがいいかもな。
「まあ今後ギルドでどういう仕事やるにしろ、メルと一緒に色々と教えて貰いながらやるって感じがいいかな」
「うん、そうだね! 小型モンスター討伐なら慣れてるから任せて! ……と言っても、この周辺にどんなモンスターがいるかまだわかんないんだけどね」
「そういうのも含めて、色々調べながらやっていこうか。服とか、色々買いたい物もあるし……そういえば、泊まる所もまだ決めて無かったな」
「あ、だったら私が泊まってる宿にする? 安い割には結構快適でいい所だったよ!」
「ふ、二人でお泊り!?」
なんかまたリナさんが反応してるな。
「はいはい、若い二人の邪魔をしない。リナ、仕事に戻りますよ」
「ああ、いい所なのに! コヨンちゃん、離して!」
「では、お疲れさまでした。何か仕事を受ける際はクエストボードに貼り付けてある依頼書を取って受付へどうぞ。それと、このギルドには酒場や料理屋もありますからぜひご利用ください。それでは……」
ぺこりとお辞儀をして、コヨンさんがリナさんを引きずっていった。
とにかく、色々とあったがこれでギルド登録もできたし、仕事もできるようになった。
それにしばらくは仕事をしなくてもやっていけるくらいのお金は貰えた。
この異世界に飛ばされたときはどうなるかと思ったけど、とりあえず生きていく分にはなんとかなりそうだ。
今日はもう1話更新します!




