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初詣

もともと冬休みは2週間ほどしかないのに、いつの間にやら半分ほどが終って、今日は大晦日だ。

大晦日だからって、特に何かするわけではない。

たまには部屋の掃除でもしたらいいのだが、そんな気になれない。

面倒なだけだが。

ということは、明日は元日だ。

初詣は、中学くらいから由衣と行っていた。

今年もそうなりそうだ。


昨日、珍しく由衣が俺の家に来た。

「珍しいな、由衣が来るなんて。」

「今年最後になるから、行っとこうかなって思って。」

「そりゃあ明日で今年は終わるんだから。なぁ、初詣どうする?」

「真ちゃんは真奈美ちゃんとでしょ。」

「いや、真奈美は正月はいないんだ。大晦日からだけど。」

「どこかに行くの?」

「うん。正月は毎年、神戸のおばあちゃんのところに一族が集まるんだって。」

「一族って、何か怖いな。犬神家みたいで。」

「真奈美がそう言ってたから。」

「じゃあ、ずっと一緒に初詣に行けないじゃない。」

「そうなるよな。」

「じゃあ、今年も初詣、私と行く?」

「由衣がいいんだったらな。」

「私はいいに決まってるけど。」


明けて元日。

真奈美にラインで新年の挨拶を。

「明けましておめでとうございます 本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます」

既読が付いたけどなかなか返事がない。

「賀正」

と返ってきて笑ってしまった。

「いつまでそっちにいるの?」

「明日の午後には出るよ」

「何して過ごすの?」

「宴会」

「真奈美も飲むの?」

「飲むわけないでしょ。未成年なんだから」

「そうだよな。でも一族の集まりではそれもありかなって思ったから」

「普通に親戚が集まるだけだから、特別なことはないよ」

「そう。初詣は?」

「一族でぞろぞろと地元の神社に行ったよ」

「もう行ったの?」

「うん、昨日、日付が変わってすぐ。これも毎年のこと」

「へーすごいな」

「真ちゃんは?」

「この後、由衣と行ってくる。これまた毎年のこと」

「そう。宴会が始まるみたいだから、これでね」

「うん」


朝から一族集まって宴会するのか。

いかにも田舎の正月って感じがする。

いや、神戸は都会か。


インターホンが鳴った。

一年の計は元旦にあり。

今年もこの毎日になりそうだ。


「明けましておめでとう。」

親しき中にも礼儀ありだ。

お互いに新年の挨拶を交わす。

俺たちも、毎年詣でている近くの神社に歩いていく。


「真奈美のところはこれから一族で宴会だって。」

「へー、賑やかそう。」

「由衣のところも、この後お年始だろ?」

「うん。昼前から。お爺ちゃんちへ行くよ。」

「うちもそれくらいに出て、爺ちゃんのところに行く。」

「例の一つ下のかわいいいとこも来るの?」

「うん、来ると思う。またひときわかわいくなっていそう。」

「鼻の下が伸びてるよ。」


神社に着くと、まずは参拝を。

その後は決まっておみくじを引く。

俺のは大吉で、いいことばかり書かれていた。


願望:成すべきことを成せば叶う

健康:心の充実が疲れを忘れさせる

仕事:日々の努力が報われる

学業:集中力が増し、理解が深まる

恋愛:前向きに捉えるべし

縁談:そのうち良縁に恵まれる

勝負:多くの敵をつくらぬこと

家庭:大事なことは早く相談すべし

金運:本当に必要ならば惜しまず買うべし

人望:真面目な姿勢が人から評価を得る


今年もいい年になりそうだ。

もう年内は絶対におみくじは引かないことにした。

由衣のは末吉。

少し気になることも書かれていていたが、概ねよしだ。

結んで帰る。


帰りは決まってコンビニで肉まんを買って、公園で食べる。

これが美味いんだな。

「去年もここで肉まん食べたよな。」

「うん。毎年食べてる。」

「まさかこんな一年になるなんて、去年の今頃は想像もしてなかったよ。」

「私も。なんか、本当にすごい一年だった。真ちゃんとも今までになかったことがいっぱいあったよ。」

「ああ。でも、結局は何も変わってないよな、俺と由衣は。俺にとっては一番大きかったのが漫研に入ったことだな。」

「真ちゃんは真奈美ちゃんでしょ。」

「そうかもな。でも、漫研に入ってなかったら、付き合うことにはならなかったよ、絶対に。話すこともなかったかも。」

「そうだよ、きっと。私が強引に誘ったおかげよ。」

「感謝してます。」

「それだけ?」

「それだけって?」

「感謝の気持ちは、何かで表わさないと伝わらないんだけどな。」

「わかったよ。帰りにコンビニでロールケーキ買ってあげるよ。」

「本当?」

「うん。お年玉ももらったし。」

「そうよね。じゃあちょっといいの買ってもらおっと。」


「真奈美ちゃんとどこかに行かないの?年末もデートもしてないんでしょ。冬休みなんてすぐに終っちゃうよ。」

「うん。また、誘ってみるよ。」

「何か、このまま何もなしで冬休みが終わってしまいそう。」

「かもな。」

「他人事みたいに。」


この後は、互いの親に新年の挨拶をするのが恒例だ。

そしてお年玉をもらう。

示し合わせたように、同じ額が入っている。

おそらく協定を結んでいるんだと思う。


少し由衣の部屋で話をして帰った。


新しい一年が始まった。

また、予想だにしないいろいろなことがあるだろう。

それも楽しみだ。

期待でいっぱいだ。

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