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エアコンの開発

 翌朝、ぱちりと目が覚めた。

 起きて顔を洗い、礼服に着替える。

 すると、トントンとノックの音が響いた。


「アルキス様、朝食のお時間です」


「わかった、今行くよ」


 俺は身支度を整えて、自室を出た。

 食堂に入り、自分の席に座る。

 料理が次々と並べられ、食べ始める。

 今日の朝食も凄く美味しい。

 俺はゴマのパンを3つ食べて、お腹いっぱい。

 食後のお茶を啜っていると、お父様が話し出した。


「今日はジュリアとルルーシュには、討伐したゴブリンの後始末を頼みたい。ゴブリンの数は激減したと聞いているが、十分気を付けてくれ」


「ええ、任せておいて」


「おう、頑張るぜ」


 ジュリアお姉様とルルーシュお兄様は、意気揚々と返事をした。

 俺達はそれで解散して、自室に戻った。

 さて、冷風の呪文を探そう。

 冷風よ 吹け、までは合ってると思うんだよね……。

 冷たいってなんて言うんだっけ?


「『冷風よ 吹け フリーズ』!」


 しーん。

 発動しない。


「『冷風よ 吹け コールド』!」


 しゃわわわわー。

 おっ、発動したぞ。

 もう一回やってみよう。


「『冷風よ 吹け コールド』!」


 手に冷たい風が当たる。

 よし、成功だ!


「やったぁ! じゃあこれで、部屋を冷やすとして……冷やしすぎはよくないよね。温度調節の呪文はあるかな?」


 俺は『魔導具呪文一覧』をめくって、呪文を確認した。


「おっ、温度調節の呪文があったぞ。25度になったら止まるようにして、配線を書いてみよう」


 俺はまっさらな木の基盤を取り出して、配線を書き始める。

 まずは既存のランプの箱に入れて、作ってみよう。

 吹き出し口に穴を開けないといけないな。

 とりあえず冷風は4カ所から出るように設計した。

 入れ物が大きいから、短縮の呪文は必要ない。

 俺はいきいきと呪文を書き連ねた。

 壁に取り付けるのって、出来るのかな?

 釘を使えば出来ると思うけど、どうなんだろう。

 置物型にして、装飾を凝って貰えば、いいかもしれない。

 風の出る方向を調節して、と。

 スイッチをつけて、魔石ソケットを描く。

 これでよし。

 俺はランプの白い箱をアイテムボックスにしまい、自室を出た。

 屋敷の裏に回り、馬小屋を覗くと、ピエールがいた。


「おや、アルキス様。今日はどうされました?」


「ノコギリを貸して貰いたいんだ」


「わかりました。このノコギリをどうぞ」


「ありがとう。ちょっと借りるね」


 俺は開けた場所に、アイテムボックスからランプを取り出して、解体した。

 ランプの基盤と魔石を取り除き、冷風の吹き出し口に穴を開ける。

 丁寧に穴を開けて、白い箱を組み立てる。

 うん、良い感じだ。

 冷風の呪文を書いた基盤と魔石をセットして、スイッチを入れた。

 冷たい風が勢い良く吹き出す。


「よおし、成功だ!」


 風が出る方向などをチェックして、冷風の冷たさを体感した後、スイッチを切った。

 アイテムボックスにしまいこみ、ノコギリをピエールに返す。

 俺は屋敷に入り、執事室の扉を叩いた。

 トントン。


「アルキスです」


「どうぞ」


 俺は扉を開いて、中に入った。


「アルキス様、どうなされました?」


「まず、これを見て欲しいんだ」


 俺はアイテムボックスから、ライトを改良した小型エアコンを取り出した。

 ジョルジュの机の上に置いて、スイッチを入れる。

 勢い良く冷風が出て、書類を揺らす。


「おお、冷たい風が出ていますぞ! これは凄い!」


「机に置くと書類が飛ぶし、この大きさだと部屋が冷えるのに時間がかかる。だから大型化して、壁に掛けれたらいいと思うんだけど、どう思う?」


「壁掛けですか……。壁に穴が空くのは、どの貴族も歓迎しません。どの家にも棚はありますから、棚の上に設置できるように作ると良いですよ」


「やっぱり置き型がいいのか。大きさは棚に合わせたらいいよね。スイッチは今、本体につけてるんだけど、紐を垂らして引っ張ればいいように、した方が良いかな?」


「ううん、紐でございますか。形状的に、あまり優雅ではございませんな。本体につけて置けば良いのではありませんか?」


「でも、スイッチを入れるために、毎回背伸びするのもどうかと思うんだよな」


 ジョルジュは冷風を吐き出す小型エアコンを、棚の上に乗っけた。

 ジョルジュは長身なので手が届くが、メイドでは届かない。


「なるほど。紐はあったほうが良さそうですな。材質には凝った方が良さそうです」


「わかった。材質は木造で良いかな?」


「長く使う魔導具は、金属が推奨されます。掃除機も金属製です。素直に鉄を使えば良いでしょう」


「わかった。それでね、このエアコンは室温が25度になったら止まるようにしてある。それとは別に、暖房機能も付けようと思うんだ。切り換えは本体にスイッチをつけて、冷房と暖房を使えるようにする。そうしたら、年中使えるでしょ?」


「それは素晴らしい魔導具ですね。是非、このシカラーゴ子爵家にも導入したい。ご家族や仕事部屋の分も含めて、先に10台程、作って頂けますかな。それと、ベイクブリッド辺境伯家に献上する分も5台程欲しいですな」


「金属ってことは、材料費も結構かかるけど、良いの?」


「ええ、大丈夫です。金物屋に出かけられますか?」


「うん。ジャックに護衛を頼めばいい?」


「はい。お気を付けて、いってらして下さい」


 俺は棚に乗っけた小型エアコンを、ジョルジュから受け取り、アイテムボックスにしまった。

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