ゴブリンキングの討伐
「うむ。ご苦労だった。そして、ゴブリンキングが発見された。総勢およそ2万。冒険者は200名程で打って出る。この討伐には参加しなくとも良い。流石に危険だ」
「勿論、参加するわ。領主の娘として、恥ずかしくない戦いをしてみせるわ」
「俺も参加する。俺の盾でみんなを守るよ。任せとけって!」
やはりジュリアお姉様とルルーシュお兄様は参加を希望した。
そして、アストレイ様が静かに声を上げる。
「俺は部外者ですが、参加させて下さい。父上、我が儘を許してくれますか?」
「お前は俺の跡継ぎだ。決して死ぬことは許さん。万一の時は逃げてこい。わかったな?」
「わかりました。お約束します。シカラーゴ子爵、宜しいでしょうか」
「決意は固いようだ。どうか怪我などはないように、気を付けて下され。では、明日の午前9時に、冒険者ギルドの前に集合だ。ジュリア、ルルーシュ、しっかりと頼むぞ」
「ええ、任せておいて」
「おう、頑張るよ」
そこでお茶を飲み、お父様は俺をちらりと見て、話し始めた。
「話は変わるが、アルキスが乾燥機能付き洗濯機を完成させた。新たに乾燥の呪文を開発し、壊れた洗濯機を見事蘇らせ、乾燥機能までつけた。よくやったな、アルキス」
「ありがとうございます、お父様」
「ちょっと待ってくれ。乾燥の呪文なんて呪文一覧には載っていないはずだ。乾燥機能付き洗濯機なんて、絶対に世に出てないよ。これは大変なことだ」
そう言ったのは、アストレイ様だった。
「そうなんですか?」
「乾燥の呪文はどういうものだい?」
「こうよ。『暖風よ 吹け ウォーム』」
お姉様が実演してくれた。
アストレイ様は温かい風を受け、固まってしまった。
「間違いなく新魔法だ! いいかい、アルキス君はまず、魔導具ギルドに登録するんだ。そこで乾燥機能付き洗濯機の登録と新魔法の申請を行う。あのね、新しい呪文を開発すると、お金が貰えるんだよ。すぐに行った方がいい」
「そうなんですね。教えてくれてありがとうございます。お礼というわけではありませんが、乾燥機能付き洗濯機を、ベイクブリッド辺境伯家にお贈り致します。納期が一ヶ月かかるので、後日、ベイクブリッド辺境伯家に遊びに行く時に持っていきますね」
「それは、とても嬉しいよ。乾燥機能付き洗濯機は間違いなく最先端だ。他に何か作っている魔導具はあるのかい?」
「ドライヤーという、髪を乾かす魔導具を作っています。これも乾燥の呪文を使います」
「へえ、特に女性に喜ばれそうな魔導具だね。そのドライヤーを是非使ってみたい。5つ程作ってくれないか?」
「わかりました。じゃあ、ドライヤーを5つ、お贈りしますね。これも、洗濯機と一緒にお持ちします」
「わかった。本当に嬉しいよ。お父様、乾燥機能付き洗濯機といい、ドライヤーといい、アルキス君は、凄く発想が豊かだ。良い魔導具師になりますよ」
「魔導具オタクのお前が言うのだ。アルキス君は類い希な才能を持っているのだろう。これからも期待しているよ」
「はい! ご期待に添えるよう、努力してまいります!」
そこで俺達は解散し、俺はジョルジュの元に行った。
「アルキス様、如何されましたか?」
「来週の25日と26日なんだけど、アズール叔父様のところで、アルバイトして来る事になったんだ。一泊二日で、海の町に行ってくる」
「なるほど、アイテムボックス目当てですね。了解しました。ガストンにも海の幸を持ち帰ってきてくれますか?」
「勿論だよっ! 作りたい料理もあるし、たくさん買い込んで来るね!」
「わかりました。予算は出発前にお渡し致します。旦那様にも伝えておきます」
俺は笑顔で頷くと、自室に戻った。
動きやすい服に着替えて、ベッドに潜り込む。
明日は魔道士ギルドに行かなくっちゃ。
俺は目を閉じて、ゆっくり夢の国に旅立つのだった。
翌朝、ぱっちりと目が覚めた。
ベッドから置きて、顔を洗い、礼服に着替える。
すると、トントンとノックの音が響いた。
「アルキス様、朝食のお時間です」
「わかった、今行くよ」
俺は自室を出て、食堂へ行った。
食堂には、皆が揃っていた。
俺は自分の席に着き、料理が並べられるのを待つ。
「いただきます」
まずはスープから飲んでいく。
相変わらず美味しい。
野菜サラダをしゃくしゃくと食べて、目玉焼きとソーセージを食べる。
ゴマのパンは、3つ食べた。
食事が終了し、食後のお茶を啜る。
「さて、今日はゴブリンキングの討伐だ。どうか気を付けて行ってきて欲しい」
「ええ、行ってくるわ」
「おう、任せてくれ」
「行ってきます」
お父様の声に、ジュリアお姉様、ルルーシュお兄様、アストレイ様が返事をする。
「うむ。武運を祈る」
そうして俺達は解散した。
お姉様達は大変だ。
ゴブリンでも数がいると驚異になる。
俺は俺の出来ることをしよう。
俺はジョルジュの元へ行った。
「アルキス様、如何されましたか?」
「魔導具ギルドに行こうと思うんだ」
「かしこまりました。では、護衛にジャックをお連れ下さい」
「わかった! 行ってきます!」
俺は自室に戻り、短剣を装備して、肩掛け鞄を肩に下げた。




