表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
466/467

第四百六十六話 現代ならではの不意打ち

たった一度だが、安倍晴明の足を止める事が出来た。

だが、それは決して俺達の力が上回ったわけではなく、未知の攻撃に対して

興味が沸き足を止めただけ。


「・・・・・なんだこれは。」


だが、それでも足を止めたさせたという事実は変わらない。二度とない機会を

ここで使うのは勿体ないと周りから思われるかもしれないが、例え勝負時に使ったとしても

あまり気にされないのが落ちだろう。


「それは・・・銃。弓に変わる現代の飛び道具です。」


むしろここが使い時。興味に頭のリソースを裂いてくれる今でなければ

効果を発揮できない真正面からの奇襲。


「・・・純恋。」


強靭な体をつらぬことなく足元に散らばった潰れた銃弾を拾おうと、

床に片足を突いた瞬間、純恋の指示を送ると用意していた太陽を打ち放つ。


日烏にちう!!!」


近くにいた八咫烏様と同時に打ち放つ烏を持たし太陽。

翼を大きく羽ばたかせて晴明へと飛び立つが、つい先ほど効果が無いことは

晴明自身が証明している。


「そりゃ効かんと———————————」


無駄だと言おうとした晴明は何か異変に気が付き、突然回避行動をとった。


「あら・・・よく気が付いたな。」


その回避行動を読んでいたのか、炎と共に羽ばたいていた八咫烏様が体を輝かせて

その身を逃がさまいと追いにかかる。


「くっ・・・!!」


まともな指示を送っていない俺には何が起きているのかはわからない。

だが・・・あの様子から見て、炎から身を守った大国主の加護が無くなったのだろうと

察することはできる。


「何だ。嫌に弱気だな。」


逃げようとする晴明を煽りつつ、その身を捕らえにかかる。

力を抑えこまれた奴の皮膚は八咫烏様が近づいただけでも赤く染まっており、

もし翼に少しでも触れれば勝負が決まる可能性もある。


「さっきのやつか・・・!!」


晴明は自らの体に起きている事を冷静に分析し始める。

自らの体に仕掛けられる出来事など・・・たった一つしかない。


「さっき言っていた銃・・・!あれに何かを仕込んだな・・・!!」


無知ゆえに無防備に受けた弾丸。おそらく・・・ちーさんが打ち放った物だろう。

あれが何かは分からないが、効果を見るに神術に対して効果を持つ弾丸であることだけは

理解することができる。


「この・・やろ!!!!」


何とか八咫烏様を引きはがそうと、懐から取り出した札を勢いよく投げてくる。

すると、中から大量の水が飛び出してくるがすぐさま蒸発していく。


「・・めくらましやな。」


これだけの高温に対し、ただの水では状況が何も好転しない事など分かっているだろう。

だからこその仕切り直し。目くらましで姿を暗ませ距離を取り、一度時間を作り出そうと

考えているようだった。


「・・追うか?」


「いえ、一度退きましょう。ここでリスクを取る必要はありません。」


晴明に対して優位を勝ち取ったが、まだ手の内が全て分かっているわけではない。

この目くらましがただ単に距離を取るだけならいいが、姿を隠しつつ

追ってきた八咫烏様への不意打ちを狙っていたらマズイ。


「承知した。」


ここは一度素直に仕切り直しを受け入れるべき。そう判断した俺に対して

不満一つ言う事も無く、八咫烏様は戻ってくる。


「・・次はどうする?」


「そうだな・・・・・。」


接近戦で劣っている相手に対し、踏み込むのは危険。まずはこの視界を晴らすべきだと

風を送り水蒸気を遺跡の奥深くへ追いやる。


「やるな・・・・・。」


出てきた安倍晴明、自らの胸に手を当てながら辺りを見渡している。


「未来じゃ飛び道具で神術に楔を打ってくるのか・・・。これは厄介だ。」


