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第1章-37 そのころ二人のお嬢様は

 シャーロットとエリザベスに用意された部屋は豪華な内装だった。


 専属の侍女も用意され、アクセサリーやドレスも最高級の品がズラッと並んでいる。


 代わりに侍女は監視役を兼ねているために二人は部屋の外へ出ることは出来なかった。


「帝国に連れ去られてから、今日で七日ね」


「……ん、明日が八日目。……アーサー……来るよね?」


「来るわ。出逢ってから日は浅いけど、あの人のことは信じられるって思うから」


「……愛だね」


「べべべべ別に!? 愛とかそんなんじゃないわよ!」


「でも……会いたい……でしょ?」


「それは……うん。……会いたい」


「シャル……可愛い」


 二人の会話を監視の為にと隠れて聞いていた侍女達は、ホントに可愛いとエリザベスの言葉にウンウン頷いていた。


「入るぞ、俺のお嫁さん達!」


 空気を読めない男がドアをノックすることなく部屋に入って来た。


(((ちっ!)))


 こっそり聞いていた侍女達は邪魔が入ったことに思わず舌打ちをしてしまった。


「……何度言えば覚えるの。ドアはノックして。そもそも入ってこないで」


「……じゃま」


「ハッハッハッ! そんなに照れるなよ。今日は良い物を持ってきたんだ」


 いつも全く話を聞かない勇者に、シャーロットとエリザベスはイライラしていた。


 勇者が指をパチンと鳴らす。それを合図にメイド達が何人も部屋の中へと入って来た。


「これは式で二人が着るウエディングドレスさ。

本当は僕好みに丈を短く背中なんかの肌の露出も多くするつもりだったんだが、そういうのは扱いがないから製作が間に合わないらしい。ごめんよ」


「何に謝ってるのか知らないけど気持ち悪い」


「……消えて無くなればいいのに」


「いやぁもうすぐ君達が俺の物になるのか。

あの生意気なアーサーってやつも消せるし、いい日になりそうだ。

まっ、どうせ逃げ出してるだろうけどさ」


「アーサーは来るわよ。アンタをぶちのめしにね」


「バカを言うな。勇者である俺を恐れて来ない可能性のほうが高いだろ?」


「……アーサーは来る。……必ずあなたを倒すから」


「おいおい、まるで俺が悪いみたいじゃないか。

……悪いのは勇者に逆らうアイツじゃないかい?」


「これ以上話しても平行線ね。当日になればわかることよ」


「……早く帰れー」


「やれやれ、まぁいいさ。

そうそう、言い忘れていたけど本当にアーサーが来たら盛り上がるように面白い余興を用意している。

もちろんシャーロットとエリザベスも参加してもらうから。

……楽しみにしていて」


 勇者はニヤァと笑ってから部屋を出て行った。


「はぁ……」


 ウエディングドレスは置かれたままなので、式ではこれを着させられるのかとシャーロットは早くも嫌な気分になっていた。


「エリー、あなたどうしてニヤついてるの?」


 だが、エリザベスは別の意味でため息をついていた。


「……これを着た私を……アーサーが攫ってくれるのかぁって思って」


「っ!? そ、それは……悪くないかも。

そしてそのまま夜になってそれから……そ、そんなことまで!?

だめよ! 私はまだ10歳なのに……アーサーったらまったく、しょうがないわね……」


 エリザベスの一言で、嫌な気分が吹き飛んだシャーロットだった。


「……シャルのえっち」


「にゃっち!?」


(((噛んだお嬢様が可愛すぎる!)))


 そしてそんな二人の会話を隠れて聞いている侍女達は、お嬢様達が尊すぎて死にそうと心の中で叫び声を上げていた。



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