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二年生が始まった

何てことだ。

ついに二年生が始まってしまった。

正確には、明日が入学式と始業式で、今日は入学式の準備でイス並べなどがあるのだが、何と言っても新クラス発表という一大イベントがあるのだ。


昇降口に2か所、新クラスの名簿が張り出される。

前日に由衣と約束してだいぶ早めに家を出たのだが、学校に着いたときには、自転車置き場はほぼ満車状態だった。

遅きに失した感を持ちながら、由衣と昇降口に向かう。

やはり、昇降口にはとてつもない人だかりができている。

自分のクラスを確認したら空けてもらいたいが、友達や恋人、好きな子のクラスまで確認するやつがいるので、なかなか前に進まない。

俺もそうなるだろうから、人のことは言えないのだが。

少なくとも漫研の子たちのクラスは確認しないと。


二年生からは理系と文系でクラスが別れる。

1組から4組までが文系で5組から8組までが理系だ。

俺は理系で由衣と真奈美は文系だから、俺は由衣とも真奈美とも違うクラスになることはわかっている。

ということは、今日が真奈美と同じクラスで過ごす最後の日か。

そう言えば、美鈴と咲良は理系で萌は文系だったな。



悶々としながら長い時間を掛けて一歩ずつ近付いて、やっと名簿の前へ。

1組から見る。

萌と亜香里くらいか。

2組にはよく知ってる子はいない。

3組。

由衣、有紀、奏まで。

4組

真奈美だけ。

5組

俺の名前がある。

そして咲良も。

6組、7組と見ていくが、よく知っている子はいない。

最後の8組。

やっと美鈴の登場。

自分のクラスだけ男子も見返したが、一年で同じクラスで親しかったヤツは誰もいない。

残念。

ざっとだが、全部見られたので名簿から離れる。


この一年はこんな感じになるんだな。

どうなっても受け入れるしかないとわかっているから、ショックもまるでない。

明日からの新クラスでの学校生活に期待するだけだ。


放課後、部紹介の練習で一年生が集まる。

昨日までは朝にやっていた。

役のない者も毎日来て、いろいろと意見を言ったりダメだしをしてくれたりして、みんなで作っている。

脚本も、元のものとは全く違ったものになってしまった。


今日は、集まると、やはり新クラスの話になる。

「また、一年のときみたいにばらけたね。」

と由衣。

「そうだな。クラスが同じなのは俺と咲良くらいか。」

「でも美鈴はまた一緒のクラスになれたじゃない。彼と。」

とイタズラっぽく萌が。

「ちょ、ちょっと。それはなしよ。」

美鈴が慌てている。

「同じ部活の部員どうしなんだから、もういいじゃない。オープンにしようよ。遅かれ早かれわかることなんだから。」

と真奈美。

「そうだけど・・・。」

と答えるだけの美鈴。

咲良と目が合う。

慌てて目をそらす咲良。

2人ともガードが堅そうだ。

彼氏のこと、なかなか教えてくれそうにないな、こりゃ。


お昼近くになっていたので、今日の練習は3回通して終わりにしたが、それでもまた少し変わった。


「そうだ、先に言っとかないと。」

真奈美が何かを思い出したようだ。

「私の妹が今年ここに入ったんだけど、昨日、漫研に入るって言ってた。」

「え~!」

みんなが練習したかのように同じ反応で驚く。

「私もびっくりしたよ、昨日は。今までそんなこと一言も聞いたことないし。卓球がかなり上手かったから、そのまま卓球を続けるって思ってたから。」

年子の妹がいることも、うちの学校に入ったということも真奈美から聞いていたが、まさか漫研に入るとは。

「漫画は書くの?」

と由衣。

「見たことないな。綾とは同じ部屋だけど。あ、綾って言うの、妹。」

「そうか。じゃあ、評論っていうのもあるかもだな。それならしっかり鍛えてやれるな。」

「何を期待してるの。まさか姉ちゃんだけじゃ飽き足らないで妹にも手を出す気じゃないでしょうね。」

美鈴はおもしろく言ったつもりだろうが、俺は笑えない。

これにはみんなも少し引いている。

「俺は純粋に新入部員に指導しようと思ってるだけなのに、なんなんだよ、手を出すなんて、すっごく気が悪いよ。いつも美鈴はいらないこと言いすぎなんだよ。人の気持ちなんて考えずにどういうつもりで言ってるんだよ!」

言いながらどんどんヒートアップしてしまって、最後は怒鳴ってしまった。

その瞬間に部室がシーンと静まり返ってしまった。

あっ、まずい。

美鈴も顔が引きつっている。

やっちまった。

後悔先に立たず。

美鈴が本気で言ってるのじゃないことはわかっていたのに。

でもやっぱり許せないものはあった。

けど、女の子に大きな声を出してはいけない。

「ごめん、美鈴。」

謝る。

「ううん。私が悪い。」

と首を振る美鈴。

しばらく気まずい沈黙が流れる。


「綾ちゃんって、いつ入部届を出すんだろ?」

沈黙を破って由衣が真奈美に聞く。

「明日の入学式の日に出すって言ってた。」

「気合入ってるな。じゃあ、あさってが綾ちゃんの漫研デビューよね?みんなで迎えてあげないとね。」

「そ、そうよね。記念すべき新入部員第1号だもんね。」

と萌。

「熱烈歓迎しないと。」

咲良も空気を和ませようとするかのように続く。

だが、俺と美鈴は何も言えなかった。


由衣との帰り道。

「ありがとうな。今日は。」

「別に何もしてないよ。私は小さいころから慣れてるけど、他の子はあんな真ちゃん知らないからビックリしたと思うよ。」

「そうだよな。悪いことをした。みんなにも美鈴にも。」

「私、真ちゃんだけが悪いとは思ってないよ。聞いてて、美鈴やり過ぎじゃないって思ったもん。他の子もどう思ってたのかな。」

「でもな・・・。」

「もういいじゃない、過ぎたことは。でも、美鈴とは仲直りしてよ。反省してるようだったし。」

「わかってる。」


せっかく明日は真奈美の妹が入部してくるめでたい日なのに、ブルーな気持ちだ。

なんとか気持ちを切り替えて、明るく迎えないと。

将来、義理の妹になるかもしれない子なんだから。

なんて、早すぎるか。

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