第2話:屈辱の衣装と異常な配牌
薄暗く、煙草のヤニと安い香水の匂いが混ざり合ったような地下対局室。
重い扉を開けた瞬間、室内の空気がねっとりと私に絡みついてきた。
「ごきげんよう、お嬢ちゃん。……おお、なかなか似合ってるじゃないか」
「ククク、今日の余興はずいぶんと可愛らしいねぇ」
中央に鎮座する全自動麻雀卓を囲むように座っていた3人の男たちが、私を見るなり下品な笑い声を上げた。
値踏みするような、欲望むき出しの視線。
身に纏った赤いチャイナドレスは布地が薄く、体のラインを強調し、深く入ったスリットも、隠したい場所をほとんど隠してくれない。
男たちの視線が突き刺さるたびに、冷房のせいだけではなく、屈辱と恐怖で足元がガタガタと震えた。
(怖い……帰りたい……)
しかし、私には後がない。
母を救うためには、この異常な空間で勝つしかないのだ。
私は必死に震えを押し殺し、指定された席――卓の空いた一席へと腰を下ろした。
「さあ、始めましょうか。ルールは事前に説明した通りです」
背後に立つ役員の静かな合図と共に、卓の真ん中が開き、ジャラジャラと不気味な音を立てて牌が洗われ始めた。
まるで、私という獲物をすり潰すような機械音。
そして、私の目の前に、ゴトッと重い音を立てて牌山がせり上がってくる。
『あなたはただ、それをアガるだけ。とても簡単でしょ?』
役員の言葉が脳裏に蘇る。
言われた通り、渡されたルールブックには一通り目を通した。
アガれば、配当金がもらえる。ただそれだけ。
私は祈るような気持ちで手を伸ばし、配られた13枚の牌をゆっくりと手元に引き寄せた。
そして、そっと開く。
――息を呑んだ。
一、九、字牌が、まるで計算され尽くしたかのように綺麗に一枚ずつ並んだ、異様な配列。
麻雀のルールを昨日覚えたばかりの私でもわかる。
本当に、『国士無双13面待ち』のテンパイが、最初から完成していた。




