お姉様の婚約
「本日のメイン料理は唐揚げという料理でございます。肉はデビルコッコを使用しております。考案したのはアルキス様です」
「へえ。アルキス君、凄いじゃないか」
アストレイ様が、目を輝かせる。
「美味しく出来て、ホッとしています。お口に合ったなら幸いです」
俺はゴマのパンを食べながら、唐揚げをぺろりと完食した。
デザートの葡萄も食べたら、食後のお茶を飲む。
「さて、ジュリアの見合いの件だが、無事婚約することになった。ジュリア、それで良いな?」
「ええ。アストレイ様は人間性を信頼できるわ。私は内面を重視したいから、とても良いご縁だと思うの」
「ジュリア嬢の言うように、俺も内面を重視しています。ジュリア嬢は素敵な人だ。是非、文通からお願いしたい」
ジュリアお姉様とアストレイ様は、そのように述べた。
お姉様、無事婚約できたんだ!
「おめでとう、ジュリアお姉様!」
「ありがとう、アルキス。15歳になったら私はお嫁に行くことになったの。まだ先の話だけどね」
お母様とジークフリートお兄様とルルーシュお兄様もお祝いを口々に言って、お姉様を祝った。
「シカラーゴ子爵、婚約が成立した事、誠にめでたい。だが、まだ2人は出会ったばかり。3日ほど滞在を延ばしたいのだが、宜しいか」
「ええ、勿論。ゴブリン討伐に一緒に出かけますし、仲を深めるのに良い機会である事でしょう。いつまででも、滞在なさって下さい」
「かたじけない。アストレイ、ゴブリンと思って侮るなよ。怪我をせぬようにな」
「はい。心得ております」
アストレイ様、カッコいい。
お姉様とお似合いのイケメンだ。
俺達は解散し、俺は自室で動きやすい服に着替えた。
俺は厨房に顔を出した。
「ガストン、新しい料理を試していい?」
「勿論良いですよ。何かお手伝いすることはございますか?」
「ハンバーグっていう料理なんだけど、挽肉を使うんだ。そのままじゃ硬いお肉とか、あったら使いたいんだけど」
「でしたら、使用人用のブラックベアーの肉がございます。ミンチにする魔導具がありますので、少々お待ちください」
俺は待っている間に、タマネギを1個みじん切りにした。
フライパンに油を敷き、みじん切りにしたタマネギを炒める。
透明になってきたら火を止めて、冷ましておく。
すると、ガストンが挽肉を持ってきてくれた。
「アルキス様、挽肉をどうぞ」
「ありがとう。じゃあ、使わせて貰うね」
俺は挽肉を受け取り、炒めたタマネギと臭み取りのハーブを混ぜて1個分を手に取り、両手に打ち付けて空気を抜く。
それを4個作り、フライパンに火を入れ、油を敷く。
ハンバーグを2つ並べて、焼き色がつくまで焼く。
焦げないようにひっくり返し、水を少し入れて蓋をして、蒸し焼きにする。
約5分後、焼き上がったパテをお皿に盛り付け、ガストンと味見をした。
ほろほろと崩れる柔らかい肉に、肉汁が溢れ出る。
肉の旨みをダイレクトに感じる美味しさだ。
「すっごく美味しい! これは成功だよね!」
「そうですな。ブラックベアーの肉はスジがあって少し硬く、ステーキに向きません。その肉がこんなに美味しくなるとは……俺は目から鱗が落ちましたぞ」
「このパテに、ソースをかけるともっと美味しくなると思うんだ。トマトベースのソースか、タマネギベースのソースが良いと思う。これに合うソースを作ってくれる?」
「お任せ下さい。まずはハンバーグの作り方を覚えましょう。宜しく頼みますぞ!」
俺はガストンに、丁寧にハンバーグの作り方を教えた。
挽肉の料理は一流の料理とは見なされない向きがあるそうだが、ベイクブリッド辺境伯様は、珍しい料理をお求めだ。
明日の晩餐で出すと言っていった。
「アルキス様、ハンバーグの作り方は覚えました。他に作りたい料理はありますか?」
「うん。じゃがいもを茹でて、皮を剥いて潰して欲しいんだ。それと、きゅうりとニンジンを薄切りにして、ニンジンは茹でて欲しい」
「わかりました。おーい、カイロス、ちょっと来てくれ」
「はい、ガストン料理長」
「じゃがいもを茹でて、皮を剥いて、潰してくれ。それと、きゅうりとニンジンを薄切りにして、ニンジンは茹でて欲しい」
「わかりました。すぐに取り掛かります」
「次はどうしましょう?」
「器に卵黄、塩、酢を入れて、もったりとするまで、泡立て器でよく混ぜ合わせて欲しい」
「かしこまりました。少しお待ちください」
ガストンは手際よく材料を入れていき、泡立て器でかき混ぜた。
「もったりしてきたら、そこに油を少量ずつ加えて、更にかき混ぜて欲しい。白っぽくなってくると思うんだけど……」
「おお、白っぽくなってきましたな! これは何なのですか?」
「マヨネーズっていう調味料だよ。少し味見してみようか」
スプーンですくって、舐めてみる。
「ほほう、あまり酸味はないのですな。なんとも滑らかな味わいです」
「これ、野菜と凄く相性が良いと思うんだ。あとは、潰したじゃがいもときゅうりとニンジンとマヨネーズを混ぜ合わせて、ポテトサラダの出来上がりだ。野菜サラダに少し乗せると良いと思う」
「あのっ、ガストン料理長! 潰したじゃがいもと、きゅうりと茹でたニンジンです!」
「ありがとう。持ち場に戻ってくれ」
「はいっ!」
ガストンは手早くじゃがいもにマヨネーズを混ぜて、きゅうりとニンジンも混ぜ込んだ。




