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第1章-16 包容力は戦闘力に似てるよね

「みんな気を付けて!」


 ガッシャアアアン!!!!


「きゃあぁぁぁっ!?」


「……窓が爆発したの?」


 咄嗟に左右にいたシャルとエリーを抱き寄せて床にごろごろと転がり避難する。


 うぉう、なんだ!? 


 抱き寄せてごろごろと転がるというゼロ距離密着をした時に、まだ小学生の年齢のはずの二人から異様に色っぽいオーラがぶつかってくる感じがした。


 この現象を例えるなら戦闘力……ではなく包容力かな。


 エリーは包容力1,770でシャルは包容力2,800くらいはありそうだ。なお、この数字の意味が分かる方は僕と同じでオタクの素養がありそうでもある。


 特にシャルからは、まるで女子高生や女子大生くらいのお姉さんが悪戯でむぎゅっと抱き寄せて来たときのような安心感を覚える高い包容力の錯覚すら感じた。


 おっと、こんな時に何を考えているんだ僕は。集中集中。


 ちなみにセレスさんとシャリアさんは僕達を庇おうとしてくれたようだが、僕が二人を抱き寄せたのを確認して自分の身を守ることに専念したようだ。


 任されたってことだよね。若干だけ口の部分がニヨニヨとしていた気がするのは転がっていたから歪んで見えただけだと思いたい。


 なおこの時、部屋の横にある窓が何かの衝撃で割れて破片が飛んできたが光の膜が防いでくれたようで誰も怪我をせずに済んだ。


 ありがとうツアー本。セレスさんとシャリアさんの信頼を裏切ることがなくてホッとしたよ。


「おいやりすぎだバカトカゲ!

お前もちゃんと命令しろクソ女!」


 破壊された窓から現れたのは、翼を持った大きなトカゲとそれに乗っている人間が二人。


 この人達はいったい……?


「あぁっ! アンタはっ!?」


「……気持ち悪いのが来た」


 シャルとエリーがすごく嫌そうな顔をしている。


「本当に嫌なのが来ましたね」


「せっかくお嬢様達が可愛らしく話されていたのに……」


 セレスさんとシャリアさんも嫌悪感を隠せない相手のようだ。


 大きなトカゲから降りてきたのは、大学生くらいの男と高校生くらいの女だ。


 男の方は背中に大きな剣を背負っていて、女の方は魔法使いますよ〜みたいな服装をしている。


 気になるのは男の方が背負っている大きな剣からすごく嫌な気持ち悪い感じがする点と、魔法を使いそうな人の首に首枷が付いていることだ。


 女の方はフードを深く被っていて顔が見えないので年齢までは分からない。


 後から聞いた話になるけど、あのトカゲはフタコブワイバーンというらしい。


 ラクダみたいなネーミングセンス。見た目で名前を決めるのはどこの世界も同じらしい。


「ん〜? おぉっ、愛しの嫁達!

無事でよかっ……ってオマエ!

何やってんだ二人から離れろ!!」


「僕?」


 あぁそういえば、既に爆発も終わって立ち上がっているのにさっきからずっとシャルとエリーを抱き寄せたままだった。


 両手が塞がっている状態でどうやって立ち上がることが出来たかは秘密だ。


 いつかアニメ化する日が来たらその時のアニメスタッフさんに描写を丸投げしようなどと考えているわけではない。


「えっ……私……アーサーに抱かれた?」


 へいへいシャルさんよ。


 その言い方はちょっと誤解を招きそうだよ、落ち着いて。


「……みんなの前で二人まとめて抱くなんて……大胆」


 ちょいちょいエリーさんよ。


 その言い方は更に誤解を受けそうだよ、冷静になろう。


「だだだ抱くだとぉぉぉぉ!? 

キサマぁぁぁぁ! 

俺の嫁達に何してんだ!!」


「何って、アンタが壊した破片が飛んできたから二人を守ってたんだけど」


「なに、それはよくやった。俺様が特別に褒めてやる」


「はぁ……どうも?」


 なんかいきなり褒められてちょっと怖い。


 この人やけに感情の起伏が激しいな。まるでDV夫のような雰囲気を持っている気がする。


 しかしさっきから嫁嫁言ってるけど、この人はいったいどちら様?


 家に入るのに窓を壊してくるってことはマトモな思考の人ではなさそうだけど。


 待てよ、さっき似たような話を聞いたような。


「アーサー、あれが召喚された勇者よ」


「えっほんとに?」


「……ほんとほんと」


 あれが噂のロリコン勇者か。


 なんか日本人っぽい見た目してるけど、もしかして僕と同じ日本人の転移者だったり……?


「ていうかいつまで抱き締めてんだ!」


「あっそうだった」


 シャルとエリーを左右に抱き寄せたままだったのを再び思い出したので手を離した。


 なぜか二人とも大事にしていた枕を奪われた2歳児のような感じで残念そうにしているような?


「(せっかく居心地よかったのに……)。

アンタ、こんな失礼な訪問までしていったいなんのつもりよ」


「……決闘はまだ先。早く帰れ~」


 シャルとエリーが睨みつけるように勇者にビシッと言う。


「そう照れるなって。シャルロットとエリザベスを迎えに来たに決まってんだろ。帝国で俺達の結婚式を挙げる為にさ」


 二人の反応からどうやったら照れているように見えたのか?


「婚約者がいるから断ったでしょうが。バカなの?」


「……気持ち悪い人と結婚なんてしない」


「ハハハ心配するなって。

照れ隠しだってことはわかってるし、皇帝の許可はちゃんと取ってあるぞ。

結婚して守る相手がいる方が強くなれるタイプだって説得したら先に式を挙げることを提案されたからな。

だからこうして俺が来た!

ほれ、皇帝からの書状もあるぞ」


 ロリコン勇者から投げ渡された書状をシャルとエリーが読み進めていくと、だんだんイライラしてきたのか目付きが鋭くなってきた。


「なんですって!? 正気なの!?」


「……皇帝めぇ」


 シリアスっぽい時にあれだけど、エリーの「皇帝めぇ」の言い方がちょっと可愛いなと思った方は挙手を願いたい。


 うん、僕も同感です。




少しでも面白い、これなら続きを読んでやってもいいかなと思われた方はポチっとポイントをいただけるととんでもないくらい励みになります!

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