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第1章-36 ダンジョン初踏破記念のアイテムは?

「おぉっ、やったなアーサー!」


 煙が晴れると、五階がすぐ目の前だった。


 どうやらこの煙は距離感を狂わせる効果もあったようだ。


 風魔法で跳躍の勢いを抑えて、近くに見えている聖なる武器のある台座まで向かった。


「これが……聖なる武器?」


 聖なる武器の目の前に到着した僕は、まじまじと台座に刺さったそれを見た。


「えっと……」


 てっきり剣なんだと思い込んだそれは、剣ではなかった。


 さっきの煙はこれを隠す意味もあったのかもしれない。


 台座に刺さっているのは剣ではなく金属の柱で、上の部分が小さい丸テーブルのようになっている。


 丸テーブルの上には小さな宝石箱くらいのサイズの箱が置かれていた。


 周囲には箱の他に何もなさそうだ。


 上を見ても天井があるだけでこれ以上進むことは出来そうにない。


 となるとこの場所がダンジョンのゴールであり、これが聖なる武器ということか。


 煙の影響もあってか金属の柱部分だけが剣のように見えたからそう呼ばれたのかな。


「アーサー、大丈夫か?」


 呼ばれて下を見ると、獣化を解除して服を着ている途中のミラン姉さんがいた。


 タイミング的には色んな意味でギリギリだ。


「大丈夫ですよ~」


 だからミラン姉さんは早く服を着てくださいね。


 着替えが終わったのを確認してから (あっ違うよ? ずっと着替えを見ていたわけじゃないからね?)箱を持って下の階に向けて飛び降りた。


 日本にいた頃はこんな高さから飛び降りるなんて考えたこともなかったけど、これもダンジョンで鍛えられた賜物だろう。


 いやでもやっぱり地面が近づいて来るのは恐怖を感じる。


「アーサー、よくやったぞ」


 服を完全に着たミラン姉さんが駆け寄ってくる。


 無事に手に入れたことを知らせるように、箱をミラン姉さんに見えるように前に出した。


「上にあったのはこれだけです」


「武器ではなかったんだな……。もう開けたのか?」


「いえ、これからです」


「手に入れたのはお前だ、開けて中身を確認しておけ」


「はい」


 この世界に来て初めてのダンジョンで手に入れた踏破記念と考えるとすごくドキドキする。


 ただ今回はライフイーターと戦う為に武器が欲しかったので、せめて戦闘に役立つ物が入っていることを願うばかりだ。


 緊張しながら箱を開けてみる。


「開かない……」


 カギが掛かっているのか、どんなに力を加えてもびくともしない。


 まだ何か仕掛けがあるのだろうか。


「アーサー、箱の様子が変だぞ」


「えっ? ……これは」


 さっき霧散させたはずの煙が、まるで魔法のランプに魔人が戻るときのように箱へと集まり始めた。


 集まった煙は箱にある鍵穴から中へ吸い込まれていくかのようにどんどん入っている。


 そうして集まった全ての煙がなくなるのと同時に、カチッと箱の中から音がした。


 カギが開いた……んだよね?


 恐る恐る開けてみると、中には細長い楕円形をした金属質な物が入っていた。


 あの魔力を帯びた煙自体が箱のカギだったわけか。


 仮に煙を無視して箱だけ取れたとしても開けられなかったのかもしれない。


 金属質な物を手に取ると、やや重みを感じる。


 重さや長さは500mlのペットボトル一本分くらいといったところか。


 これはなんだろう。


 あっ、こういう時こそ鑑定魔法の出番では?


「アナライズ」


 呪文を唱えると、ブオンと鑑定結果が表示された。


 こ、これって……。



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