魔法の鍛錬をする
「アルキス様、昼食のお時間です」
「わかった、今行く」
サーラの声に返事をして、ジョルジュと一緒に食堂を目指した。
食堂にジュリアお姉様とルルーシュお兄様はいなかった。
「ジュリア様とルルーシュ様は、お弁当を持ってお出かけになられました。お二人とも、ゴブリン討伐から帰ってきておりません」
ジョルジュがそう言ったので、俺も席に着いた。
美味しそうな昼食が並べられる。
俺はフォークを手に取り、ぱくぱく食べていく。
デザートの果物を食べ終えて、食後のお茶を啜る。
「アルキス、魔導具作りは順調かい?」
そう聞いたのは、ジークフリートお兄様だ。
「はい。一番簡単なランプは成功しました。この後、色を変えたりしたいと思っています」
「もう出来たのか! 早いじゃないか。その調子で頑張っておくれよ。あと、朝言っていた美味しいお菓子は出来たかな?」
「はい! プリンという柔らかい菓子です。とても美味しく出来たので、晩餐の時間を楽しみにしていて下さい」
「あら、お菓子も完成したのね。私も凄く楽しみだわ。ねえ、あなた」
「うむ。アルキスの思いつく菓子は、パンケーキしかり、クレープしかり、とても美味しいものだった。今回も楽しみだな」
お母様とお父様も、楽しみにしてくれている。
俺はそれがとても嬉しく、顔をほころばせた。
自室に戻ってきて、ひと息つく。
ランプのスイッチを入れると、とても明るい光が生まれる。
色を変える呪文はわかっている。
光を絞る呪文もわかる。
あとは基盤に書くだけ。
一部分削らないといけないので、彫刻刀が必要だ。
それとも、新しい基盤に書こうかな?
続きは明日だな。
俺はランプを消して、自室を出た。
訓練場に行くと、ルーカスはいなかった。
お兄様達と一緒に、ゴブリン討伐に行ったのかもしれない。
俺は魔法無効の措置がされている端の方まで歩き、壁から数メートル離れている位置から、魔法を撃つことにした。
俺の属性は、水と風だ。
まずは、詠唱破棄出来る魔法から撃っていく。
「ウォーターボール!」
ちゅどおおおおん!
水の塊が現れ、急スピードで飛んでいき、壁に傷をつけた。
この壁は魔法を吸い込むようになっているので、魔法では壊れない。
しかし、勢いはそのままぶつかる為、無傷というわけでもなかった。
「ウィンドカッター!」
ちゅどおおおおん!
見えない刃が飛んでいき、壁を切りつける。
よし、上位呪文の練習をしよう。
「水よ、彼方まで弾け飛べ! ウォータースプラッシュ!」
どごおおおおおおん!
強力な技はMP消費も大きい。
身体から力が抜けていく。
よし、もう一発!
「風よ、竜巻となり敵を討て! ウィンドストリーム!」
どごおおおおおおん!
また壁に傷がついたようだ。
あとは、詠唱破棄が出来るまで反復練習だ。
俺はMP切れになるまで、魔法を撃ち続けた。
夕焼けが綺麗にオレンジ色に染まる頃、俺は鍛錬を切り上げて、屋敷に入った。
向かう先は風呂場だ。
俺は風呂場に入って、服を脱ぎ、身体を洗って、湯船に浸かった。
「ふぅううう、生き返るぅ~」
俺はゆっくりと風呂を堪能し、風呂場を出て自室に戻った。
俺は『魔導具の作り方・初心者向け』を読んでいた。
配線は等身大に描かなければならない。
でも、それだとまな板サイズの基盤が必要になる。
なら、どうするのか。
答えはしっかり書かれていた。
短縮の呪文を使うのだ。
まずは半分の大きさに収まるように、作ってみることにする。
懸命に本を読んでいると、ノックの音が響いた。
「アルキス様、晩餐のお時間です」
「わかった、今行くよ」
メイドのサーラにそう答えて、俺は本を閉じた。
自室を出て、食堂に向かう。
食堂に入ると、ジュリアお姉様とルルーシュお兄様が元気そうな姿で座っていた。
俺は安心して、自分の席に座った。
全員揃ったら、料理が運ばれてきた。
今日も美味しそうだ。
「いただきます」
ナイフとフォークを持ち、食べ進めていく。
ゴマのパン、美味しい。
俺のお気に入りだ。
今日もパンを3つ食べ、お腹いっぱい。
そこに料理長ガストンの声がする。
「本日のデザートはプリンと申しまして、アルキス様のご考案された菓子でございます。どうぞ、ご賞味下さいませ」
配膳されたプリンに手を伸ばし、スプーンですくい取る。
ギリギリまで冷やしといてくれたらしい。
俺はそんなプリンを、口の中に入れた。
プリンはぷるぷるで、柔らかくて、冷たい。
「美味しいよ、さすがガストンだね」
「ありがとうございます」
「こんな菓子は初めて食べたわ。底の茶色いソースはほろ苦いのね。とても美味しいわ」
「あっと言う間に食べ終えてしまったな。アルキス、これは売れるぞ。いつも通り、クレベルタ商会にレシピを売るのか?」
「はい、お父様。魔導具作りはお金がかかりそうなので、たくさん売れて欲しいです」
「まあ、そうだな。たくさん売れることを祈ろうじゃないか」
お母様とお父様も満足してくれたようだ。
お姉様とお兄様達はどうだろう?




