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ベイクブリッド辺境伯様の出立

「昨日は全然駄目でした。今朝、いくつか試していたら、成功したんです。ジークフリートお兄様が言っていたように、暑い夏に部屋をひんやり冷やすエアコンという魔導具を開発しました」


「ちょ、ちょっと待ってくれ。何か試作機はあるのかい?」


 アストレイ様も驚愕のお顔だ。

 俺はアイテムボックスから小型エアコンを取り出して、スイッチオン。

 冷風が噴き出したのを確認して、アストレイ様に渡した。


「呪文は、『冷風よ 吹け コールド』です。エアコンの他に、涼むための魔導具、扇風機も作成中です。ベイクブリッド辺境伯家には、エアコンと扇風機を5台ずつお贈り致します。これも、3ヶ月後に遊びに行った時にお渡しします。丁度夏なので、効果も実感して頂けると思います」


「それは素晴らしいね。でも、洗濯機もドライヤーも貰うのに、貰いすぎじゃないかい?」


「アストレイ様は命がけでゴブリン討伐に参加して下さいましたし、魔導具ギルドの事も、教えて下さいました。お姉様とのご婚約祝いということにさせて下さいませんか?」


「はっはっは。それなら、受け取るしかあるまい。アルキス、君達が遊びに来るのを、楽しみに待っているよ」


「はい! ありがとうございます!」


 それで俺達は解散し、自室に戻った。

 小型エアコンも、アイテムボックスにしまった。

 俺は動きやすい服に着替えて、訓練場に行った。

 まずはランニング20周。

 走り終えたら、魔法の鍛錬だ。

 俺は呪文を唱え、魔法無効の壁に撃ちまくる。

 何十回も、連続して撃っていく。

 魔法は、反復練習で、詠唱破棄を習得出来る。

 俺は中級呪文までしか、まだ使えない。

 俺はまだまだ努力が足りないのだ。


 空が茜色に染まり、魔力も底をついた。

 俺は鍛錬を切り上げて、風呂場に直行した。

 服を脱いで、身体を洗い、湯船に浸かる。

 

「ああ~、生き返る~」


 俺はゆっくり湯船を堪能し、風呂場を出た。

 自室に戻り、礼服に着替える。

 椅子に座って、リラックスした。

 俺は『魔導具の作り方・初心者向け』の本をじっくり読み込む。

 気付いたら時間が経ち、トントンとノックの音が響いた。


「アルキス様、晩餐のお時間です」


「わかった、今行く」


 俺は身支度を整えて、自室を出た。

 食堂に入ると、全員が揃っていた。

 俺も自分の席に座り、料理が揃うのを待つ。


「いただきます」


 今日も料理は凄く美味しい。

 ゴマのパンを3つ食べて、お腹いっぱい。

 デザートにプリンを食べた。

 食後のお茶を啜っていると、お父様が話し始めた。


「ジュリア、ルルーシュ、ご苦労だったな。森の様子はどうだ?」


「ゴブリンは激減したわ。平和な森に戻ったと思う。ただ、ゴブリンの死体の処理がまだまだ終わらないの。私は燃やす担当なんだけど、燃やしても、燃やしても、ゴブリンの死体の山が出来あがるのよね」


「1キロメートル位、ゴブリンの死体で埋まってるんだ。燃やしても良い場所に集めるのが、俺の担当なんだが、まだまだ時間がかかりそうだぜ」


 ジュリアお姉様とルルーシュお兄様は、そのように述べた。


「うむ。あと数日かかるものと見ている。すまないが2人とも、ゴブリンの死体の処理を頼む」


「ええ、了解よ」


「おう、わかった」


 それで俺達は解散した。

 俺は自室に戻り、動きやすい服に着替えて、ベッドに潜り込んだ。

 俺はゆっくり夢の世界に旅立っていった。




 翌朝、ぱちりと目が覚めた。

 ベッドから抜け出して、顔を洗い、礼服に着替える。

 トントンとノックの音が響いた。


「アルキス様、朝食のお時間です」


「わかった、すぐ行く」


 俺は自室を出て、食堂に向かった。

 食堂に入ると、全員揃っていた。

 俺も自分の席に座る。

 料理が並べられ、食べ始める。

 今日もすごく美味しい。

 俺はゴマのパンを3つ食べて、お腹いっぱい。

 食事が終わり、食後のお茶を啜っていると、ベイクブリッド辺境伯様が話し出した。


「長く滞在させて頂き、感謝している。3ヶ月後には、是非家族全員で遊びに来てほしい。ジュリア嬢とアストレイの婚約が成立して、とても嬉しく思っている。今後ともよろしく願いたい」


「こちらこそ、たいしたおもてなしも出来ませんで、失礼致しました。ジュリアが嫁ぐのは1年先ですが、どうぞ宜しくお願い致します」


「俺はジュリア嬢と出会えて、とても嬉しく思っています。これから文通を通して、仲を深めていきたい。若輩者ですが、彼女を幸せに出来るように励みます」


 おお、アストレイ様、カッコいい。

 お姉様は……笑顔で口を開いた。


「私もアストレイ様に出会えて嬉しく思っておりますわ。ふつつか者ですが、末永く宜しくお願い致します。きっと、アストレイ様の隣に立つに相応しい女性になってみせますわ」


 お姉様もカッコいい。

 いい雰囲気になった所で、お見送りだ。

 食堂を出て、馬車止めまで歩く。

 そこに家族全員で並んで、挨拶をした。


「アルキス、君のレシピはしっかり買っておいたよ。また美味しい料理を開発してくれたまえ」


「はい、これからも励みます」


 ベイクブリッド辺境伯様は、気さくに微笑んでくれた。


「アルキス君、君の魔導具を心待ちにしているよ。詳しくは俺の家で話そう。3ヶ月後を楽しみにしていてくれ」


「はい。アストレイ様のコレクションを拝見するのを楽しみにしています。3ヶ月後に、魔道具の説明もしますね。どうぞ宜しくお願いします」


 アストレイ様もにっこり笑ってくれた。

 アストレイ様は最後にジュリアお姉様の手を取って、口づけをしていた。

 うわあ、イケメンだけが許される行為だ。

 ジュリアお姉様は、美しく微笑んで見送っていた。


 ベイクブリッド辺境伯様の馬車が出発した。

 全員で手を振り、別れを惜しんだ。

 馬車が見えなくなり、俺達も解散する。

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