ゴブリンキングの発見
ジャックは受付の女の子に手を振られている。
ジャックはいつでもモッテモテだ。
俺は気にせず歩き続けた。
訓練場でジャックと別れ、俺は自室に戻ってきた。
樹脂の基盤をアイテムボックスから1枚取り出す。
基準となる大きさは、どれも同じだった。
短縮の呪文を使えば半分の大きさに出来るけど……思ったより軽いな。
くるくる巻けば、この大きさのまま入れられるかもしれない。
それなら、短縮の呪文は要らないんだよな。
俺は樹脂の基盤をアイテムボックスにしまい、椅子に座った。
ランプもドライヤーも、あと1週間ちょっとかかる。
あと出来ることは……ないな。
大人しく剣と魔法の訓練をしよう。
トントンとノックの音が響く。
「アルキス様、昼食のお時間です」
「わかった、今行くよ」
俺は身支度を整えて、自室を出た。
食堂には、お父様とお母様、ジークフリートお兄様、お客様のベイクブリッド辺境伯様がいた。
俺は自分の席について、料理が並べられるのを待った。
「本日のメニューは、スープとポテトサラダ、トマトのパスタと焼きたてパン、デビルコッコのハーブ焼きでございます。パスタはフォークで巻き取ってお食べ下さい」
ガストンがそう説明して、一歩下がる。
俺はスープから食べ始めた。
うんっ、やっぱり美味しい。
ポテトサラダもマヨネーズの滑らかさが際立ってて、とても美味しい。
さて、パスタを食べてみよう……。
お兄様もおそるおそる巻き取っている。
俺は巻き取ったパスタを口に入れた。
すっごく美味しい!
トマトのソースがパスタにぴったり合っている。
「これは……美味いな。さて、料理長。このじゃがいもは何か特別な調味料が使われているように思うが、どうだ?」
「ご明察でございます。特別な調味料、マヨネーズであえております」
「やはりそうか。そしてこのパスタという料理は、今までにない発想だ。これもアルキスが考えたのかい?」
「はい。マヨネーズもポテトサラダも、パスタもアルキス様がお考えになりました」
「いやあ、実に美味いよ。特にパスタには衝撃を受けた。これはぜひ、ルーセント王国に広めたいね」
「はい。実に素晴らしい発想かと存じます」
ベイクブリッド辺境伯様は、嬉しそうにパスタを完食してくれた。
メインの鶏肉も美味しかったし、デザートの葡萄も酸味があって美味しかった。
ゴマのパンは2つ食べたよ。
食後のお茶を啜っていると、お父様が話し始めた。
「先程、冒険者ギルドから連絡があった。ゴブリンキングを確認したそうだ。総勢およそ2万の数のゴブリンがひしめいているとのことだ」
「ジュリア達は大丈夫なのでしょうか?」
ジークフリートお兄様が声を上げる。
「わからん。だが、無茶はしないと信じている。無事を祈って帰りを待とう」
お母様も心配そうだ。
俺に出来ることは、何もない。
「ベイクブリッド辺境伯様。ご子息を危険に巻き込んで、誠に申し訳ありません」
「なんの。アストレイの奴も婚約早々死にはせぬわい。待つしかないのは歯がゆいが、俺達に出来ることは待つことだ。それで、冒険者ギルドは何人位、人を集められる見込みだ?」
「緊急クエストを発行し、総勢およそ200名を集めたとのことです。出陣は明日の午前9時。冒険者ギルド前に集合です。主にCランクとDランクが集まっており、AランクとBランクはわずか12名と聞いております」
「そうか。ゴブリンとはいえ、2万の数は驚異だな。その12名がゴブリンキングを殺しに行く予定かな?」
「そう聞いています。勿論、アストレイ様は出陣せずとも大丈夫です」
ベイクブリッド辺境伯様は、少し考え込んで、こう言った。
「ジュリア嬢は出るんだろう? アストレイは行きたがるかもしれない。そうしたら、行かせてやってくれないか」
「いくらなんでも、危険すぎます。私は反対です」
「なあに、帰ってきたら聞いてみようじゃないか」
そこで俺達は解散した。
俺はいても立ってもいられず、厨房に駆け込んだ。
「おや、アルキス様。何か御入り用ですかな?」
「ガストン、ちょっと料理を思いついたんだけど、作っても良いかな?」
「ええ。どうぞお使い下さい。何を用意しましょうか?」
「1枚肉を使いたいんだ。柔らかくて美味しいお肉がいい」
「では、オーク肉がございます。今持ってきましょう」
ガストンは、オーク肉の1枚肉を用意してくれた。
「他には何を用意しましょうか?」
「硬いパンはあるかな? すりおろして粉にしたい。それと、小麦粉と卵と揚げ油を頼むよ」
「かしこまりました。使用人用の黒パンがございます。これをすりおろしましょう」
ガストンは黒パンをすりおろして、パン粉を作ってくれた。
お肉は両面に、塩胡椒をする。
1枚肉に小麦粉をつけて、卵にくぐらせ、パン粉をつける。
揚げ油を熱して、丁度良い温度になったら、肉をゆっくり沈める。
きつね色になるまで揚げたら、取り出して食べやすい大きさに切る。
キャベツの千切りとレモンを添えて、完成。
「よし、出来た! ガストン、味見をしよう!」
「おお、美味しそうですな。レモンを絞るのですな?」
「うん。食べる直前に絞るのがいいと思うんだ」
ガストンはレモンを絞り、とんかつに振りかけた。
俺達はフォークを持ち、一切れずつ、口に運んだ。
サクッ! ジュワーッ!




