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新魔法の登録

 まずは、ランニングから。

 訓練場の外周を20周走る。

 今日はいつにも増して、人が少ない。

 ゴブリンキング討伐に行っているのだろう。

 俺は残っていた私兵と模擬戦をして過ごした。

 

 3勝6敗、なかなかの成績で訓練を切り上げた。

 訓練所を出て、お風呂場へ直行。

 風呂場に入り、服を脱いで、身体を洗う。

 ゆっくり湯船に浸かると、身体の力が抜けていく。


「ああ、生き返るぅ~」


 俺はゆっくり湯船を堪能し、お風呂場を出た。

 服は礼服に着替えて、髪を整える。

 早くドライヤーが欲しいなぁ。

 俺は自室に戻り、椅子に腰掛けた。

 ドライヤーは木工細工屋から、現物が届かないと作れない。

 次は何を作ろうかな……。

 考え込んでいると、トントンとノックされた。


「アルキス様、晩餐のお時間です」


「わかった、今行くよ」


 俺は鏡を見て身支度を整え、自室を出た。

 食堂に入ると、全員揃っていた。

 怪我もしてないようだ。

 俺は安心して、自分の席に座った。

 料理が並べられ、ガストンが説明する。


「本日のメニューは、スープ、野菜サラダ、メインにはコロッケとメンチカツ、デザートはプリンです。どうぞご賞味下さい」


 食前の挨拶をして、スープを飲む。

 身体に染みこむような、美味しいスープだ。

 次は野菜サラダをしゃくしゃく食べて、メインのメンチカツにナイフを入れる。

 口に入れると、ジューシーな肉汁が広がり、肉の旨みがガツンと来る。

 さすがガストンだ。とっても美味しい!


「メンチカツとコロッケだったか。とても美味しいよ。外側はサクッと、内側はジューシーで、肉の旨みを味わえる。じゃがいももホクホクしていて、濃い味のソースと合っているね」


「ありがとうございます。料理の考案は、アルキス様が行いました。お口に合って幸いでございます」


 俺はコロッケも食べてみた。

 カラッと揚がっており、とても美味しい。

 デザートのプリンも食べ終えて、食後のお茶を飲む。


「さて、ゴブリンの討伐、お疲れ様。ゴブリンキングは無事に討ち取られた。怪我もなく帰ってきてくれたこと、とても嬉しく思う。ジュリア、討伐はどうだった?」


「えらい数のゴブリンがひしめいていたわ。私は上位種を見つけたら撃破していく役目なんだけど……いくら撃っても終わりが見えなくて、ちょっと疲れたわ」


「昼になっても、ゴブリンキングが狩られていなくて、ゴブリンはいくらでも沸いて出た。ゴブリンの死体が邪魔で、低ランクはゴブリンの死体を集める役をやってもらった。だが、午後3時位にゴブリンキングが狩られて、ゴブリンは逃げ散っていった。その後は片付けだな」


「朝から5時間ほどぶっ通しで戦った後、ジュリア嬢がサンドイッチを食べながら戦い始めたのには、驚いたな。俺もルルーシュも交代で食事をしたけど、食事を大事にする姿勢は、見習わなきゃって思ったよ」


 ジュリアお姉様、ルルーシュお兄様、アストレイ様はそのように言った。

 ベイクブリッド辺境伯様も笑顔だ。


「この度はアストレイ様に助太刀頂き、深く感謝しております。どうもありがとうございました」


「アストレイが希望したことだ。借りと考えなくて宜しい。明日は骨休めに1日貰い、明後日の早朝に出立しようと思う。アストレイ、明日は部屋で身体を休めなさい」


「わかりました、父上。ジュリア嬢、ルルーシュ。後片付けを手伝えなくてすまないね」


「お気になさらず。もう十分ですわ」


「今日はさすがに疲れたよな。ゆっくり休んでくれよ!」


 お姉様とアストレイ様の距離は縮まったかな?

 仲の良さそうな3人を見て、お父様も微笑む。


「話は変わるが、アルキスが無事に魔導具ギルドに登録した。そして乾燥の魔法が新魔法と認められ、報奨金白金貨10枚を得た。乾燥機能付き洗濯機は、クレベルタ商会で販売する。既に100台の注文が入っているそうだ」


「おお! 乾燥の呪文が有用性ありと、認められた証拠だ! これは素晴らしい功績だよ。魔導具界に名を残す第一歩だ!」


 アストレイ様は大興奮だ。

 俺は笑顔でお礼を言う。

 

「次はどんな魔導具を作るんだい?」


 ジークフリートお兄様がそう聞いてきた。


「それが、今は何も思いつかなくって。ジークフリートお兄様、あったらいいな、と思うものは何でしょうか?」


「あのね、アルキスは温風の魔法を開発しただろう? じゃあ冷風の魔法も作れるんじゃないか?」


「なるほど、出来そうです」


「だろう? これから暑くなるからね。8月までに、完成したらいいな」


「わかりました、やってみます!」


 ジークフリートお兄様は笑顔で頷いた。


「冷風の魔法も未登録の筈だよ。なんだか、完成しそうでワクワクするね」


「はいっ! 部屋に帰って、試してみようと思います」


 アストレイ様は興味津々だ。

 俺達はそれで解散して、自室に戻った。

 俺は、動きやすい格好に着替えて、椅子に座る。


「まずは、冷風魔法を探さないとな。えっと、『冷風よ 吹き荒れろ アイシクルエアー』!」


 しーん。

 駄目だ、発動しない。


「『冷風よ 吹き荒れろ ブリザードエアー』!」


 しーん。

 発動しない。


「『冷風よ 流れ出でよ スクリューエイジ』!」


 しーん。

 発動しない。

 そうだな、暖風の魔法の呪文が、『暖風よ 吹け ウォーム』だから、『冷風よ 吹け エイジ』かな?


 俺は色んな呪文を試したけど、ひとつも発動することはなかった。

 俺は呪文の開発を諦めて、ベッドに潜り込んだ。

 俺はゆっくりと夢の中へ旅立っていった。

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