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第1章-18 オペラグローブはイブニンググローブの一種らしい

 僕はただの子どもだ、出来ることなんてたかが知れてる。


 今から言おうとしていることを言えば後悔するかもしれない。


 世界を救うなんて荷が重すぎて僕にはきっと出来ない。


 救世主なんて怖い相手、逃げ出してしまいたくなる。


 それでも……。


 僕はこの人達の為に自分が出来ることをしたい。


 理不尽という暴力からセレスさんとシャリアさんを。


 自分を犠牲にしてでも国と民を守ろうとする誇り高いシャルとエリーを。


 守る為に覚悟を決めろ!


「僕の婚約者にそれ以上近づくな!!」


 あと数歩で二人に触れられるというところで、僕の声に反応したロリコン勇者はピタッと足を止めた。


「……は?」


 ギロッと僕を睨むロリコン勇者。

 緊張で喉がカラカラだ。

 呼吸を整えろ、しっかりと息を吸え。


「聞き間違いか? お前の口から婚約者って聞こえた気がしたが」


「性格だけでなく耳も悪いのか。

僕の婚約者にそれ以上近づくなって言ったんだ」


「あぁん?」


 ピキピキっと額に血管が浮き出るくらい苛ついてるのがわかる。


「ダメよアーサー。

決闘のことはもういいの、今のあなたではまだ勝てない!

私の目算が甘かったわ。

だから……あとは私達がなんとかするから!」


「……巻き込んでごめんね」


 シャルとエリーがなんと言おうと僕は決めたんだ。


 だから泣かないで。


「ガキが……。人の恋路を邪魔すんじゃねぇよ」


「ガキはアンタでしょ。

欲しい物を無理やり奪おうとするなんて恥ずかしくないのか」


「はっ、奪おうとなんてしてないさ。

……この二人は俺の物だからな」


「話にならないよ。だったら」


 僕は自分の手袋を脱いでロリコン勇者に投げつけた。


 実は僕が着させられている服は白い手袋も込みだったのだ。


 ただ何故か貴族令嬢が身に着けているようなオペラグローブだったんだよね。


 あっ、オペラグローブっていうのは肘とかまである長めの手袋で、よく悪役令嬢がぽっと出の男爵令嬢とかに投げつけて「決闘ですわ!」っていうやつみたいな物のことだよ。


 長袖の上着だったから目立たなかったけど、いざ自分で外すとなるとめちゃくちゃ時間かかるなこれ。


 あっ待って待って。急いでるんだからチンタラしてるならもういいよな?みたいに見て来ないで。


 よし、ようやく脱げたぞ。これを軽く丸めて……。

 

 ギャルルルルルッ!!!


「ぐあぁぁぁぁあっ!?」


「……あれ? 軽く投げたつもりだったんだけど」


 なぜか燃える魔球のような速度でロリコン勇者の腹部に手袋がメコメコっとめり込んだだけでなく、そのまま球威が落ちずにロリコン勇者を壁までふっ飛ばした。


 この威力……もしかして僕のステータスが影響してたりとか?


 かなり痛そうにしてるみたいだけどさっきのお返しが出来たから結果オーライ。


「こ、この……なんだ今のは。

まさか……鉄球かなんかか」


 かろうじて耐えているようだが、うまく立てないのか足がぷるぷるしている。


「ただの手袋だけど」


「ウソつけぇぇぇ!?」


 目の前で取ったとこ見てただろうに。まぁいいや。


「おい子鹿勇者」


「誰が子鹿だ!?」


 足を産まれたての子鹿のようにぷるぷるさせながら怒鳴るアンタのことだよ。


「個人的にあなたへ決闘を申し込みますわ!」


「ますわ……だあ?」


(しまったぁぁぁあああ! さっき悪役令嬢のことを思い出していたから、ついそれに引っ張られてお嬢様言葉になってしまったぁぁぁあああ!)


 止めて、みんなそんな憐れむような視線を僕に向けないでぇ!?


 とにかく気持ちを切り替えてちゃんと言うぞ。


 ある意味緊張はほぐれたから、ここから仕切り直しだ!


 だから皆も今の流れは忘れてね!


「……アンタに決闘を申し込む!

シャルとエリーは僕の大切な人(友達として)だ。

帝国になんて連れて行かせない!」


 よおぉぉっし、今度はちゃんと言えたっ!


 今まで生きてきて、こんなに漢字の漢と書いてオトコらしいセリフを言ったのは初めてで手汗が止まらない。


 決してさっきの言い間違いで手汗が止まらないわけではないからね。


(大切な人……それってそういう意味……よね)


(……もしかしてプロポーズ)


 シャルがあわわわと、エリーがほわわんとしながらこちらを見てくる。


 やけに熱量のある視線を感じる。


 きっと心配してくれてるんだな。


「はっ! そんなのを受けて俺になんの得がある」


 やっぱりすんなり受けてはくれないか。


 同じ立場だったら僕だって受けないと思う。     


 でも受けてもらわないと困るし、どうしたものか。


 こんな時にスマホがあればあいつの悪事を皆に見せることが出来るのに……。


 今日はたまたま家に忘れてきてしまったから持ってないんだよね。


 なんとか考えないと……。


『80ページが開いた』


 えっ、もしかしてこの状況を打開出来るチャンスか!


「……異世界道具召喚……ミニマム?」


 ミニマムって何だっけ?


少しでも面白い、これなら続きを読んでやってもいいかなと思われた方はポチっとポイントをいただけるととんでもないくらい励みになります!

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