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第1章-8 学生服は異世界だと目立つよね

「ちなみにこれがその果たし板です」


 ドアのすぐそばに置いていたようで、セレスさんが運んできてくれた。


 あっ、これさっき馬車から下ろしてたやつだ。


「……でかっ」


 マジかよという視線をシャリアさんに向けると、マジマジと言わんばかりに深く頷き返された。


 部屋に入ってきた時のドアにギリギリ通るくらいの板が六枚もあるんですけど。あの馬車にどうやって積んだんだろう。


「この場合はどのくらいの本気度になるんですか?」


「そうねぇ、自分と親兄弟とペットが愛用している枕を果たし板の相手に渡す覚悟……くらい?」


「それは軽っ……いや、ある意味重いかも」


 自分に置き換えて考えたら渡すのも受け取るのも嫌だなぁ。


「……あいつ、嫌い」


「あいつって送り主のことですか?」


 エリーは相当嫌っているようで、赤ちゃんが初めてトマトを食べた時のような顔をしている。


「帝国が異世界から召喚したと言われている自称勇者からよ」


 情報量多いな!?


 せめて勇者は自称じゃなく本物であって欲しかった。


 勇者といえば、木で出来た棒を武器にただの布で出来た服を着て王様からもらうわずかなお金だけを元手に魔王を倒す努力家なのに……。


 一般家庭に押し入り、樽や壺を壊したり収納から金品を盗む強盗という見方もあるにはあるが。


「帝国に……異世界からの勇者……ですか?」


「ご存知ありませんか?

帝国が異世界からの勇者召喚に成功したと、大々的に喧伝しておりますが」


「いや、えっと、すごく田舎で育ったもので帝国のこともよく知らないんですよね……ははは」


 セレスさんに聞かれてしどろもどろになってしまった。


 この状況だと、あっ僕も異世界出身なんですよ奇遇ですねなんて言えない。もう少し設定を考えておけばよかった。


「あぁ、それでそのような面白い格好だったのですね」


「私もアーサー様は面白い服を好まれるのだなと不思議に思っておりましたが、そういうことであれば」


 田舎の世間知らずという話を信じてくれたのか、シャリアさんとセレスさんがうんうんと頷いている。


 確かに学生服は異世界だと目立つかも。面白いとか言ってるけど、きっと斬新でステキですねという意味だろう。


「アーサーの変な格好は置いといて」


 変な格好って言った!?


「帝国に呼ばれて嫌々、嫌々よ!

嫌々出席した舞踏会で私とエリーのことをその自称勇者が気に入ったらしく、私達と結婚できるなら世界を救う協力をしてもいいとか言ってるのよ。気持ち悪いでしょ!」


「それはまた……」


 とんでもねえ勇者のようだ。


 しかも、そもそも舞踏会にはとてつもなく行きたくなかったようだから尚更だろう。


「帝国は自称勇者を諌めるどころか、世界を救う勇者に協力できることを感謝するべきとか人類を見捨てることが貴族のすることかねなんてバカなこと言ってくるし!」


 シャルの怒りのヒートアップが止まらない。


 そんな勝手なことばかり言われたら確かに腹立つよなぁ。


「……しつこいから私とシャルには婚約者がいるのでムリって言ってきた」


「えっ! もう婚約者がいるんですか?」


「……いないよ」


「ん?」


 えっどういうこと?


「アーサー様、婚約者がいないのにいると伝えるのは、この国ではあなたより架空の婚約者を用意して一生独身の方がマシだという遠回しの断り方なのです」


 セレスさんマジか。遠回しどころかグサグサ刺してきてる気がしますがそれが普通なの?


「ちなみにその勇者は何歳くらいの方なんですか?」


「……23歳って言ってた」


「貴族とはいえご主人様達はまだ10歳なのにですよ!

それなのに自称勇者ときたら……そこがいいとか幼女二人に挟まれるのはご褒美とか言い始めて」


 とんでもねえ勇者のようだ。というか二人とも10歳なのか。


 怒りで興奮したシャリアさんをエリーがドードーと言いながらなだめている。


 異世界でもこういう時は同じようにするんだな。


「帝国が勇者召喚をしたのは人類存続の為だということはギリギリ理解出来るし、理不尽に呼び出された自称勇者は不憫だとは思うわ。

でも帝国が勝手に他の国の反対を無視して召喚したんだから私達を巻き込むなって話よ!」


 なるほどなぁ、それはお怒りもごもっともだ。


 しかも二人の両親が不在のところを狙ってきてるわけだから質が悪い。


 怒っているからか、まるで猫が怒りで毛を逆立たせているかのように見えてきた。


「よしよし、シャル様は悪くないですよ~」


「んにゃっ!?」


 あっ、つい飼っている猫のテイルピンと重ねて見てしまって同じようにナデナデしてしまった。


 これは更に怒らせるかもしれない。


「すみません、今のは悪気はなくて手が勝手に動いてしまったんです。

……脱ぎますね」


「なんでよ!?」


少しでも面白い、これなら続きを読んでやってもいいかなと思われた方はポチっとポイントをいただけるととんでもないくらい励みになります!

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