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リレーのメンバー

リレーのメンバー


今年はリレーのメンバーを決めるのに50メートル走のタイムを使うことになった。

とは言え、出たい人が優先的に出るのだが。


5月の下旬から、全学年でスポーツテストが始まった。

だいぶ早いが、いい機会なので、もうメンバーを決めようということになった。

今のうちに決めておいたら、自覚をもって自主トレなりするんじゃないかと。

とはいえ、だれもしそうにないのはわかっているけど。


全員の50メートル走のタイムが出揃ったので、部会と言うほどではないが、選考会?が持たれた。


まず副部長が

「今年の体育祭の部対抗リレーに出場したい人。」

希望者に挙手を求める。

部長、俺、由衣、詩織、のぞみが迷わず手を挙げた。

これですでに5人。

あとひとりだ。

次に

「どうしても出たくない人。」

私情が入ってる。

副部長が自分が言い終えると同時に勢いよく手を挙げた。

少し遅れて萌と真奈美と美和が手を挙げる。

と言うことは、出てもいいと思っているのは、残りの一年生と言うことだ。

3人にタイムを尋ねる。

綾と研二がほぼ同じで、裕香は0.5秒ほど離れている。

綾か研二かのどちらかだな。

どちらになるんだろう、どうやって決めるのかなと思っていたら

「僕、本当は出たくないんです。」

研二が言いにくそうに口を開いた。

「すみません。こんなことになるなんて思ってもいなかったものですから。でも、僕・・・。」

そうか。

始めから出たくないとは言いにくかったのか。

それなら無理強いはしない。

副部長が

「綾ちゃん、出てくれる?」

「はい。」

綾が即答する。

この感じじゃ、出たかったんじゃないのかな。

よかった、スッキリと気持ちよく決まって。

去年は、出たくなくてたまらないのに、出なくてはいけなかったかわいそうな人がいたから。

部長、俺、由衣、詩織、のぞみ、綾の今年のリレーのチームマンケンが結成された。


やっぱり気になって、選手になったみんなにタイムを尋ねてみた。


さすがに美鈴はダントツ。

次は俺。

由衣と詩織は同じタイム。

詩織は言うだけのことはある。

由衣と張り合うなんて。

次いでほんのわずかな差でのぞみ、またほんのわずかな差で綾。

これはドリームチームだな。

前に、由衣や副部長が言っていた通りのすごいことになりそうだ。


「そうそう。」

と言いながら副部長がロッカーの方へ歩いていく。

何だろう?

みんなの視線が集まる。

ロッカーを開けて、赤いハチマキを手に取る。

去年、前部長と副部長から受け取ったあのハチマキ。

「漫研」の二文字が眩しい。

みんなが家で洗って部に寄付したものだ。

「選手はこれを頭に巻いて走るのよ。去年からこれを伝統にしようって。だってチームマンケンは赤い弾丸だから。」

副部長が、去年は泣きそうになりながら走らされたものの、今年は走らなくていいという安心感からか饒舌だ。

ただ最後のは一年生には何のことやらわからないだろうけど。

「えっ!」

一年生が思わず叫ぶ。

信じられないと目が丸くなっている。

無理もない。

だが決まったことだ。

「去年俺たちがこれをお披露目して1位になってるから、今年もこれを見たら、みんなが俺たちのことを漫研だってわかってくれるんじゃないかな。俺も渡されたときはかなり恥ずかしかったけど、これを巻いて集まったら、ほんと、俺たちはチームなんだって気になったよ。」

「そう。それに、巻いたらなんか気持ちが引き締まるっていうか、気合が入るって言うか。」

と由衣も。

「私は今年は出ないけど、これ巻いて出てすごく楽しかった。」

と萌。

一年生は半信半疑と言ったところだろうが、俺たちを信じてくれ。

巻いたらわかるから。


その後は個々の活動が始まるが、俺たち二年生は来週の火曜日から3泊4日で行われる修学旅行のことで頭がいっぱいだ。

うちの学校の修学旅行は、北海道と関東と沖縄の3つのコースが用意されていて、好きなコースを選ぶことができる。

二年生のみんなとその話をしたいが、活動中に活動のこと以外のことで長話をしては一年生に示しがつかない。

とは言え、最終下校時刻まで活動するから、時間がきたらすぐに下校しないといけない。

仕方がないので、下校後に近くの公園で少し話すことにした。


修学旅行のことを6人で話すのは初めてだ。

俺はもちろん真奈美や由衣の選んだコースは知っている。

俺は北海道で真奈美と由衣は関東だ。

3人娘に聞いてみる。

萌は沖縄で、部長と副部長は関東だった。

やはり関東は人気がある。

俺たちのを聞いて、部長も副部長も怪訝な顔をする。

「ねえ、なんで真奈美と真ちゃんって別のコースなの?」

真奈美とは、付き合っているんだから一緒のコースにしようなどと言ったことはない。

むしろ、どのコースもそう簡単に行けるところではないから、自分が行きたいコースにしようと話していた。

その話をしたら

「ふ~ん、そうなの。」

と不思議そうに部長が。

「部長も副部長も彼と同じコース?」

わかっていながら由衣がズバッと切り込む。

由衣も思うところがあったのかもしれない。

「えっ、そ、そうよ。」

副部長が慌てている。

俺たちが別のコースなのを不思議がるくらいだから、そんなことわかっているのに。

さっきのお返しに、本当に自分も彼も関東に行きたいと思っているのか?と聞きたい気はしたが、そんなこと聞いても仕方がないし、意地悪なことを聞いて場の雰囲気を悪くするのもな。

「そう。」

それ以上はツッコまない。

そうであってもなくても、互いが納得しているのならそれでいいじゃないか。


「そうそう、萌もよ。」

と部長がニコニコしながら暴露する。

だが、鈍い俺は何のことやらわからない。

萌も?どういう意味だ?

「いっしょに沖縄よね。」

「もー言わないって約束でしょ。」

萌の顔が赤い。

あっ、そう言うことか。

「すぐにバレるんだからいいじゃない。」

と副部長。

「そうかな。」

嬉しそうで恥ずかしそうな萌。

萌にもついに彼ができたか。

これで漫研二年生で相手がいないのは由衣だけになってしまった。

つい、チラッと由衣を見てしまった。

目が合う。

それわかってて何よ!とばかりにキッと睨まれた。


いらないことをしてしまった。

帰るころには機嫌が直っていますように。

まだ怒っていたら、ロールケーキでも買ってやるか。

この前、新しく揃えたコミックスを読ませてもらったことだし。

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