第1章-32 剣を振ってから鞘に仕舞う姿に憧れるお年頃
「魔石以外の部分はどうしてるんですか?」
「魔物にもよるが、大抵は解体して必要な部位を換金する。
食べられる魔物なら肉も売れるぞ。
ギルドに持って行って手数料を払えば解体しなくても買い取りはしてもらえる」
「なるほど。ホーンスネイクの場合はどうなりますか?」
「皮と肉、それから角や牙も売れるな。
持ち帰るのが大変だから、大体の奴らは角と牙だけ回収して他は食べるか燃やすかしているが」
となると、なるべくなら倒したらそのまま持ち帰りたい。アイテムボックスに入るかな。
おっ、試してみたらいけたぞ。
目録を見るとちゃんとホーンスネイク✕1となっている。
なお「✕」は「エックス」ではなく「かける」のほうなので誤解しないように。
間違えて読んでたらホーンスネイクエックスワンになるのか。
カッコいいな、好きな漫画の宇宙海賊ロボットに似たような名前のがいるんだよね。
「まさかホーンスネイクまるごとアイテムボックスに入れるとは。規格外すぎるからあまり人前ではやるなよ」
「規格外……なんですかね。気を付けます」
便利だからといってアイテムボックスを人前で使わないように気を付けなきゃいけないか。
魔物を解体してもらう時も出す方法を考えておいたほうがいいかもしれない。
「さて、魔法の方は問題なさそうだな。むしろ手加減を忘れないようにしておけ」
確かに。あの威力で人に向けて撃ったらとんでもないことになってしまう。
威力をコントロール出来るようにしておかないとな。
「おっ、今度はホーンマングースか」
ホーンマングース!?
またホーン。しかもマングースて。
「よし、次は攻撃魔法は禁止だ。武器でも体術でも、手段は何でもいいから魔物を倒してみな」
「はい」
ホーンマングースを見る。
さっきのが角の生えた蛇だとしたらこいつは角の生えたマングースだ。
まんまですな、とにかく魔物照合!
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ホーンマングース
レベル7
メス
属性:水
弱点:土
補足:敵対関係にあるホーンスネイクのオスをこの場所で見かけた時に一目惚れしてしまい、
また会えないかなと期待をしながら探している。
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このホーンマングース……もしかしてさっきのホーンスネイクのことを?
禁断の恋……か。
命を掛けた勝負だから許してくれとは言わないけれど、なんとなくやるせなくなる。
「身体強化」
せめて命を無駄にしないために全力で戦うことにしよう。
そう決めて身体強化のスキルを使った。
全身をオーラのような物が覆い、身体が異様に軽い。
まるで重力から開放されたかのようだ。
「いよっと!?」
軽い身体でホーンマングースに向かって思い切り地面を蹴って前へ向かった。
十メートルは距離があったはずなのにもう目の前なんですが!?
早く剣で斬らないとぶつかる!
急いで腰に下げた剣を抜いて一閃し、ホーンマングースを斬りつけた。
ズシャアアアアと脚でブレーキを掛ける。
気付けばホーンマングースを斬りつけた位置から三メートルは過ぎてしまっていた。
ブレーキを掛ける為に脚で踏ん張った地面は、かなりえぐれて数メートル分がまるで側溝をこれから作るんですかみたいな状況になってしまっている。
これは……要練習だね。
剣に付いた血をブンと振って落としてから鞘に仕舞い(実は一度やってみたかった憧れの仕草)、ホーンマングースを見ようと振り返る。
身体強化を解除してなかったのでいつもの勢いで振り返ったらその場で二回転してしまった。
周りから見たら調子に乗ってクルッと回りカッコつけてる痛い奴に見えるかもしれない。
恥ずかしい!
「今のは身体強化?
動き方は素人丸出しだが、それが気にならないほどの能力だな。
これ、アタシがいる必要あるか?」
「もちろんです! ド素人なので!」
「でもなぁ……」
まずい、ミラン姉さんが帰ってしまいそうな雰囲気だ。
決闘まで時間がない今は指導してくれるミラン姉さんが必要不可欠ということを伝えなければ。
「僕はミラン姉さんでないとダメなんです!」
「そ、そうか……アタシでないとダメなら仕方がないな。
うんうん。よし、次行くぞ!」
少し顔が赤くなっているけどなんとか帰らずにいてくれてよかった。
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