楔・・・。つい先ほど泰兄が見せた神術の中でもかなりの高等技術。

それを弾丸に込めて相手に当てるだけで神術自体を阻害するとなると安倍晴明相手に

かなり強く出ることができるが、今まで使ってこなかった事を考えると

段数自体に限りがあるのだろう。


「だが・・・これくらいであれば、時間があれば楔は取れるな。」


そんなとっておきだが、晴明は冷静に対処できると判断している。


「・・貴方にとって、現代の技術は簡単に対処できるほどのものなのですか?」


その姿を見て興味が沸き、思わず尋ねてしまう。

現代の神術とは、神の力を借りることが大前提で組まれた技術が多い。

だが、平安時代にまで遡れば神の力を借りるのではなく、人に不幸を与えたり

命を奪うなど呪術呼ばれる様な代物だった。


「いや?そういう訳じゃない。俺がいた時代にはこう言った類の術式はなかったから

新鮮だよ。」


それらの類は現代ではほとんど見られなくなった。その理由としては

術式を仕掛けるために踏む段階があまりに複雑であること。そして使用できる場所が

限定的であることから古の技術として使用されなくなった経緯がある。


「だが面白いもんでな。結局呪術も神術も根源は同じ。

より複雑な術式でも、コツを覚えていれば解除自体は出来る。まあ、時間はかかるがな。」


現代まで続く神力を使った技術。それらは多くの発展を続けてきたが、

それらが全て繋がっている事を過去の偉人は教えてくれる。


「・・・・・面白いですね。」


「だろ?これだから突き詰めたくなるんだ。陰陽の道をな。」


無邪気な笑顔をこちらに向けてくる。これが安倍晴明の魅力。

陰陽寮を率いたことがあり、威厳ある姿もつ側面もあるが神術に関しては底なしの無垢さが

垣間見れる。青さんが慕うのも当然だ。


「それにしても・・・時間をくれるんだな。攻め時だろう?」


大国主の力が封じ込まれている今、確かに攻め時ではある。


「ええ、そうですね。」


そんな好機を俺達が逃すわけがないだろう。仕掛け時が分からないのに

ここまで生き残れたのなら、俺はとんでもない幸運の持ち主だ。

念話が仕えず意思疎通は取れないが、近くに来ている事だけは分かっている。

後は合わせるだけ。仕掛けはいつでもできる。


「ふむ・・・・・。」


俺達が何かを仕掛けてくる事だけは察しているが、何もせずに佇む俺と純恋から

何も情報が出てこない事を訝しんでいる。


「・・・・・!!!」


訪れる静寂は、すぐさま引き裂かれる。俺の影から飛び出した楓によって。


「白虎!!!」


仕掛けてきた楓は式神である白虎を呼び出し、共に駆けていく。

グガランナを倒すほどの剛腕を見て、近づきはするが接近戦は仕掛けてこないだろう。

そんなバカではない。晴明もそう思ったはず。


「やるか。」


神融和をしながら突っ込んでいく楓。その足は止まることなく晴明の懐に飛び込んでいく。


「はああぁぁぁ!!!」


腰を屈ませた楓は全身の体重を乗せた体当たりを晴明に向けて撃ち放つ。

詳しくは知らないが・・・あのような体技を貼山靠ちょうざんこうというのだろう。


「ぐっ・・・!!」


予想外の一撃を喰らった晴明は軽く吹き飛ばされる。小さい楓の一撃が

自らの体を吹き飛ばすほどの重さだとは緒も分かったのだろう。


「ここからですよ・・・!!!」


俺だけじゃない。力を見せつけてやると言わんばかりに楓は構える。

小さな体に大きな力を楓。十二天将相手に生身で戦える自らに挑んで来た楓の姿を見た晴明は、

楽しそうに笑顔を向けながら、何事もなかったように立ち上がった。




ここまで読んでいただきありがとうございます!

少しでも興味を持っていただけたのなら評価やブックマーク等を付けていただけると

励みになりますのでよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