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2学期の終業式はクリスマスイブ

なんだかんだと言いながら、12月を迎えた。

寒さもかなり増してきた。

三人娘たちもイラストを仕上げたら部室には来なくなった。

そのあとで色塗りをする予定だった部長と副部長はアクリル絵の具やパレットや筆などを持って帰って部長の家で塗るみたいだ。


俺たちも、部室でしなければならないことは何もないので、暑かったときと同様に由衣の家で活動することになった。


そうこうしているうちに、クリスマスが近付いて来る。

イブの日が2学期の終業式だ。


今日も由衣の家で活動していたら

「ねぇ、クリスマスってみんなで何かやらない。」

真奈美が口火を切る。

「何言ってるのよ。付き合って最初のイブでしょ。真奈美ちゃんと真ちゃんでロマンチックにデートとかしなよ。」

と由衣が気を遣う。

「俺も多い方が楽しいと思うな。なんなら漫研のみんなで楽しみたいくらいだよ。」

「でも部室がね。」

と真奈美。

「ほんと、そう。なんとかしてくれねぇかな。腹が立つよ。」

「本当にいいのなら、私たちで、うちでやる?ケーキはショートケーキやロールケーキくらいになるだろうけど。」

由衣がすごくい嬉しそうに聞いてくる。

「うん、楽しそう。やろうよ。終業式の後だから、時間はたっぷりあるし。」

と真奈美。

「プレゼント、どうする?いるかな、やっぱり。」

2人はどう思っているんだろう。

「やっぱり、あったほうが盛り上がるよね。ただし、500円以下とかの条件を付けようよ。そんでもって、だれのがだれにいくかわからないっていうのもどう?」

と真奈美が楽しそうに提案する。

「それいいね。そのまんま、それ採用。真ちゃんもそれでいいよね?」

「ああ、いいよ。でもそれって、センスが試されるよな。男女を問わず喜んでもらえたり面白がってもらえたりするものって、なかなか難しいよな。て、俺のは女子にしかないか。でも今から考えとかないと。」


すぐに終業式の日が、そしてイブの日が来た。

寒いけどオキテなので、部室に集まって部長の話を聞く。

部長も気を遣ってか、年が明けて3学期が始まったらすぐに書華美展が開かれるから、その最終チェックを各自でしておくようにといった話だけで解散になった。


「この後、2人でどこかに行くの?」

またもや美鈴が俺と真奈美に聞いてきた。

「あんたたちはどうなの?美鈴や咲良はクリスマスデート?」

「当然でしょ。真奈美たちもよね?」

「ううん。私たちは3人で由衣ちゃんちでクリスマスパーティーよ。」

「何で?」

「多い方が楽しいから。それにそういう特別のって私も真ちゃんも苦手だし。何していいかわからないよ、私は。」

「そう?普通でいいんじゃないかな。何も特別なことしなくても。」

じゃ、と2人が部室を出て行った。


萌がそういった話をつまらなさそうに聞いていたのが気になっていた。

由衣が

「ねぇ、萌、この後うちに来ない?彼氏いない者どうしでなぐさめあいながら4人でパーティーしようよ。」

萌が、えっ!という顔をする。

「いいの?行っても。でも同じ彼氏がいないでも、私と由衣ちゃんじゃ事情が違うけど。嬉しい。・・・でも、クリスマスパーティーならプレゼントっているよね?」

「あっ・・・それはね、なしにしようってことにしたの。」

真奈美を見る由衣。

真奈美も

「そう。もらっても困るものをくれる人がこの中に確実に一人いるでしょ。だから。」

みんなが俺を見る。

「ひでーな。」

わざと不機嫌な顔をしてやる。

でもそれもいい。

由衣と真奈美のつくやさしいウソの助けになるなら。


帰りに、スーパーやコンビニに寄って、各自で好きなケーキなどを買う。

由衣だけがコンビニでロールケーキ。

そこのコンビニの美味さは譲れないだとか。

他のみんなはスーパーで。

真奈美はショートケーキ、萌はチョコエクレア、俺は八分の一のピザ。


由衣が紅茶を淹れてくれて、会が始まる。

「前に聞いてたけど、由衣ちゃんの漫画、凄いね。漫画喫茶ができそう。」

「それはオーバーだよ。でも感動した作品はいつでも通して読めるようにしておきたいんだよね。だから、後先考えずに買っちゃう。そのせいでいつもピーピーだよ。読みたいのあったら貸してあげるよ。」

「ほんと、いいの?読みたいものだらけ。」

萌が本当に嬉しそうだ。


「萌って、中学では剣道やってたんだよな。」

全く知らない世界に興味が湧く。

「段とか持ってるの?」

「うん。初段。」

「それって、すごいんじゃないの?」

と真奈美。

「そんなことないよ。私、小学校からスポーツ少年団に入ってやってたから、小学生で一級をもってたの。初段は中2から受けれるし。」

「で、萌はレギュラーだったの?」

と由衣。

「うん。団体戦では先鋒だった。」

「へー、切り込み隊長だな。先鋒が勝つか負けるかでその後に大きいよな。」

「そうなのよ~。だからプレッシャーきつかったー。」

「で、もう高校では剣道はしないって?」

「うん。高校の部活って、特に運動部は強くても弱くても中途半端じゃできないから。0か100かでしょ。50があったら考えたかもしれないけど。見学期間中に見に行ったけど、やっぱり厳しい練習してて、これは無理だなって思ったの。勉強も付いていけるか自信ないし。」


その後は、互いに中学の部活のことを話した。

真奈美は卓球のこと、由衣はバレーボールのこと、俺は野球のこと。

結局、レギュラーになれなかったのは俺だけじゃないか。

みんなすごかったんだな。


各自で買ったものは食べ終わっている。

由衣が引き出しからポテチを出して大皿に入れる。

俺もカバンからエビ煎餅を出して横に盛る。

真奈美がアーモンドチョコをその横に注ぐ。

「えー、言ってくれてたら私も何か用意したのに。」

萌がバツが悪そうな顔をする。

「いいのよ。今日の萌はゲストだから。」

由衣が優しく言う。

「ありがとう。・・・漫研に入って本当によかった。なんでこんなにみんな優しいんだろう。」

あの日のように、また萌の目が潤んでいた。

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