海の町へ出発!
翌朝、ぱっちりと目が覚めた。
今日は25日、海の町へ行く日である。
ベッドから抜け出し、顔を洗って、身支度を整える。
椅子に座っていると、トントンとノックの音が響いた。
「アルキス様、朝食のお時間です」
「わかった、今行く」
俺は身支度を整えて、自室を出た。
食堂に入り、自分の席に座る。
美味しそうな朝食が並べられ、食べ始める。
今日のスープも、凄く美味しい。
野菜サラダをしゃくしゃくと食べて、目玉焼きとソーセージを食べる。
ゴマのパンは、3つ食べた。
デザートの葡萄まで食べ終わり、食後のお茶を飲む。
「今日はアルキスが、アズールと海の町へ買い出しに行く。アルキス、大人と離れるんじゃないぞ。道中、気を付けてな」
「はい、お父様。新鮮な魚介類を仕入れてきます。すっごく楽しみです!」
「アルキス、道中気を付けてな。旅の土産話を楽しみにしているぞ」
「はい、ジークフリートお兄様」
俺は全員に挨拶をして、解散となった。
俺は自室に戻り、短剣を装備して、肩掛け鞄を肩にかける。
俺がアイテムボックスを使えるのに、鞄を持つ理由は、アイテムボックス持ちは狙われるからである。
アイテムボックス持ちは誘拐されやすい。
貴族の領主みたいな偉い人なら、荷物なんて持たないだろうけど、俺みたいな子供は、鞄を持ってないと怪しい。
というわけで、俺は鞄を愛用している。
俺は鞄に明日の着替えを入れて、自室を出た。
向かった先は、執事室だ。
トントン、とノックする。
「アルキスです」
「どうぞ」
俺は中に入った。
ジョルジュは、書類仕事をしていたようだ。
「アルキス様、丁度良かった。これ、魚介類の買い付けの軍資金です。金貨3枚入っています」
「うん、預かるね」
「そして、こちらがアルキス様のお小遣いです。金貨3枚入っています」
「そんなに、良いの? ありがとう!」
俺は2つの布袋を受け取って、アイテムボックスに入れた。
「海の町を楽しんできて下さいね。行ってらっしゃいませ」
「うん、行ってきます!」
俺は執事室を出て、屋敷を後にした。
食料品エリアを抜けて、職人街を抜ける。
商店街はまだ静かなものだ。
クレベルタ商会の前に、大きな馬車が止まっていた。
回り込んで中を覗くと、アズール叔父様が見えた。
「アズール叔父様、おはようございます!」
「アルキス、おお、これで全員揃ったな。アルキス、紹介しよう。今回護衛任務についてくれるBランクパーティ【紅の剣】だ。ガイウス、この子はアルキス。アイテムボックス持ちの子供だ。今回買いつける商品は、全部アルキスに収納して貰う」
「アルキス・シカラーゴです。宜しくお願いします」
「俺は【紅の剣】のリーダーで剣士のガイウスだ。基本的に子供だけで行動しては駄目だ。俺達の言うことをよく聞いて欲しい」
「はい、わかりました」
「私はシーフのアザリアよ。宜しくね」
「俺は魔法使いのゲイルだ。宜しくな」
「私は神官のカタリナよ。宜しくね」
さすがBランク冒険者、装備も高そうだ。
なんか貫禄がある。
「さぁ、馬車に乗り込んでくれ! この二人はメリルとトーマスだ。今回の買い付けを担当する。さあ、出発だ!」
俺はアズール叔父様の対面、窓際に座った。
楽しい旅の始まりだ。
俺は窓から外を眺めて、ワクワクするのだった。
まず、カンゲリムの町を出て、平原を走って行く。
道はちょっとでこぼこしていて、結構揺れる。
「アルキス、カンゲリムを出るのは初めてだったか?」
「うん。門の外にも出たことがないんだ。町の外はこんな景色なんだね」
アズール叔父様が微笑ましそうに俺を見ている。
「そうか。途中でフギン村というところで、昼食だ。夕方には、海の町ラグーンに着く。買い物は明朝に行う。今日は、基本的に移動だけだぞ」
「うんっ、わかった!」
俺はどこまでも続く平原を眺め続けた。
こっくり、こっくりとうたた寝をしていたら、急に馬車が止まった。
「アズール様、ウルフですっ! 10匹くらい、います!」
「行くぞ、お前ら!」
【紅の剣】の面々が、馬車を飛び出していった。
俺は窓から、そっと眺めてみた。
ウルフは狼型のモンスターだ。
1匹が思っていたより大きい。
馬を狙っていたウルフが斬り殺されていく。
固まった所に、『ウィンドストリーム』が炸裂する。
ウルフは一体残らず討伐され、みんなナイフで、魔石を取り出している。
死体を街道から少し離れた所に放置して、【紅の剣】が、帰ってきた。
「お待たせ。アルキス、そっちつめて。冒険者の討伐風景は初めて見るの?」
「うん。訓練しかしたことない。今、10歳だから、実戦に挑戦できるまで、あと2年もある。あんなに大きなモンスターを狩れるようになるかなぁ」
「はじめは、スライムから始めることね。いきなりは、誰でも無理よ。みんな、色々経験して、強くなるのよ」
アザリアさんは、優しくそう言ってくれた。
「はい。今は訓練を頑張ります」
「それが良いわ。焦らなくて大丈夫よ。訓練は自分を裏切らないわ」
俺達は街道を走り抜けて、順調に進んでいた。




