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楽しい魔導具作り

 さあ、初心者キットの説明書通り、基盤に配線を書いていくぞ。

 真っ直ぐ線を引いて、スイッチを作る所を四角く囲い、魔石の場所を決める。

 よし、これで良い。

 スイッチの場所は切り抜かないといけないな。

 魔石も動かないように囲いを作らないといけない。

 スイッチの作り方も、魔石の覆い方も、説明書に書いてあった。

 俺は部屋を出ると、屋敷の裏に回った。

 馬小屋を覗くと、藍色の髪の男性がいた。


「ピエール、ちょっといいかな」


「アルキス様、俺に何か用ですかい?」


「あのね、ノコギリを借りたいの。それと、彫刻刀は余ってないかな?」


「まあ、俺の使ってるノコギリなら貸してやるよ。彫刻刀は余ってないけど、俺のなら貸してやるぞ?」


「わかった。じゃあノコギリだけ貸してくれる?」


「おう。じゃあこれな。取り扱いには注意するんだぞ」


「わかったよ。じゃあ、そこで使わせて貰うね」


 俺は持ってきた白い箱を出し、基盤の設計通り、くり抜いた。

 あとは覆いを作る必要がある。

 

「ピエール、要らない木材はどこかにないかな?」


「おう、こっちだ。この辺の木材は、全部廃棄だ。何か作るのか?」


「うん。魔石を入れる箱を作りたいんだ」


「じゃあ、この板が薄くて頑丈だから良いだろう。釘は余ってないから、木だけで組み立てられるように作るんだぞ」


「うん、わかった。じゃあ、作ってみるね」


 俺は板を切り、木だけで組み立てられるように、箱を作った。

 それと、端材でスイッチを作る。

 俺はピエールにノコギリを返して、お礼を言った。


 自室に戻ってきた俺は、全てを組み立ててみた。

 あとは魔石を入れれば、ランプになるはずだ。

 俺はジョルジュに魔石を貰おうと、自室を出ようとした所で、サーラに呼び止められた。


「アルキス様、ガストン料理長がお呼びです」


「わかった、すぐに向かうよ」


 俺は厨房へ向かい、中に入った。

 すると、ガストンが俺を手招く。

 そこには完成したプリンとスプーンが用意してあった。


「こちらの菓子はすっかり冷えましたぞ。しかし、完全に固まっていないようなのですが……」


「この菓子の特徴はぷるぷるしている事なんだ。早速食べてみよう!」


 ガストンと二人で食べてみると、甘くてぷるぷるで、とっても美味しい!


「なんと! このような食感の菓子は初めて食べます。ぷるぷるで、柔らかくて、食べやすい! ううむ、さすがアルキス様です!」

 

「底にカラメルソースがあるから、一緒に食べてみてね。うん、上手く出来たみたいだ」


 カラメルソースはほろ苦く、アクセントになってとても美味しい。


「ほほう、カラメルソースのほろ苦さが、甘い菓子にはアクセントになってより美味しいですな! これは何という菓子ですか?」


「これはね、プリンっていう菓子なんだ。今日の晩餐に、全員分作って欲しいんだけど、どう?」


「お任せ下され。では、作り方をお教え下され。晩餐までに美味しいプリンの作り方をマスターしておきますぞ。レシピは、いつも通り、クレベルタ商会にお売りしますか?」


「うん。そうしてくれる?」


「かしこまりました。では、レシピを作成して、アズール様に販売致します」


 俺はガストンにプリンの作り方を教えた。

 ガストンなら、俺より美味しいプリンを作ってくれる筈だ。

 

「じゃあ、後は宜しくね、ガストン」


「お任せ下さい。もうすぐ昼食ですので、昼食後に作りますぞ」


 俺はジョルジュを探して、屋敷の中をうろちょろする。

 すると執務室から、ぴしっと執事服を着たジョルジュが出てきた。


「アルキス様、何かお探しですか?」


「ジョルジュを探してたんだ。あのさ、魔石を1個貰いたいんだけど、どうかな?」


「魔石でございますね。少々お待ちください」


 執事室に入ったジョルジュが、1つの魔石を手に戻ってくる。


「こちらで宜しいですか?」


「うん。ありがとう、ジョルジュ」


「魔導具作りは順調ですか?」


「うんっ、今ランプを光らせる所なんだ。ジョルジュも見に来る?」


「はい。折角なので、見にお伺いしましょう」


 二人で俺の自室に入り、俺は内部の魔石ソケットに魔石をセットする。


「いい? つけるよ」


 スイッチを入れると、ぽわんと光る白い箱。

 揺らしてみても、ちゃんとついたままだ。


「やった、成功した!」


「おめでとうございます、アルキス様。ご家族の分を作り始めますか?」


「ううん、まずはこのライトを、色を変えたり、光量を絞ったりするように、改造してみるよ。それが出来たら、家族のランプ作りに入ろうと思う」


「かしこまりました。ご家族のランプの躯体は、細工屋に依頼されますか?」


「うん。さすがに俺じゃ、ランプの本体は作れないよ」


「では、木工細工屋の請求は、シカラーゴ家にお回し下さい。宜しいですね?」


「うわぁ、良いのっ? ありがとう!」


「ランプの魔導具は高額です。木工細工のランプは精々銀貨十数枚です。それをアルキス様が作れるようになれば、大変助かります」


「家族の分を作り終わったら、ジョルジュの分も作るよ。書類仕事をするなら、あった方が良いでしょ。どんなのがいい?」


「では、書類を見やすいものをお願いします」


「了解。頑張って作るね!」


 そこへ、トントンとノックの音が響いた。

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