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魔導具って面白そう

 まず、魔術インクを用意する。

 入れる魔石はクズ魔石で構わない。

 入れる量はダマにならない程度。


 初心者キットに入っている基盤は、木の基盤で、一番安価。

 高い物は金属の基盤があり、長持ちする。

 脆いけど、石の基盤でも動作するようだ。


 俺には木の基盤が丁度良いだろう。

 初心者キットには3枚入っており、木の基盤は木工細工屋で作って貰うことも出来るそうだ。

 

 そして、肝心な呪文は木の基盤に書き込んだ後、所定の位置に魔石をセットして、スイッチを入れるらしい。

 ふむふむ、初心者向けとはいえ、すごく簡単だ。

 ああ、早くやってみたい。

 しかし、部屋にノックの音が響く。


「アルキス様、昼食のお時間です」


「わかった、今行く」


 メイドのサーラにそう返事をして、俺は食堂に向かった。

 全員揃った後、料理が次々に運ばれてくる。

 昼食のメニューは、コーンスープ、チキンのハーブ焼き、野菜サラダ、焼きたてパン。


「このゴマの入ったパン。凄く美味しいね」


「ありがとうございます、坊ちゃま。これからも、工夫を凝らしていきますぞ」


 料理長のガストンが頭を下げて、そう言った。

 俺はパンを3つも食べて、お腹いっぱい。

 食後のお茶を飲んでいると、お父様が切り出した。


「アルキス。クレベルタ商会で良い物が買えたようだね」


「はい、お父様。魔導具作成の初心者キットを購入しました。お金を工面して頂き、ありがとうございます」


「今日はお前の誕生日だからな。丁度良かろう。魔導具が出来上がったら、見せておくれ」


「はい。必ず完成させます」


 すると、お姉様が口を挟んだ。


「まあ。アルキスは魔導具を作るの?」


「はい。説明書を読んだら、凄く面白そうだったんです」


「それは良かったわね。魔導具は、一番安いランプの魔導具でも、金貨3枚はするわ。作れるようになったら、女の子らしいランプを作って頂戴」


「ジュリアだけずるいぞ。俺も欲しい。俺は丸い形のランプがいいな」


「俺も書類仕事の為に一つ欲しいね。俺は実用性重視のものを1つ頼むよ」


「わかりました。家族全員の分を作ります。お父様とお母様はどうでしょう?」


「俺は書類が見やすいものが良いな。大きさは小さい方が望ましい」


「私は花の形のランプがいいわ。色が変わるともっと良いわね」


「わかりました。やってみます。うちの書庫に、魔導具制作の本はありませんか?」


「少ないが、数冊ならあったはずだ。ジョルジュ、魔導具制作の本をアルキスに貸し出すように」


「かしこまりました」


 ジョルジュはうちの執事で、もう50歳を超えているのに、すごく若々しい。

 動きがキビキビしていて、いつも忙しそうにしている。

 ちなみに侍従長はジョルジュの息子で、サンリックという。

 サンリックは気さくなお兄さんだ。

 小さい頃はよく遊んで貰った。


「アルキス、午後からは剣の訓練だろう? 俺と組み手をしようぜ!」


 ルルーシュお兄様からのお誘いだ。

 俺は頷いて了承する。


「わかりました。まず訓練場の周りでランニングをするので、終わるまで待って貰えますか?」


「いいぞ。俺も身体を温めておく。今日は槍で勝負するよ」


 ルルーシュお兄様は槍か。

 どうやって間合いに入ろうかな。


「明日は魔法の鍛錬よ、アルキス。ルルーシュとばっかり仲が良くて、羨ましいわ」


「はい、お姉様。剣も魔法も、頑張りますね」


 俺はそう言って、お茶を啜った。

 食後は自室に戻った。

 しばらく説明書とにらめっこしていると、ノックの音が響いた。


「アルキス様、魔導具制作の本をお持ちしましたぞ」


 ジョルジュの声だ。

 俺は扉を開けて、ジョルジュを招き入れた。


「ジョルジュ、ありがとう。重そうだね、机に置いてよ」


「かしこまりました。本は3冊ございます。『魔導具師入門』、『魔導具呪文一覧』、『魔導具の作り方・初心者向け』でございます。『魔導具呪文一覧』は、古いものですので、新しい呪文が今は増えているものと思われます」


「十分過ぎるよ。ありがたく読ませて貰うね」


「シカラーゴ家で魔導具に興味を持つ人間は、あまりおりませんでした。アルキス様が大成なさる事をお祈りしておりますぞ。では、私はこれにて失礼致します」


 ジョルジュは、丁寧にお辞儀をしてから、去って行った。


「本はすぐ読みたい所だけど……、まずは剣の訓練だ。よし、お腹も落ち着いたし、そろそろ行こうかな」


 俺は部屋を出て、訓練場に向かう。

 使用人がすれ違う度に、誕生日を祝ってくれる。

 俺は胸が温かくなるのを感じながら、歩を進めた。


 訓練場に着き、まずはランニングから始める。

 長距離を走るので、全力では走らない。

 訓練場の周りを、ぐるぐる回る。

 身体能力は、日本にいた頃より優れていると感じている。

 10歳の身体である事もそうだが、とても身体が軽い。

 生まれ変わった事により、運動能力も向上したんだろう。

 女神エルキュール様には、感謝している。

 今度、教会に挨拶に行かなければならないな。

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