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このソラのために  作者: 真坂野琉実


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002:Item-1462339929104505

端末へのメール配信音で目を覚ました。

俺は起き上がりベットから数歩先の机に置いてある通信端末を手に取る。

メールの配信者は管理局で、内容は定例の仕事の案内だ。

予告通り前回の仕事から10日が経過している。

定期的に役目が回ってくるのはありがたいことだ。

まだ俺が廃棄対象ではないことが理解できるからな。

Notice: リソース調整依頼

Code: C04A

Item: 1462339929104505

Loc: Area-A / Sector-03 / 302

今回はこれらしい。場所も近くで好都合ではある。

俺はいつものくたびれたスーツに袖を通し、道具を準備して家を出た。

◇

いつものゲートでのやり取りがあり、俺は今セクター03にいる。

ここの302地区に処理目標がいるはずだ。

……と言っても302地区はそれなりに広いのだが。

そこまで管理者も親切ではない、ここからは歩いて探す必要がある。

俺はサングラス型のウェアラブルデバイスを装着した。

スイッチを入れると視界にIDが表示された。

……当然だが付近の通行人に対象のIDは見つからない、歩いて探す必要があるのだ。

だが、今までの経験からIDで対象は推測できる。

このIDなら仕事をしていて、昼間はこの辺りにいないだろう。

……狙うなら帰宅中の路地だ。

一応対象の住居は分かっている……が、そこに押しかけて仕事をするのは処理人として悪手だ。

俺はいわゆる管理側だが、市民に通報されて捕らえられたら終わりなのだ。俺の代わりはいくらでもいる。

◇

天井が赤から黒に変化する頃、デバイスに赤いIDが表示された。

1462339929104505E

対象のIDは自動登録されているので間違はいない。末尾のEが処理対象であるサインだ。

俺はポケットに入れたナイフの感触を確かめた。

今すぐ処理を行いたいところだが、対象の周りに無関係のIDが多い……。

仕事は誰にも見られてはいけない。俺はこの世界には存在しない影なのだ。

俺は気取られないよう、男から10メートル程距離を取ってついて行く……。

この辺りは住宅街で人通りも多い。

楽しそうに話しながら歩く親子、仕事帰りを急ぐサラリーマン、全てが俺にとってはノイズだ。

……やがて対象は路地に入る。

それを確認して俺は距離を詰めていく。

それと同時にウェアラブルデバイスを使って管理局に連絡を取った。

「C04Aだ。対象を発見した。処理の許可を求める。」

……しばらくの間。管理局が対象が間違っていないかどうか確認を行なっているのだ。

「C04A、対象を確認した。処理を許可する。」

管理局からの許可を得た俺は、ポケットのナイフを握り直した。

周囲を警戒しつつ一気に対象に肉薄する……後ろから音もなく近づき、左手で口を塞いでからナイフを首筋に走らせる。仕事は一瞬だ。

……肉に食い込むナイフの感触と処理対象の声にならない声。

切り裂いた喉から溢れ出し、辺りに立ち込める血の匂いと力なく崩れ落ちる肉体。

崩れ落ちた肉体を静かに寝かせると、使ったナイフをボロ布で包みポケットに突っ込む。

……今回も無事に処理は終了した。

そしてウェアラブルデバイスを使い、管理チームに連絡を取った。

「C04Aだ。対象の処理を完了した。引き継ぎを頼む」

返事を待つ間ももどかしく、俺はその場を足早に立ち去る。

仕事とはいえ、市民に目撃され通報されることは任務失敗と同義だ。

歩き出してしばらくして管理チームから連絡が入る。

「……対象の処理を確認した。あとはこちらで行う。任務御苦労」

処理後の報告はあっさりと終わった。

あとは闇に消え、影になればいい。

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