乾燥機能をつけたい
出来上がったポテトサラダを、スプーンですくって、味見する。
「ほう。じゃがいもがクリーミーな美味しさですぞ。きゅうりとニンジンもアクセントとして良い仕事をしてますな!」
「うん。とっても美味しいよ。たまにでいいから、野菜サラダにポテトサラダを乗っけて欲しいなぁ」
「かしこまりました。お任せ下さい。あと、何か作るものはありますか?」
「うん。パスタっていう麺を作りたいんだ。このあたりで、麺料理って、何かある?」
「はて、麺……ですか。聞いたことがありませんな」
「わかった。まず作ってみるよ。ガストンは、トマトベースの濃いめのソースを作って貰える?」
「かしこまりました。何を用意しましょうか?」
「小麦粉と、油と卵と塩を貰える?」
「承知いたしました」
ガストンがくれた材料を、まずは混ぜ合わせる。
板に打ち粉をして手のひらでよく捏ねる。
表面が滑らかになるまで、よく捏ねる。
耳たぶ位に固さも調整する。
生地を15分ほど休ませる。
その後めん棒で生地を伸ばして、折りたたんで細く切る。
たっぷりのお湯を沸かし、塩を入れて、パスタを茹でる。
3分ほどで、ざるに引き上げる。
「アルキス様、トマトソースは完成しましたぞ」
「よし、パスタも完成だ。このパスタをソースに絡めて貰えるかい?」
「はい、只今!」
ガストンがソースを絡めて、皿に盛り付けた。
フォークで巻き取って、食べて見せる。
ガストンも同じようにフォークで巻き取って食べた。
「おお! これは美味いですな! 濃いめのトマトソースに、このパスタはとてもよく合う! 明日の昼食はこれで決まりですな!」
「うん。すっごく美味しいよ。濃いめの味にすれば、色んなソースと合うと思う。昼食にぴったりだと思うよ」
「アルキス様は発想が豊かですな! さあ、パスタの作り方を教えて下され!」
俺はガストンに、丁寧にパスタの作り方を教えた。
ガストンはあっと言う間にパスタ打ちをマスターした。
「今日はこんなところかな。ガストン、レシピはいつも通り、アズール叔父様に売ってくれ」
「かしこまりました。お任せ下さい」
俺はやり切った気持ちで厨房を出た。
自室に戻った俺は、時計を見て午後4時半、と認識した。
魔法の鍛錬をするには、時間が足りない。
俺は魔導具作成の続きをやることにした。
アイテムボックスから、洗濯機の基盤を取り出す。
さびていたところは削ったけれど、配線と呪文はほぼそのまま残されている。
俺は木の基盤を取り出して、配線と呪文を書き写していった。
ただし、二分の一の縮尺になるよう、呪文を書き足す。
これ以上は火と風の適性を持つお姉様に協力を頼まないといけない。
俺は洗濯機に、乾燥機能をつけたかった。
『魔導具呪文一覧』には、乾燥の呪文は載っていなかった。
最新版には載っているかもわからないけど、考えているのは、『火を灯せ ファイア』と、『風よ 動け ウィンド』の複合技。
『暖風よ 吹け ウォーム』が実際に発動するのなら、乾燥機能の実装に一歩近付く。
だから、お姉様にやってみて貰いたいのだ。
初級呪文の改変は、みんな結構やっている。
でも、乾燥の呪文はまだ世に出ていないらしい。
勿論、冒険者とか、使っている人はいるかもしれない。
魔導具に利用されているかどうかが大事なのだ。
金属の基盤の呪文と配線を写し終わった。
あとは、乾燥の呪文と風の呪文を組み合わせ、時間経過で止まるようにすれば良い。
俺は満足して、金属の基盤をアイテムボックスにしまった。
気付けば結構時間が過ぎていたようだ。
俺は礼服に着替えて、椅子に座る。
しばらくして、トントンとノックの音が響いた。
「アルキス様、晩餐のお時間です」
「わかった、今行くよ」
俺は席を立ち、自室を出た。
食堂に入り、自分の席に着く。
全員揃ったので、料理が続々と運ばれてくる。
「本日のメニューは、スープ、野菜サラダ、ハンバーグのタマネギソースと、焼きたてパン。デザートはプリンでございます。ハンバーグに使用したのは、ブラックベアーの肉になります。ご賞味下さいませ」
ガストンが1歩下がり、俺はスープから飲み始めた。
相変わらず美味しい!
野菜サラダをしゃくしゃく食べる。
よし、ハンバーグを食べるぞ!
お肉はほろほろ、肉汁が溢れてきて、とっても美味しい。
パンを千切りながら食べていると、ベイクブリッド辺境伯様が、目を輝かせた。
「これは本当にブラックベアーの肉なのか……? 硬くてスジのある肉の筈が、もの凄く柔らかい。臭みもないし、ほろほろと崩れる肉に肉汁が溢れ出てくる。実に美味い」
「そうですね、父上。とても美味しいです。ブラックベアーの肉を使ったのは、わざとだね?」
ベイクブリッド辺境伯様とアストレイ様が、美味しいと言ってくれた。
アストレイ様の質問に、ガストンが答える。
「はい、さようでございます。ブラックベアーの肉でも、美味しく仕上がる料理法ということを強調したくて、ブラックベアーの肉を使用致しました。料理の考案はアルキス様でございます」
「はっはっはっは! アルキスは余程料理の才があるのだろうな! これは明日の料理も楽しみだ!」
その後はデザートのプリンまで食べて、完食。
食後のお茶を飲んでいると、お父様が切り出した。
「ジュリア、ルルーシュ。森の様子はどうだった?」
「今日はね、なんと531体も狩ったわ。アストレイ様が戦力になったのもあるけど、ゴブリンがうじゃうじゃいる洞窟を発見したの。洞窟はゴブリンの巣だったわ。そこだけで200体以上いたの。ゴブリンの死体を燃やすのも大変だったわ」
「俺は盾持って前衛やってたけど、今日はアストレイ様がいるから、凄く楽だったぜ。かと言って、ゴブリンの数は増加傾向にある。これからが正念場だと思うぜ」
ジュリアお姉様とルルーシュお兄様がそう述べた。




