第1章-31 アルティメットが付く技を使う時はためらいがち
トイレを無事に済ませた僕達は、兵士さんにお礼をしてからダンジョンの中へと進んだ。
あまり広くないけど強い魔物が出るということだから気を引き締めていこう。
まずは手持ちの装備を改めて確認する。
セレスさんからもらった剣は鞘に入れて腰のベルトに付けてあるし、フルプレートアーマーを断念した代わりの防具である篭手・胸当て・脛当てはサイズや動きやすさ共に問題無し。
アイテムボックスがあるから細かい道具も不要。
よ〜し、大丈夫そうだ。
さっき兵士さんに聞いた話によると塔の一階まではそこまで強い魔物は確認されていないようなので、ここで色々と試しておきたい。
おっ、どうやら早速お出ましのようだ。
「ホーンスネイクか。
ちょうど一体だけのようだし、まずは一人で出来るところまでやってみな。
危なくなったらすぐに介入するから」
「はい!」
ホーンスネイクと呼ばれた魔物は丸太くらいの太さを持つ角の生えた巨大な蛇みたいな見た目をしている。
攻撃する前に出来れば相手の情報を知りたいところだけど……。
そうだ、ツアー本で魔物の情報は得られないかな。
『40ページが開いた』
おっ、あるみたい。
出現したツアー本を手に取って開いたページを確認する。
――――――――――――――――――
40ページ
魔物の情報を得たいとき
魔物照合
――――――――――――――――――
「よし、魔物照合!」
そう唱えると、ステータス画面のような表示が現れた。
写真付きで魔物の詳細なデータが確認出来るようだけど、まるで履歴書のようなデザインになっていて少し苦笑いになってしまった。
なになに……。
――――――――――――――――――
ホーンスネイク
レベル8
オス
属性:土
弱点:水
補足:そろそろメスと番になりたいのでどこかに出会いはないかなと思い始めている。
近々合コンに参加予定。
――――――――――――――――――
補足情報は本気でいらない内容だった。
もう少しステータスとかも出たらありがたかったけど、弱点とかが知れただけでも十分だと思おう。
水が弱点なら水属性の魔法を使えば有利に戦えそうだ。
水属性魔法かぁ、ステータス画面で確認出来るはずだから調べてみよう。
ミラン姉さんが見てるから素早く確認しないと。
「ステータスオープン」
ブオンと僕のステータス画面が出て来たので、早速水属性魔法の表示部分に触れてみる。
すると、現在の僕が使えるであろう一覧が表示された。
どうやら使えるのはアクアボールとアクアカッター、それとアルティメットスプラッシュキャノン。
……アルティメットスプラッシュキャノン?
最後のだけとんでもない名称なんですが。
これは使っても平気なやつですかね。
兵器なやつとかではないよね?
「大丈夫かー?」
マズイ、少し時間がかかってしまったみたいだ。
とにかくこの中で一番初級っぽいやつを使おう。
相手に手を向けてイメージ……。
「アクアボール!」
初級っぽいアクアボールを唱えた。
手の平からドッヂボールくらいのサイズの水の球が出現し、ホーンスネイクに向かって飛んでいく。
ドッヂボールって聞くと小学校の頃にジじゃなくてヂなんだぜとか謎のマウントをとってくるヤツがいたなぁと思い出した。
「フジャアァァァ!?」
アクアボールをまともに喰らったホーンスネイク。
ドッヂボールサイズの穴がホーンスネイクの腹に開いてるんだけど、これってもしかしてアクアボールがやったの?
「凄いじゃないかアーサー!
中級魔法のアクアボールをここまで使いこなしているやつは見たことがないぞ!」
えっ、アクアボールって中級なんだ。予想が外れた。
ミラン姉さんがすごく感心した顔で倒れているホーンスネイクを見ている。
と思ったら、腹に開いた穴に手を伸ばして何かを探すようにゴソゴソといじっている。
これだけ見るとちょっとしたホラーな光景だ。
「見事な魔法だった。ほら、魔石を取っておいたからもらっておくといい」
そう言ってミラン姉さんがホーンスネイクから取り出した500円玉くらいの大きさの青い石をくれた。
「魔石?」
覗き込むようにして魔石と呼んでいた石を見てみる。
なんとなくだけど不思議な力を感じるような?
「知らないのか?
魔物は体内に魔石と呼ばれるエネルギーが込められた宝石のような物を宿しているんだ。
強力な魔物ほど強いエネルギーが込められた魔石を持っている。
魔石は換金すればお金になるし、加工して武器等を強化することも可能だ」
「へぇ〜」
得しかないから魔物を倒したらなるべく魔石を回収したほうがいいわけか。
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