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第1章-15 世界滅亡の危機は元凶にあり?

「それじゃあ、食べながらでいいから聞いて……ほらこれ食べて」


「えっ、いや自分で食べられモグモグ」


 口にエビのような物をフォークで入れられたのでモグモグする。


「……明日から、アーサーには功績を積み上げてもらう……予定……んっどうぞ」


「功績? あの、自分で食べるからモグモグ」


 エリーの方を向くとサラダをフォークで口に入れられたのでモグモグする。


「そう、功績。いくらアーサーが強くても、どこの誰かも分からない人を果たし板の相手に推薦するには……ほらこれも美味しいわよ」


「いや、だから自分で食べられモグモグ」


「……ある程度の知名度がないと相手を侮辱しているとして責められる可能性がある……んっどうぞ」


「いや、だからね自分でモグモグ」


「ちょうど新しく発見されたダンジョンで聖なる武器みたいな物が……はい、食べなさい」


「……そう、功績にはちょうどいい……はいこれも」


「も、もうこれ以上は……口が」


 左右で交互に話しながら僕の口に食べ物を入れてくるシャルとエリー。


 なんなの?

 

 これが異世界の貴族が取るべき食事のマナーなの?


 セレスさんとシャリアさんの方に視線を向けると、ほほえま〜って感じで甥っ子姪っ子を見守っているかのように見てくる。


「あの、二人とも。食べさせてくれるのはありがたいんだけど、そろそろ止めない?」


「な、によ……私が食べさせるのはイヤなの?」


「……イヤなの?」


 左右から恐る恐るという様子で二人が聞いてくる。


 めちゃくちゃ断りにくいんですが~。


「えっと、イヤ……とかではないよ!

でもほら、まずは色々と話を聞かなきゃな〜と思ってさ!」


 イヤの辺りで二人の顔が曇ったので慌てて誤魔化した。


「まぁ確かに勇者との勝負が気になるのは当然よね」


「……まずはその話をしてから続き食べる」


 話が終わり次第今の食事は繰り返されるらしい。


 僕、そんなに二人に気に入られるようなことしたっけかな?


 歳が近いから兄妹みたいに思ってくれているのだろうか。


 まぁこんな一般人かつ小市民かつカースト下位常連な僕だし、たぶんそんなところだよきっと。


「そもそもだけど、どうして帝国は勇者を召喚したの?」


 何言ってんだコイツ、お前どこ中だよみたいな表情を浮かべるシャル。


 エリーはそこまで気にしてないか興味がないのか、自分の顔を猫みたいに手でコシコシしていた。猫の顔を洗う仕草って可愛いよね。


「あなたどれだけ田舎から来たのよ……。世界が存亡の危機にあるからに決まってるでしょ」


「あはは……すごい山奥とかにいたようなものなんで。って、世界存亡の危機!?」


 もしかして羽毛さんの言っていた小突いて欲しいとかいう元凶ってやつだろうか。


「いい? 今から三十年前にある国で未知の生命体が発見されたの。発見当初は害の無い軟体生物として認識されていたけれど、研究していた学者がその生物にすごい能力があることを発見して国の研究機関に移されたそうよ」


「すごい能力?」


「そう。周囲の物を見境なく捕食して自らを進化させていったらしいわ」


 捕食……それは確かにヤバそうだ。


「進化を続けてついには自我を得たその生物は、他の生物に自分の一部を与えて勢力を徐々に拡大し続けてついには軍隊を作り始めた。

軍隊を率いたその生物は自らを救世主と名乗り、十年前に世界へ向けて宣戦布告して世界を巻き込んだ戦争が始まったわ」


「えっ、救世主?いったいどういう……」


「そこまでは知らないわ。ただ言えるのは、年々救世主は力を増しているってこと。既に世界の四割は救世主の軍隊に侵食を受けているわ」


 羽毛さん……そんな怖いのを小突いてこいって簡単に言ったの?


 今度会ったら覚えとけよー!


「ところで最初に発見した国はどうなったの?」


「……帝国」


「えっ?」


 エリーがボソッと呟いた。エリーの言葉を補足するようにシャルが続きを話す。


「最初に発見したのが帝国よ。つまり今の世界がこんなことになってるのは帝国の初期対応が悪かったせいとも言えるわね」


「なるほど……。それで帝国としては勇者召喚を強行してでも早く救世主をなんとかしてしまいたいわけだ」



【そういうことさ! そして、救世主を倒すのがこの俺というわけだ!】



「えっ、誰かなにか言った?」


「私は何も……。エリーかしら?」


「……何も言ってない」


 セレスさんとシャリアさんの方を見ると、二人共首を振って否定している。なんかボソボソっと聞こえた気がしたんだけど気のせいだったか?


『12ページが開いた』


 えっ?


 身を守るとき……シールドカーテン?


 どうして今?


 身を守る必要があるってこと?


「シールドカーテン!」


 なんだか分からないけどツアー本が勝手に開いたのはきっと意味がある。そう判断して急いでシールドカーテンと唱えた。


「これは……薄い光の膜?」


 この場にいる全員を覆う光の膜のような物が僕達を包んだ。


 すごくどうでもいい話なんだけど、シールドカーテンって早口で言ったら「シールを買って!」に聞こえる気がするのは僕だけだろうか?


 いや、より近づけるとしたら「汁ごと買ってえん」かな。スープのお店に務める元ガールズバーとかの人ならワンチャン言う可能性があるセリフかも……?


 そして何故こんなくだらないことを長々と僕は考えているのか、それは誰にも分からなかった。



少しでも面白い、これなら続きを読んでやってもいいかなと思われた方はポチっとポイントをいただけるととんでもないくらい励みになります!

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