掃除機の修理
俺はまっすぐ執事室へと足を向けた。
トントンとノックをする。
「アルキスです」
「どうぞ」
中に入ると、ジョルジュが書類仕事をしていた。
「これはアルキス様、如何されましたか?」
「えっと、作りたいものがなくて、暇なんだ。魔導具の修理でも、したいなーって思ったんだ。何か故障している魔導具、ない?」
「そうですか。丁度、掃除機が故障しております。倉庫に参りましょう」
俺はジョルジュについていき、倉庫の前に立った。
ジョルジュが鍵を開けて、中に入る。
埃っぽい倉庫内は、とても広い。
「こちらで少々お待ちください」
ジョルジュは奥に入り、1台の掃除機を持ってきた。
鉄製で、ちょっとサビもあるようだ。
「もう10年以上使っておりますので、さすがに買い換えの時期かもしれません。でも、修理出来るのなら、お願いしたいです」
「うん、わかった! お預かりします!」
俺は掃除機をアイテムボックスに収納して、倉庫を出た。
ジョルジュと別れ、まず自室へ行く。
汚しても良い服に着替えて、屋敷の裏に行く。
馬小屋を覗くと、ピエールがいた。
「アルキス様、どうなさいました?」
「ピエール、金やすりを貸して欲しいんだ」
「ええ、良いですよ。ほい、これをどうぞ」
「ありがとう。掃除機を修理するんだけど、どのへんでやったらいい?」
「じゃあ、この辺でお願いします」
「了解」
俺はまず、掃除機をアイテムボックスから取り出した。
そして、部品を一個ずつ解体していく。
ホースの中に何かつまっているかな?
うーん、よく見えないや。
基盤がちょっとサビているけど、配線と呪文は読める。
ふむふむ、吸引の呪文を使っているのか。
構造は単純なんだな。
俺は基盤以外のパーツを丁寧にやすりをかけた。
やっぱり掃除機の中は埃でいっぱいだったので、懸命に綺麗にした。
ちょっとむせたけど、部品は見違える程綺麗になった。
パーツを組み立てて、魔石を取り外す。
大きい魔石が使われていた。
さて、結構時間が経ったぞ。
俺は組み立て直した掃除機と基盤をアイテムボックスに入れて、ほこりだらけの床に目を落とした。
「ピエール、金やすりをありがとう。あそこがほこりだらけに、なっちゃったんだけど……」
「ああ、あとで掃除するんで、ほっといて下さい。修理はうまくいきましたか?」
「うん。サビは落としたし、きっと直っていると思う!」
「そりゃあいい。掃除機は故障が多いんですよね。倉庫に10台は眠ってますぜ」
「えええ、そんなに?」
「あっはっは、本当に直るならめっけもんだ。ゆっくり修理してみて下さいよ」
「うん、わかった!」
俺はピエールにお礼を言って、自室に戻った。
アイテムボックスから、掃除機の基盤と、まっさらな鉄の基盤を取り出して、魔術インクと魔術ペンも用意する。
俺は魔術ペンで、新しい鉄の基盤に配線と呪文を書き込んでいく。
たっぷり30分程かけて、丁寧に写し終えた。
アイテムボックスから掃除機を取り出して、基盤をセットする。
あとは、魔石が必要だな。
俺は掃除機をアイテムボックスに入れて、執事室へ向かった。
トントンとノックをする。
「アルキスです」
「どうぞ」
俺は執事室に入った。
「アルキス様、如何されましたか?」
「掃除機の修理が終わったから、魔石を貰いに来たんだ。大きな方の魔石をお願い」
「おお、もう修理出来ましたか。魔石ですね、こちらをお使い下さい。どれ、私が確認いたしましょう」
俺達は執事室を出て、廊下へアイテムボックスから掃除機を出した。
ジョルジュから受け取った魔石をはめこみ、ジョルジュにホースを渡す。
「では、スイッチオン。……おお、動いています。しっかり吸っておりますぞ!」
「本当? 直ったんなら良かった。基盤がサビてたから、それが故障の原因だと思うんだよね」
「ありがとうございます、アルキス様。掃除機は故障が多いので、修理出来るなら、助かります」
ジョルジュはスイッチをオフにして、俺にお礼を言った。
「ピエールが、掃除機はまだ倉庫に眠っていると言ってたよ。本当に、まだあるの?」
「ええ、10台ほどございます。修理代は高額で、新しく買った方が早いんですよ」
「そ、そうなんだ……。じゃあ、明日から、1台ずつ修理するよ。ホースが破れてたりしなければ、修理出来るはずだよ」
「わかりました。宜しくお願いします。この掃除機は私がお預かり致しますね」
「うん。じゃあ俺は部屋に戻るね」
俺は自室に戻り、ほこりだらけの服を着替えた。
ベッドにダイブして、ゴロゴロする。
掃除機は、色んな所に持ち運ぶから、壊れやすいのかもしれないな。
ホースの中は、さすがに磨けない。
本体の修理で済む事を祈ろう。




