第1章-39 美人の舌打ちは迫力があるよね
「ふぅ、まったくアイツは……おっ、いたな」
「お待ちしておりました」
先ほど受付で言われた通り三階の右奥まで来ると、シャリアさんは僕達が来ることが分かっていたようなタイミングでドアを開けて出迎えてくれた。
中にはセレスさんもいる。
よかった、無事に合流出来たみたいだ。
「アーサー様、ミランさん。ご無事で何よりでした。
お茶を淹れましたのでこちらへどうぞ」
「相変わらずなんでこうタイミングよく出せるんだか。まぁ美味いからいいが」
苦笑いを浮かべつつも少し楽しそうにミラン姉さんが話す。
「アーサー様もどうぞ」
「いただきます」
ふーふーと紅茶を冷ましてありがたく頂戴する。
う~ん、相変わらず美味いなぁ。
紅茶を飲んでいるとセレスさんが僕を関心したような顔で見てくる。
「少し見ない内にアーサー様はだいぶ逞しくなられましたね」
「ホントですか!
具体的にどの部位でしょうか!
広背筋とかですか!
それとも上腕三頭筋とか!
腹筋も鍛えたんですがもしかしてそこが!」
「……あっ、お茶菓子もありますよ」
スルーされた……僕もまだまだらしい。
「……いただきます」
お茶菓子がやけにしょっぱく感じるぜぃ。
「落ち着かれたところで状況を説明致しますね」
落ち着いたっていうか落ち込んだが正しいのだけれど、あえてシャリアさんの話を遮るほどのことではない。
「お嬢様達と腐れ勇者の結婚式は予定通り明日行われます。
城へ繋がるメインストリートからパレード形式で始まり(チッチッ)、
そのまま城に隣接する帝国最大の教会で夫婦の誓いを自国の有力貴族と各国のゲストの前で交わし(チッチッチッ)、最後に皇帝から祝福を与えられて終了となります(腐ってしまえ)」
途中で鳥の声かと思うほどシャリアさんの舌打ちが何度か炸裂していた。
「……と、シャリアさんの説明した内容が表向きの予定です」
シャリアさんの機嫌がだいぶ悪くなったのを見計らってか、セレスさんが説明をバトンタッチしたようだ。
「表向き?」
「はい。……私が送り込んだ諜報員からの報告によると、最初のパレードを行う前にコロシアムで催しを計画しているとか」
諜報員送り込んでたよこの人―――!?
「コロシアムってのはあれだろ、罪人だったりが殺し合う様を見世物にするって胸クソ悪いやつ。
確か救世主の軍勢が現れてからは使われてなかったと思うが、そんなところでその腐れ勇者ってのは何をするつもりなんだい?」
「諜報員もそこまでは調べられなかったそうですので、代わりにシャリアさんが調べてくださいました」
おかげでこんなに機嫌が悪いのですとボソッと呟いたのが聞こえた。
しかし諜報員でも調べられなかったのに……シャリアさんホントに何者?
「その催しとは……罪人としてお嬢様達を奴隷にする洗礼を……行うそうです」
「はぁっ!? シャルとエリーを奴隷に!?」
「……あの子らは他国の侯爵令嬢なのに奴隷にされる理由は?」
「それは私から説明しましょう。実は……」
次回はシャリアさんの大活躍無双パートが始まるよ!
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