最高の誕生日
ランニングを終えて、息を整えていると、ルルーシュお兄様が対戦相手を吹っ飛ばしている所に遭遇した。
「カリク! 腰が入ってねえぞ! だから吹っ飛ばされるんだ!」
「あいててて……。ルルーシュ様の突きの強さが、尋常じゃないんすよ。また腕を上げましたね」
「あははっ、そうか? おっ、アルキス、来たか。早速模擬戦をやろう!」
俺は木剣を手に取り、構える。
審判役はルーカスだ。
「よーい、はじめっ!」
すぐにルルーシュお兄様の鋭い突きが襲ってくる。
俺はそれをいなし、懐に入るために剣を振るう。
カンッ、カンッ、カンッ、ガキッ!
振るった剣は槍に弾かれ、押し返される。
しかし、それは想定内だ!
俺は連撃を続けて、隙が生まれるのを待つ。
カンッ、カンッ、カンッ、カンッ!
剣は槍にいなされ、弾かれる。
さすがルルーシュお兄様だ、隙がない。
しかし、連撃を続けていくうちに、俺は少しずつ前進していた。
お兄様が一歩下がる。
よおし、ここだ!
「【3連撃・猛虎】!」
「【5連撃・白虎】!」
お互いの必殺技が決まり、俺は槍に弾かれ、大幅に後退して、膝をついた。
「勝者、ルルーシュ!」
ルーカスの審判に、俺は首を垂れる。
「今日こそ、勝てるかと思ったのに……」
「俺を後退させるなんて、さすが俺の弟だな! だが、まだまだだ。休憩したら2本目やるぞ!」
「わかったよ、ルルーシュお兄様」
俺は荒い息を吐きながら、兄の清々しい笑顔を見つめるのだった。
その後10本挑んでも、ルルーシュお兄様には勝てなかった。
でも、少しずつ動きは読めるようになってきてる。
俺は俺なりのペースで成長しているのだ。
夕方まで訓練をして、ルルーシュお兄様とお風呂に入る。
身体を洗って、湯船に浸かる。
「ああ~、気持ち良い」
「一汗流した後の風呂は格別だよな! アルキスは今日一度も吹き飛ばされなかったな。体力がついてきた証拠だ。これからも頑張ろうな!」
「はい、お兄様。いつか1本とって見せます」
「あははっ、その意気だ!」
十分暖まってから、風呂を出た。
服を着て、自室に戻る。
俺は『魔導具師入門』を手に取り、読んでいく。
ふむふむ、アナログの繋ぎ方も載っているな。
昔は銅線で接続していたらしいが、今は魔術インクによる無線接続が普通である。
なるほど、配線も魔術インクで書けばいいのか。
読み進めていくほどに、理解が高まる。
配線のやり方は理解した。
後は肝心の呪文だな。
トントン。
「アルキス様。晩餐の準備が整いました」
「わかった。今行くよ」
本を閉じて、席を立つ。
自室を出て、食堂へ向かった。
全員が揃ってから、料理が運ばれてくる。
今日のメニューは、スープと野菜サラダ、オークのステーキに焼きたてパン。
デザートに、パウンドケーキまである。
「うわぁ、すごく豪勢だね」
「今日はアルキスの誕生日だからな。改めて、おめでとう。オーク肉は冒険者ギルドから仕入れたものだ。さぁ、いただこう」
「はい! いただきます」
まずはスープから飲んでみた。
鶏の旨みが出ていて、スッゴく美味しい。
続いて、野菜サラダを食べる。
葉野菜がシャキシャキしてて、最高に美味しい。
次は、オークのステーキだ。
お肉をナイフでカットして、口に運ぶ。
すごく柔らかいお肉が、口の中でとろける。
脂が甘くて、とっても美味しい。
俺はパンを食べながら、ステーキをぱくぱく食べた。
最後に、デザートのパウンドケーキだ。
ブラックベリーがたっぷり練り込まれたパウンドケーキは酸味もあり、甘すぎる事なく、ぺろりと3切れ食べた。
「凄く美味しかったよ。ガストン、どうもありがとう」
「ご満足頂けて嬉しいですぞ。また調理場に遊びに来て下され」
「うん、わかった。今度甘味を作りに行くよ」
すると、甘味というワードに反応したのか、ジュリアお姉様が目を輝かせる。
「何か美味しい甘味を思いついたの? アルキスの作る甘味は、美味しいから食べたいわ」
「まだ作ってみないと、美味しいかわかりません。出来たら晩餐の時に出しますから、楽しみにしていて下さい」
「早めに作りなさいよ! 魔導具の勉強ばかりしていては、駄目だからね!」
「はいはい、わかりました。なるべく早く作りますね」
それで俺達は解散して、自室に戻った。
本をもうちょっと読みたかったけれど、ランプのない自室は薄暗い。
俺は早起きする事に決めて、ベッドに入った。
明日は『魔導具呪文一覧』を読もう。
俺は目を閉じると、速やかに眠りに落ちていった。




