アズール叔父様の大量注文
俺はペンをインクにつけて、エアコンと扇風機のデザイン画を描いた。
「こっちがエアコン、こっちが扇風機です。扇風機はプロペラが回り、首が180度回転します。それと、プロペラの所から、冷風が噴き出ます。涼むためにある魔導具です」
「ほうほう、首が回るんだね。逆に止めることも出来るかい?」
「はい。首振りを止めるスイッチがついてます。材質は鉄製と、木造を、お客様に選んで貰えばいいと思うんですが、どうでしょうか? そうだ、魔導具ギルドがエアコンと扇風機を買うかもしれないって、言っていました」
「素晴らしい。鉄製と、木造は、材料費はいくらだい?」
「鉄製が、金貨30枚、木造は、銀貨50枚です」
「では、売値が鉄製が金貨60枚、木造が金貨1枚だな。使用料のかかる呪文は使うか?」
うーん、扇風機は実物がないから、わからない。
「今のところは、使わないつもりです。でも、出来上がってみないとわかりません」
「わかった。扇風機も見本を1台くれ。出来上がったらすぐ持ってきてくれるかい? 夏が始まる前に大量注文をかけたい。貴族は皆鉄製を買うだろうが、使用人用なら木造で良い。販路はいくらでもある。魔導具が完成したら、エアコンを100台、扇風機は鉄製を100台、木造を、200台注文してくれ」
「わかりました。納期は2週間後なんで、それ位にまた来ますね」
「わかった。じゃあ、このデザイン画は貰っておく。場合によっては、予約を受け付けるから、宜しくな」
「はい。じゃあ、今日は帰ります。またね、アズール叔父様」
「ああ、気を付けて帰ってくれ」
俺はジャックと共に来賓室を出て、クレベルタ商会を後にした。
「じゃあ、帰りましょうか」
「うんっ」
俺はジャックと共に帰路に着いた。
ジャックは食料品エリアで、もの凄く声をかけられていた。
相変わらずモテモテだ。
ジャックは飄々としているし、女の子にデレデレしない。
そこがモテる秘訣なのかも?
しばらく歩いて、屋敷に到着した。
ジャックと別れて、屋敷に入った。
俺は、執事室に足を向けて、ノックをした。
「アルキスです」
「どうぞ」
俺は執事室に入った。
「おかえりなさい、アルキス様。エアコンは無事注文できましたか?」
「うん。金額は、ベイクブリッド辺境伯家に献上する分は、金貨60枚、普通のは金貨50枚。納期は2週間だって。献上する分が5台、屋敷用を10台注文してきたよ」
「それは良かった」
「あとね、冷風の呪文は新魔法だって。魔導具ギルドで、報奨金を白金貨10枚貰ってきたよ」
俺はジョルジュに、アイテムボックスから白金貨10枚を出して、渡した。
「それはおめでとうございます。アルキス様は大金持ちですな」
「アズール叔父様とも話してきたんだけど、エアコンを100台も注文したいんだって。材料費だけでも、とんでもないじゃん。報奨金は俺のお金じゃないし、魔導具の作成費用の足しにしてよ」
「アルキス様のお気持ちをありがたく受け取りましょう。そのかわり、お小遣いは期待できますぞ。もうすぐ海の町に行くことですし、楽しんで来られると良いでしょう」
やったぁ!
お小遣いが貰える!
俺は飛び上がって喜んだ。
「ありがとう、ジョルジュ。それとね、扇風機っていう、冷風が出る魔導具も注文してきたんだ。これは鉄製と、木造を両方注文した。ベイクブリッド辺境伯家に献上する分を5台ずつ、屋敷用に10台ずつ注文してきた」
「扇風機ですか。それは出来上がりが楽しみですね。アルキス様は発想が豊かでいらっしゃる」
「それとね、エアコンと扇風機を、私兵団でも使いたいって、ジャックが言ってた。あと、商品の見本に1台ずつアズール叔父様が欲しいって」
「わかりました。配慮致します」
「俺の用事は以上だよ。魔導具ギルドがエアコンと扇風機を買ってくれるような事を言ってたんだ。白金貨1枚以上するのに、凄いよね。沢山売れると良いねえ」
「そうですね。アルキス様のエアコンは素晴らしい機能の魔導具です。きっとたくさん売れますよ」
「そうだと良いなぁ。じゃあ、部屋に戻るよ。またね、ジョルジュ」
俺は執事室を出て、自室に戻った。
装備を外して、礼服に着替える。
椅子に座り、リラックスした。
「ふう。エアコンと扇風機はこれで良いかな。次は何を作ろうかな?」
ランプ、洗濯機、エアコン、扇風機。
次はどうしようかなぁ。
うーん、何にも思いつかない。
明日、何か修理する魔導具がないか、聞いてみよう。
トントン、とノックの音が響いた。
「アルキス様、昼食のお時間です」
「わかった。今行くよ」
俺は自室を出て、食堂へ行った。
お父様とお母様、ジークフリートお兄様と、ベイクブリッド辺境伯様、アストレイ様が座っている。
俺も自分の席にすとんと座った。
料理がすぐに並べられ、静かに食事が始まった。
今日の料理もすごく美味しい。
ゴマのパンを3つも食べて、お腹いっぱい。
食事が終わり、食後のお茶を啜っていると、お父様が話し始めた。
「ゴブリン討伐の後始末は、ゴブリンの死体がとにかく大量で、まだ終わりが見えないらしい。ジュリア達にはあと数日、同じ仕事を頼むことになると思う」
「ゴブリンの数は減少しているのでしょうか?」
ジークフリートお兄様の質問が飛ぶ。
お父様は頷いて、話し始めた。
「ゴブリンはすっかり少なくなり、あまり遭遇しないと聞いた。森はすっかり正常だよ」
「それは良かったです」
「それと、話は変わるが、アルキスが冷風の呪文を発見した。魔導具ギルドから報賞金、白金貨10枚を貰ってきた」
「えっ?! もう冷風の呪文を見つけたのかい?」
ジークフリートお兄様の驚愕の顔。
俺はゆっくり話し始めた。




