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第四百六十三話 強敵から見出す勝機

化け物。目の前にいる安倍晴明を呼ぶにふさわしい言葉がそれしか出てこない。


『・・援護を頼む。』


そう理解した時、これは一人で戦うべきではないと念話で助けを求めていた。


「さあさあ!次は何を見せてくれるんだ!?」


ハンドサインで簡単な指示を出しつつ、魔術を唱える。

念話で策を伝えることもできるが、相手は伝説の陰陽師だ。念話の内容を

盗み聞きされるかもしれないと詳細な情報の伝達を捨て、今までの経験と信頼を

信じる選択をとった。


「・・あなたは魔力を御存じですか?」


後ろにいる味方達が動く時間や体の痺れを取るために、言葉での時間稼ぎを試みる。


「いや、知らないな。」


「あなた方や我々が使う神術。神の力を借りる技術ですが・・・その他にも

使い勝手の良い力があるのです。」


「ほうほう。それを使って産んだのがその黒い風なのだな?」


流石だ。知らない技術であるはずなのに、簡単な説明で俺の風が魔術で生まれた力だと

察してしまった。


「ええ。この力は神の存在を必要とせずに人間が人間だけの力で使う事が出来ます。

その分威力は落ちますが・・・汎用性は抜群。」


純恋達が準備を整えている。ちーさん達は・・・正気を取り戻しつつあるようで

得物である小銃を取り出し始めた。


「汎用性か・・・。君の様にこの一帯の空気を全て支配できるのか?」


「それは・・・個体差と言うべきでしょうか。神力と同じで人によって魔力の強さと

仕える属性があるのです。俺の場合は・・・風の属性が強く、

その分細かく操ることができる。」


俺の空気操作さえも理解していた。これ以上下手に説明すれば

この場で魔力を理解し、魔術さえ打ち放つかもしれない。


「そうか・・・。もっと深くまで知りたい所だが・・・後ろでお仲間が

怪しい動きをしているな。念を飛ばしている所を見ると、我らの戦いに水を差す気なのか?」


・・やはりか。念話は控えて正解だった。


「男と男の一騎討ちだ。拳と拳でやりあうのが道理だと思わないか?」


「同意したい所ですが、それを飲んでしまえば最後、

勝利を掴むためにそれなりの代償を支払わなければならないんでね。」


「堅実だな。だが・・・それもまた戦だ。」


ルルイエ内部は決して広くはない。固まっても散らばっても簡単に接近を許すような相手だ。

ここは全員が影に沈み、援護の際に出てきてもらうのが最善。


「・・晴明よ。」


先程敗北を叩きつけられた青さんは戦場に残っており、錫杖を持ちながら俺の隣に立つ。


「貴様・・・何故ここにいる?」


「何故とはなんだ。いてはいけないのか?」


「忠行が貴様ほどの男を隣に置かない理由。それはここで何かを仕掛けていたとしか

考えられん。」


俺達を倒すためにいるのではないかと言いそうになるが。それならつい先ほどまで

いた東京にいればいいはず。わざわざ遠く離れたルルイエにいる必要は全くない。


「・・・・・お見通しだな。」


青さんの問いを聞いた晴明は、参ったと頭を掻きながら答え始める。


「まあ、俺としてはあまりに不本意なんだが・・・一つ頼まれごとしてな。

とある神の召喚を任されていた。」


ルルイエと神。その二つが示すことは・・・嫌な予感しかしない。


「くとぅるふ・・・という奴だったな。奴の配下と呼ばれる神を二体に呼び出した。

他にも呼び出そうとしたんだが、邪魔が入ってな。すぐに引かれたが

お前達の命を奪った後にやる予定だ。」


東京の街に放たれた神々をこの短時間で召喚が可能なのは安倍晴明と賀茂忠行。

俺との戦いに力を温存することを考えるとこの人しかその役目を果たせない。


「貴様・・・!」


「青龍、そう怒るな。俺達は敵だ。道理が異なるのは当然。」


青さんに声をかけているが、視線は俺の方を向いている。


「言う通りだっただろ?日ノ本の命運をかける場所で戦うと。

俺を倒せれば陸にいる仲間達は勝てるかもしれない。当然無事では済まないだろうがな。

だが・・・俺に敗北すれば、東京どころか日ノ本が滅ぶだろうな。」


あの時からこうなると思っていたのか・・・。

確かに、日ノ本の存亡をかけた戦いであることは間違いない。


「流石・・・安倍晴明と言ったところでしょうか。」


「お褒めいただき感謝する。」


それでも・・・俺がやることは変わらない。誰が相手だろうと勝つ。

勝てば、全てが報われる。


「・・余裕が剥がれんな。腹を括ったか。」


「腹を括った訳ではありませんよ。考えても無駄だと悟っただけです。」


やるべきことが単純になったことも大きな要因だが、竜次先生達であれば

何とかしてくれると言う信頼も大きい。


「離れた所に配置してくれて感謝していますよ。どれだけ言葉で惑わそうとしても

俺はあなたにしか集中しない。」


「そういう意味で言った訳じゃないんだが・・・・・まあ、いい。

集中してもらって俺としても何よりだ。」


元より油断など出来ない相手。隙を見せれば一撃で葬られるほどの実力を持っているはず。

そして何より純粋な身体能力の高さは俺が相手してきた中でも前に出る者はいない。


「・・青さん。」


となれば敵の動きを制限したいが、伝承として残されている安倍晴明とは

如何せん全く異なる戦い方を奴はしている。


「弱点があれば・・・教えてもらいたいですね。」


此方にアドバンテージがあるとするなら元式神である十二天将達がいる事だ。

その情報を得つつ、立ち回れれば最善。


「弱点か・・・。はっきり言わせてもらえば、奴に弱点は無い。

今までお前達賀茂家の者達を見てきたが・・・奴を超える者は誰一人としていなかった。」


「そうですか・・・。」


ここまで賀茂家を支えてきた青さんが言うなら間違いない。

例えそうであっても勝つ以外に選択肢は無いと得物を強く握りしめるとゆっくりと

近づき俺の背中を軽く叩いてくる。


「・・お前以外はな。」


近づいてきた青さんは俺の背中を軽く叩き、耳元で呟く。


「お世辞はいりませんよ?」


「馬鹿を言うな。今までわしが見てきた中で、お前は最高傑作だ。

武術や神術では劣るかもしれんが、魔術でお前の方が格上。

真正面からぶつかってもまともに戦える。自信を持て。」


過去の偉人だからこその弱点。それは人類が必死に練り上げてきた技術。

明治時代以降、本格的に日ノ本に広まった魔術の存在を晴明は知らない。


「・・・・・分かりました。」


それを突くことが出来れば俺にも勝機はある。いや、勝つ。たったそれだけだ。


『・・準備できたで。』


念話で純恋から連絡が来る。最低限の会話。ここからはアドリブが肝心になる。

勝利を掴むため、周りに空気を回転させ始めた。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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