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第二話

 あれ、痛くない。


 目の前のゴブリンも動きを止めている。


 ゴブリンと僕、二人とも困惑していた。


 静寂が場を支配した。


 なんかわからんけど助かった。


 そう思った僕を横目に、ゴブリンはもう一度棍棒を振り上げた。


 今度こそ、死んだ。


 僕はぎゅっと目を瞑った。


 ひゅっ。


 風を切る音がした。


 ぽこ。そんな効果音が聞こえるかのような感触が皮膚にあった。


 痛くなかった。


 僕は恐る恐る目を開けた。


 そこには何度も棍棒で僕のことを叩くゴブリンの姿があった。


 ええっ。なんで痛くないんだ。さっきまであった痛みは本物だった。けど、今は全く痛くない。


 ゴブリンは顔をその顔の緑色をもっと深くして、何度も叩いてくる。


 しかし全く痛くなかった。


 僕は恐る恐る立ち上がった。


 ゴブリンがぴたりと殴るのをやめた。


 黄色い濁った目をかっぴいて僕を見つめていた。


 > ええっこいつ F ランクなのになんで生きてるの


 > こんなに殴られたら怪我するだろ


 > ランク詐欺?でもプロフィールのランクは F だよ


 コメントがうるさい。


 でも、大事なことがわかった。


 なぜかこいつの攻撃は僕には今効かない。


 そうわかると、なんだか怒りが湧いてきた。


 なんで僕がこんな目に遭わないといけないんだ。


 とりあえず、こいつにも一発入れてやる。


 そんな考えで、僕の頭の中は真っ白になった。


 怒りが腹の底から溢れてきた。


 僕は膝を少し曲げて、腕を大きく振りかぶると、ゴブリンの方に向かって大きくジャンプした。


 そしてそのまま、ゴブリンの顔を拳で殴りつけた。


 ぐしゃり。


 頭が吹っ飛んでいった。


 え。


 > ええええええええええ


 > グロいグロい


 > 強すぎんだろ。どうなってんの


 コメント欄がめちゃくちゃ盛り上がっていた。


 それを横目に僕は息を忘れていた。


 僕の方がどうなっているのか聞きたいよ。


 読み上げられるコメント欄の音声を聞きながら、僕は目を瞬いていた。


 少しそうしていると、奥の方から誰かが走る音が聞こえてきた。


「これはどうなっているんだ?」


 腕章をつけた腕で片手剣を持って鎧を身に纏った、金髪のすらっとした体型の小さな顔をしたお姉さんがそこにいた。


「あの、伊藤と言います。なんかゴブリンが出て、殴ったら頭が吹っ飛びました」


「なる、ほど。そうか。ギルド員の鈴木だ。君、ランクは?」


「F です。」


 > 嘘だろ


 > 本当に F なの?


 > 強い。期待の新人。


「ふむ。F ランクがゴブリンの頭を吹っ飛ばすなんて普通はありえないのだが。とりあえず、イレギュラーで出現したゴブリンは退治されたのだな。そこに魔石も落ちているし」


 振り返ると、死体は消えて、紫色の石が落ちていた。


 これが魔石。


「拾うといい。君が倒したのだろう?」


 ゆっくりと頷いた。


 僕は腰をかがめると、紫色をしたその石をゆっくりと拾った。


 > 10000 よくわからんけど、これスパチャです。討伐おめでとう


 > 300 少ないけど無事でよかった


 > 5000 討伐おめ


 気がつくと、コメント欄が祝福で溢れ返っていた。


「とりあえず、ギルドまで来てくれ。初心者用の一階にモンスターが出たとなると、ただの事故じゃ済まない」


 そう言って、鈴木さんはにっこりと微笑むと、後ろを振り返り、入り口に向かって歩き出した。




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