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ドライヤーの注文

「ジャック、串焼き食ってかねえか?」


「ねえ、ジャック。店に寄っていっておくれよ」


「ジャック、また遊ぼうね!」


 ちいちゃな女の子まで、ジャックに首ったけだ。

 俺はジャックが買ってくれた串焼きを食べつつ、職人街へと足を運んだ。

 東側の奥に、その店はあった。


「おおい、トムさーん! おーい!」


 工房に入ると、ジャックはトムさんを呼んだ。

 すると、店の奥からもじゃもじゃの髭の男が出てきた。

 低身長で筋肉ムキムキ。

 見たら分かる、ドワーフだ。

 

「なんだ、ジャックじゃねえか。今日は客として来たのか?」


「ああ、そうだぜ。こちらはシカラーゴ子爵家の3男アルキス様だ。金払いの良い上客だろ?」


「坊主、何が欲しいんだ?」


「あの、洗濯機を作って欲しいんです。ベイクブリッド辺境伯家への贈り物なので、装飾を凝って貰いたいんですが、出来ますか?」


「へえ。勿論出来るさ。ベイクブリッド辺境伯家っていやぁ、部門の家だな。任せておけ、カッコいい洗濯機を作ってやる」


「良かった。お値段と納期はどれくらいかかりますか? あと、金属の基盤はついてきますか?」


「値段は金貨30枚、納期は1ヶ月。鉄の基盤が1枚つく。魔石はついてねえ。それでいいか」


「はい! じゃあ、請求はシカラーゴ子爵家に回して下さい!」


「あいよ。出来上がったら一応連絡を入れるからな。毎度あり。ジャック、また来いよ!」


「おう! トムさん、またな!」


 俺達は工房を出た。


「ジャック、次はこないだ行った木工細工屋さんに行きたい」


「ジョージのところだな。よし、行くぞ」


 俺達は職人街の西に向かって歩き出した。

 しばらく歩いて、工房に足を踏み入れる。


「いらっしゃいませ。よぉ、ジャックじゃないか!」


「おう、ジョージ。アルキス様が頼んだランプは順調か?」


「ああ。スライムゼリーを使った樹脂の骨組みが思ったよりうまくいったんだ。予定通り納品できるよ」


「そりゃあ良かった。アルキス様、今日の用事をどうぞ」


「うん。このデザイン画を見て欲しい。ここが筒になってて、ここが持ち手。この持ち手をくり抜いて貰って、樹脂の基盤を入れる。どうかな?」


 それは、こっそり書いておいたドライヤーのデザイン画だった。

 お姉様の髪を乾かしたいという願いを叶えるのだ。


「設計上は問題ないぜ。樹脂の基盤は、道具屋で買ってくれ。いくつ欲しいんだ?」


「じゃあ、6つ作って欲しい。女性の手で楽々持てるような大きさで作って欲しい」


「わかった、6つだな。大きさも了解した。魔石は持ち手の底に入れるようにすれば良いか?」


「はい。大丈夫です」


「じゃあ、ランプと一緒に渡せるように、作っておくよ。値段は1個銀貨15枚だ。だから、銀貨90枚だ。シカラーゴ子爵家に請求は回せば良いか?」


「はい。お願いします。じゃあ、また来ますね」


「ああ。ジャックもまたな!」


「おう! また飲みに行こうぜ!」


 工房の外に出たので、深呼吸。


「アルキス様、次は何処に行きましょうか?」


「道具屋って、アズール叔父様の店で良いかなぁ?」


「良いと思いますよ。さぁ、行きましょう」


 俺とジャックは、職人街を抜けて、商人街へたどり着いた。

 アズール叔父様のクレベルタ商会に足を踏み入れる。


「いらっしゃいませ、アルキス様。今日は何をお探しですか?」


「あのね、魔導具の基盤って売ってるかな?」


「勿論でございます。お二階へどうぞ」


 俺はジャックと2階に上がった。

 洗濯機の所に、アズール叔父様がいた。


「アズール叔父様、こんにちは」


「アルキスじゃないか。プリンのレシピは順調に売れているぞ。俺も食べてみたが、実に美味い。来月のお小遣いは期待できるぞ」


「うわあ、すごく嬉しい。俺は魔導具を作り始めたから、お金がかかるんだ。たくさん売れたら、嬉しいよ」


「はっはっは、任せておけ。ところで、来週の25日と26日、アルバイトしないか? 一泊二日で、海の町まで魚の買い出しだ。アルバイト代は弾むぞ」


 アルバイトか。

 確かに初心者キットを買って、懐がちょっと寂しいんだよね。


「海の町かあ。新鮮な魚介類を食べられるなら、まあ、良いかな。アルバイト、引き受けるよ」


「そうか、やってくれるか! 氷の出せる水魔法使いは需要が高くて、なかなか捕まらなくてな。お前のアイテムボックスなら、入れたときのまんまだろう? 新鮮な魚介類を、たっぷり仕入れられる。ついでに、氷も出してくれると助かる!」


「うん、任せといて。そのかわり、美味しい魚介類を、お腹いっぱい食べさせてね!」


「勿論だとも! じゃあ、25日の午前10時までに、店に来てくれ。同行するのは俺と、店の男が2人と、護衛の冒険者パーティの4人だ。8人乗りの馬車で行くから、宜しくな」


「うん、わかった。じゃあ、25日に来るからね! あっ、基盤を買いに来たんだけど、どこにある?」


「基盤はこっちだ。木、樹脂、鉄、なんでも揃ってるぞ」


「じゃあ、その3種類を10個ずつ貰える? 請求はシカラーゴ子爵家に回して欲しいんだ」


「わかった、10枚ずつだな。木の基盤が1枚銅貨50枚、樹脂の基盤が1枚銀貨2枚、鉄の基盤が1枚金貨3枚だ。合計金貨30枚と、銀貨25枚だ」


「うん、わかった。宜しくお願いします」


 俺はカウンターに積み上がった基盤をアイテムボックスに収めていく。


「アルキス、新しい料理を思いついたら、また売ってくれよ。楽しみに待っているからな」


「うん。また思いついたら、売るから宜しくね。じゃあ、またね。アズール叔父様」


 俺は手を振って、クレベルタ商会を後にした。

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