料理を楽しむ
「この洗濯機の隣に設置して頂けますか?」
「うん、わかった」
俺は指定の場所に洗濯機を設置した。
「使用人に、右側の洗濯機は、乾燥機能付き洗濯機だと周知しておきます。しばらく使ってみましょう」
「うん、宜しくね」
俺はジョルジュと別れて、自室に戻った。
礼服に着替えて、身支度を整える。
トントン、とノックの音が響いた。
「アルキス様、昼食のお時間です」
「わかった、今行く」
俺は身支度を整えて、自室を出た。
食堂に入り、自分の席に座る。
ジュリアお姉様とルルーシュお兄様、アストレイ様がいない。
まだゴブリン討伐を頑張っているのだろう。
すぐに料理が並べられ、食べ始めた。
まずはスープ、次にポテトサラダ、そしてベーコンとトマトとナスのパスタだ。
うん、すっごく美味しい。
ナスがじゅわーっとして、ベーコンとよく合う。
静かに食事は終わり、食後のお茶を飲む。
「まず、ゴブリン討伐はまだ終わっていない。ただ、死者は出ておらず、怪我人が数十名とのことだった。教会の神官にも協力を仰ぎ、怪我人の治療を優先する。夕方までには、ゴブリンキングを討ち取れる事だろう」
「思ったより、時間がかかっていますね」
お父様の声に、ジークフリートお兄様がそう言った。
「ある程度数を減らさねば、中心部まで行けぬ。あとは前線の者達の判断を信じよう」
「ジュリア達が心配ね。ちゃんとご飯食べられているかしら」
お母様も心配でたまらないようだ。
「お姉様は食いしん坊ですから、きっと食べてますよ。アストレイ様がそんなお姉様を見て、幻滅しなければ良いのですけれど……」
俺は想像して、そう言った。
「あっはっはっは。命がけで戦っておるのだ、それ位で幻滅などあり得ん! アストレイもきっと懸命に剣を振るっておることだろう」
俺の懸念をベイクブリッド辺境伯様は、笑い飛ばした。
さすが武門の家、この安心感、心構えが違う。
俺達は解散して、自室に戻った。
俺は動きやすい服に着替えて、厨房に入った。
「アルキス様、どうしました?」
「料理をさせて貰っても良い?」
「勿論です。何か御用意しましょうか?」
「じゃあ、じゃがいもを茹でて皮を剥いて潰して欲しい。それと、ハンバーグのパテを準備して欲しい。あと、挽肉を頂戴」
「わかりました、少々お待ちください」
ガストンは手慣れた様子で、鍋に水を入れて火にかけた。
そして、貯肉庫からお肉を持ってきて、フードプロセッサーで挽肉にした。
「挽肉はこの位で宜しいですか?」
「うん、ありがとう」
俺はフライパンに火を入れ、油を敷く。
挽肉を入れて強めに塩、胡椒をする。
パラパラになるように、木べらで混ぜていく。
色が変わり、火が通ったら火を止めて、冷ましておく。
次に黒パンを削ってパン粉を作る。
小麦粉、卵、パン粉を並べて準備する。
揚げ油を用意して、準備は整った。
「アルキス様、潰したじゃがいもは、ここに。ハンバーグのパテはこちらです」
「ありがとう。あと、これ。アズール叔父様に貰った小豆と餅粉だ」
俺はアイテムボックスから荷物を取り出して渡した。
「おお、小豆と餅粉ですか。早速小豆を炊いて、大福を作りましょう。きっとジュリア様達は疲れ切って帰ってくる筈。甘い物を用意しておきましょう」
「それは良いね。宜しくね、ガストン」
俺は潰したじゃがいもに炒めた挽肉と臭み取りのハーブを入れて、よく混ぜる。
混ざったら、一つ分手に取って、良さそうな大きさに成形する。
全部成形し終わったら、揚げ油に火を入れる。
成形したじゃがいもに小麦粉、卵、パン粉をつけていく。
ハンバーグのパテも同じように衣をつける。
油に両方ゆっくり沈めていく。
約5分後、きつね色に揚がったコロッケとメンチカツの油を切り、お皿に乗せる。
「ガストン、完成したよ! 味見しよう!」
「おお、美味しそうですな。では食べてみましょう」
サクッ! ジュワーッ!
外側はサクッとしてて、中は肉汁でいっぱいだ!
コロッケはほくほくしてて、最高!
「うん、美味しいっ! 成功だ!」
「これは美味ですな。何という料理なのですか?」
「じゃがいもの方がコロッケ、ハンバーグの方がメンチカツだよ。これも、ソースをかけた方が美味しいと思う」
「了解です。こちらの作り方を伝授して下され。今夜のメインにしましょうぞ」
俺はガストンに、コロッケとメンチカツの作り方を教えた。
ガストンはすぐに覚えた。
ソースも作ってくれるとのことなので、一安心だ。
「ねえ、ガストン。25日と26日に、海の町に行ってくるんだ。魚介類を買い込んで来るつもりなんだけど、何が欲しい?」
「アルキス様のアイテムボックスは時間経過がないタイプでしたな。それなら、とにかく大量に仕入れてきて下され!」
「うん、わかった。魚介類と、何か良い調味料はないか、探してくるね」
ガストンが奥から、一個の大福を出してくれる。
「出来たての大福をどうぞ。今日もお疲れ様でした。レシピはアズール様に売りに行きます。王家に販売することも、伝えなきゃなりませんね」
「うん、宜しくね。大福、いただきまーす」
もぐもぐと大福を食べる。
甘い餡子と、大福の皮がベストマッチだ。
「ご馳走さま。じゃあ、またね」
俺は厨房を出て、訓練場に行った。




