壊れた洗濯機
翌朝、ぱっちりと目が覚めた。
ベッドから出て、顔を洗い、礼服に着替える。
そこにトントン、とノックの音が響いた。
「アルキス様、おはようございます。朝食のお時間です」
「わかった、今行く」
俺は鏡を見て髪を整え、自室を出て食堂へ入った。
俺は自分の席に座った。
美味しそうな朝食が並べられる。
「いただきます」
俺達は一斉に食べ始めた。
食事中は喋らないものだから、静かに食事が終わる。
俺は今朝もゴマのパンを3つ食べて、お腹いっぱいだ。
食後のお茶を啜りながら、お父様の話を聞く。
「今日は、昨日も話したが、ジュリアのお見合がある。午前10時から、サンルームにて、見合いを行う。午後からは、ジュリアとルルーシュ、アストレイ様はゴブリン討伐に向かって貰う」
お姉様達は静かに頷いた。
「俺も行ければ良いんだけど、書類が溜まっていてね。俺は家で頑張るよ」
ジークフリートお兄様がそう言った。
「俺は魔導具作りを頑張ります。お姉様達、十分注意して行って来て下さいね」
「ええ、まかせておいて。怪我をせずに帰ってくるわ」
「俺もいるし、アストレイ様もいるんだ。心配いらねえよ、アルキス」
「はい。アストレイ様も、お気をつけて」
「ああ、わかってる。無茶はしないよ」
俺達はそれで解散し、俺はジョルジュの所へ行った。
「アルキス様、如何致しましたか?」
「壊れた洗濯機があるって聞いたんだ。それを修理したいんだけど、どこにある?」
「では、倉庫に参りましょう。ついてきて下さい」
俺は執事のジョルジュの後をついていった。
屋敷の片隅にある、大きな倉庫。
ジョルジュはカギを開けて、中に入った。
中はすごく広かった。
少し埃っぽい倉庫内は、色んなものが置いてあるようだ。
「アルキス様、ここで少しお待ちください」
ジョルジュは倉庫の奥の方から、さびた洗濯機を運んできた。
「こちらが故障した洗濯機になります。見たとおりサビもひどく、もう使えないものと思っております」
「わかった。まずはサビ取りからやってみるよ。持っていって良い?」
「ええ、どうぞ。頑張って下さい、アルキス様」
俺は洗濯機をアイテムボックスにしまい、ジョルジュと別れた。
行き先は屋敷の裏、よし、ピエールを見つけたぞ。
「ピエール、ちょっと良い?」
「アルキス様、またノコギリですか?」
「今日はサビ落としの道具を借りに来たんだ。何かない?」
「じゃあ、金やすりを貸しましょう。金属で出来たやすりです。サビなんぞ、一発で落ちますよ」
「ありがとう、借りるね」
俺は開けた場所に洗濯機を置き、まずは外観のサビを落とし始めた。
金やすりはゴリゴリサビを落としていく。
装飾も少し削れてしまうが、仕方ないだろう。
完成してから、金物屋に、装飾を依頼しても良い。
「さて、外観は綺麗になったけど、中もサビだらけだ。この洗濯機、ほとんど金属で出来てるんだな。高そうだ。よし、バラそう」
洗濯機をパーツごとにバラバラにして、サビを落としていく。
結構根気の要る作業だったけど、集中してサビを落とす事が出来た。
「よし、基盤も金属だ。等身大で書かれているから、呪文が読みやすいな。へえ、これが時間指定の呪文かぁ。『水よ 出でよ ウォーター』と『風よ 動け ウィンド』を併用しているんだな。凄く分かりやすい!」
俺はまな板大の基盤をアイテムボックスに収納した。
まずは木の基盤に書いて、動くか試す必要がある。
俺はバラしたパーツを組み直し、洗濯機を修理した。
「ん? これは、大きな魔石だな」
おそらく魔力は残ってないだろうが、大きな魔石を取り出した。
洗濯機のような魔導具には、大きな魔石を使うのが普通なのかもしれない。
こんなに金属を使ってるんだもの。
魔石代もケチったりしないだろう。
魔石がいくらするのか、知らないけどな。
サビが消えて綺麗になった洗濯機をアイテムボックスに入れて、ピエールに金やすりを返した。
もうすぐ昼食なので、自室に戻る。
さて、ジュリアお姉様のお見合いはうまくいったかな?
メイドのサーラに呼ばれて、食堂に向かう。
自分の席に座る前に、お姉様をちらっと見たら、薄く微笑んでいた。
全員揃ったら、料理が出て来る。
お昼のメインは、デビルコッコの唐揚げだ。
俺はスープから手をつけた。
うん、とっても美味しい。
野菜サラダをしゃくしゃく食べて、唐揚げに手をつける。
カリッ、ジュワーッ!
うーん、最高に美味しい!
「これは……食べたことのない料理だ。外側はカリッと、内側はジューシーな肉汁で溢れている」
ベイクブリッド辺境伯様は、美味しそうに唐揚げを頬張った。




