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教会と女神様

「乾燥機能付き洗濯機か。うちにも一つ欲しいな。おい、アルキス様。この情報は職人連中に広めて良いか」


「はい、勿論です。ぜひ購入を検討して下さい」


「わかった。贈答用の洗濯機が出来上がったら、連絡を入れる。楽しみにしておけ」


「はいっ! ありがとうございました! じゃあ、また来ます!」


 俺は頭を下げて、トムさんの工房を出た。

 ジャックと一緒に歩き出す。


「次はジョージの所ですね。ドライヤーでしたっけ? 女の髪を乾かしやすくするんですか?」


「うん。温かい風の出る筒を持って、髪を乾かすイメージかな。きっと便利だと思うんだよね」


「じゃあ、俺も知り合いに宣伝しときますよ。勿論、乾燥機能付き洗濯機もね」


「うん、宜しくね」


 そうこうしているうちに、ジョージの工房に着いた。

 中に入ると、カウンターにジョージがいた。


「よぉ、ジョージ。元気してるか?」


「おう、ジャック。アルキス様も一緒か。いらっしゃい。今日はどうしたんだい?」


「実は、贈答用に装飾を凝ったドライヤーを10個、作って欲しいんだ。それとは別に、普通のドライヤーを100個注文させて欲しい」


「贈答用が10個と、普通のドライヤーが100個か……わかった、受けよう。贈答用は1個銀貨25枚。普通のドライヤーは1個銀貨15枚。合計金貨17枚と銀貨50枚だな。請求はシカラーゴ子爵家に回しておく。納期は一ヶ月だ。良いな?」


「はいっ、宜しくお願いします!」


「大量購入だが、大丈夫なのか? ジョージ」


「へへっ、うちは親父に扱かれて、腕の良いのが揃ってるんだ。心配には及ばねえよ、ジャック」


 ジャックは片手を上げて、工房を出た。

 俺も後を追っていく。

 

「じゃあ、帰りましょうか」


「あのさ、教会に行きたいんだけど、時間はある?」


「少しなら大丈夫でしょう。こっちですぜ」


 俺はジャックについて、職人街を通り抜け、町の南に歩いて行く。

 しばらく歩いて、綺麗な白い建物にたどり着いた。

 

「ここが教会だ。中に入るぞ」


 中に入ると、僧侶服を着た若い男性がいた。


「おや、ジャック。久しぶりじゃないか」


「どうも、ご無沙汰しています。今日はお祈りに来ました。こっちは、アルキス様。シカラーゴ子爵家の3男ですよ」


「おお、領主様の息子さんか。私は司祭のロアと申します。歓迎致しますよ」


 俺はアイテムボックスから銀貨3枚を取り出し、司祭様に渡した。


「お布施です。お納め下さい」


「ありがとうございます。お好きな所で祈って下さい」


 ジャックが女神様の像の前で膝をつき、祈り始める。

 俺も同じ格好をして、祈り始めた。


 ……気が付くと白い世界におり、女神様が微笑んでいた。

 

「久し振りね、峰岸 良太君。いえ、今はアルキスと呼んだ方が良いかしら」


「アルキスでお願いします。女神様も相変わらずお美しいですね」


「あら、お上手ね。私の世界はどうかしら?」


「おかげさまで、楽しく暮らしております。特に、魔導具作成が楽しくてたまりません」


「それは良かったわね。色んな発明品を生み出して、生活を豊かにすると良いわ。でも、前世みたいに過労で死なないように、気を付けるのよ」


「はい、ありがとうございます。女神様」


「美味しいものをいっぱい食べて、ゆっくり成長なさい。私はいつでも見守っています」


 すうっと女神様の姿が遠くなり、目を開けるとジャックが立ち上がっていた。

 俺も立ち上がり、司祭様に挨拶をして、教会を出た。


「じゃあ、帰るか」


「うんっ!」


 俺とジャックは雑談をしながら、屋敷に戻ってきた。

 俺はジャックと別れて執事室に行った。

 トントン、とノックする。


「アルキスです」


「どうぞ」


 中に入ると、ジョルジュが書類仕事をしていた。


「アルキス様、無事に登録はお済みですか?」


「うん、無事に魔導具ギルドに登録できたよ。それで、乾燥の呪文は新発見だからって、報奨金を貰ったんだ。なんと、白金貨10枚だよ」


 俺はアイテムボックスから白金貨10枚を取り出して、ジョルジュに渡した。


「これはすごい。アルキス様、やりましたね。おめでたい事だと思いますが……どうしましたか?」


「販売はクレベルタ商会に任せようと思って、アズール叔父様に会ってきたんだ。そこで、洗濯機とドライヤーを100台ずつ注文が入ったんだ。金物屋と木工細工屋には注文をかけてきたんだけど、材料費で洗濯機だけでも白金貨20枚かかる。お金は大丈夫?」


「問題ありません。請求が来たら、直ちに支払いましょう。そうですか、100台も注文が入るなんて、アルキス様は素晴らしいものを、発明なさったのですね」


「それと、クレベルタ商会で基盤を6枚書いて、貰った金額が白金貨1枚と金貨50枚。これも受け取って」


 俺はジョルジュに金貨を渡した。


「ありがたく、受け取りましょう。乾燥機能付き洗濯機は、さぞかし高値なのでしょうな」


「うん。1台金貨50枚だって。凄いお金持ちしか買えないよね」


「では、売上が上がれば、かなり儲けが出ます。クレベルタ商会の取り分は如何ほどでしょうか?」


「純利益の2割を貰うって言ってたよ。アルキス工房の帳簿もつけてくれるって」


「なるほど、良心的ですね。わかりました、詳しくは今度アズール様と調整致します」


「登録が終わったからさ。良かったら乾燥機能付き洗濯機を使って貰えたら、と思うんだけどどう?」


「願ってもないことです。リネン室に行きましょう」


 俺はジョルジュの後ろを歩き、リネン室にたどり着いた。

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