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第四百六話 十二天将達の連携

龍穂と分断された純恋達。目の前には貴人が召喚した十二天将達がいる。


「クッ・・・!!」


簡単に押し込まれた事実。初動から明らかな力負けを受けた純恋達は

これからどう立ち回っていくかを瞬時に判断しなければならず、

人数有利を取れているとはいえ精神的にはかなり追い込まれていた。


「・・全員で当たります!!ついてきてください!!!」


このままではマズイ。千夏が固まって行動し龍穂の元へと位置を押し上げる判断をつける。

千夏達も十二天将と共にいるが、目の前狂った化け物達とはまともにやりあえないと

奴らの佇まいがそう訴えかけていた。


「分かった・・・で!!」


騰蛇と共に朱雀を迎え撃っていた桃子は山本五郎座衛門を体に宿し、

力を合わせて押し返す。そして押され気味の純恋や沖田に加戦し、玄武を払いのけると

何とか迎え撃っていた千夏達と合流を果たした。


「あいつら・・・強いな。」


「当然だ。あの時代の京を守っていたからな。」


「それもそうか・・・。何か打開できるような弱点は無いか?」


純恋からの問いに、騰蛇は黙り込んでしまう。一体を相手するのであれば

弱点はあるのだろう。だが、あの四体もいてしまえばそれらを補って戦ってしまう。


「・・ひとまず、あいつらを引き離すか一体ずつ倒さないといけない訳やな。」


「それが・・・出来ればな。」


狂気に満ちた瞳で純恋達を見つめる十二天将達。感情の起伏が分からず、

いつ襲ってくるか分からない。


(煽って距離を離すのは・・・無理やな。)


乱れない精神とは厄介だと純恋は心の中で呟く。

実力や人数が離れている際、敵を揺さぶるのは常套手段。ここまでの戦いで龍穂に仕掛けられる

策略を見てきた純恋は強く実感していた。

十二天将という共通点は揺さぶるのに持って来いだが、それが通用しない今

まともにぶつかるしか状況打破は出来ない。


「ってことは、ぐずぐずしている暇は———————————————」


先手を打たなければならない。そう言いかけたが時すでに遅し。

集まっている敵の周りに何かが浮かび始める。


「天空の霧だ!!」


辺り一帯が白く霞んでいく。天空は霧や黄砂を操る神。純恋達をかく乱し、

その隙に倒す気なのだろう。


虎風拳こふうけん!!!」


それだけはさせないと、白虎のとの神融和を行った楓が風をまとった拳を

辺りに打ち放つ。すさまじい風は視界を阻む霧を吹き飛ばすが、

その先に広がっていた光景に純恋達は驚きを隠せない。


「なっ・・・!?」


僅かな隙。純恋達が霧に包まれ視界が阻まれた一瞬の隙を逃さずに

朱雀と玄武は距離を詰めており、すぐ目の前まで迫っている二柱を見た純恋達は

対応が遅れてしまう。


「クッ・・・!」


既に拳を振るっていた楓が勢いままに玄武に近づき拳を振るう。

甲羅を含めたかなりの重量は強さへと変わり迎え撃った楓に襲うが、何とか勢いを殺す。


「逃げてください!!!」


だがもう一体。朱雀を止められず、何とか対応しようとする純恋達も間に合わない。

まともに戦う事すらできないのかと心の中でつぶやいた純恋の視界には

迫るはずの朱雀が不必要に翼を羽ばたかせている姿が写っていた。


「何・・・!?」


明らかに動揺している姿に呆気にとられるがそれはほんの一瞬。

すぐさま沖田が距離を取り、負わせない様に太陽の魔術を打ち放った。


「・・何が起きたんや。」


「どこからか朱雀の翼目掛けて何かが飛んできました。」


純恋は辺りを見渡すと、下から小さな光が純恋の視界に入ってきて全てを理解する。

あれは下に降りたちーさん達が発している光。のぞき込んでいる小銃のスコープが反射した光だ。


「ありがたい・・・けど!!」


一時的な時間稼ぎにしかならず、すぐさまこちらに向かってこようとしている。

朱雀は炎を扱う。太陽の魔術では大きなダメージを期待できない。


珠玉牢獄しゅぎょくろうごく!!」


再び近づこうとする朱雀に対し、千夏が魔術を放つ。

水分を集め作り上げた大きな水の塊で朱雀を閉じ込める。

すぐさま距離を取るが水の牢獄を簡単に破った朱雀はこちらへ向かってこようと

翼を羽ばたかす。


「しつこいな・・・!!」


自分達を逃がすつもりはない。朱雀からの強い意志に純恋達は防戦一歩。

打開する策を練ろうにも、その隙さえ与えてくれない。


「・・桃子!!俺から離れろ!!!」


この状況を打破するために騰蛇は桃子に指示を送ると、すさまじい勢いで

朱雀に向かっていく。その勢いに驚きつつも、桃子は背中から跳ねて沖田の烏の背に着地すると

すさまじい勢いで朱雀を押し返し始めた。


「やばいな・・・。」


以前白虎や騰蛇と戦った時との大きな違いは体に秘めている力を残量。

ほぼ空の状態で戦ったからこそ善戦できたが、万全な状況の十二天将達では簡単に

押し込まれてしまう。


「はああぁぁぁぁ!!!」


唯一の光は楓と白虎が玄武に対して善戦している点。

龍穂との神融和の影響か、自身で風の地面を作り上げて立ち回る楓は

玄武の攻めを躱し、攻撃に転じている。

その好機を生かし攻めたいが、後にいる二柱がその隙を生ませないように

立ちふさがっている状況。


「残っている私達で何とかせなアカンな・・・。」


騰蛇と楓が踏ん張っている今。天后と天空を何とかしなければならない。

その算段を必死に考えたいが、再び霧が辺りに立ち込めてきている。


「・・風よ!!!」


再び隙を生ませないと、純恋が不得意な風を起こし霧を晴らす。

だが、先ほどとは違いなかなか晴れない霧に違和感を覚えると

千夏がすぐさまカバーに入った。


「篠突くしのつくあめ!!」


集めた水分を一気に解き放つと、すさまじい雨が純恋達の肌を襲う。

すると晴れなかった霧が一気に晴れていき、視界を晴らしていった。


「奴は黄砂も扱います。風だけでは視界を奪われてしまうのです。」


見ると雨が黄色く濁っており、ただきりではなかったことを純恋達は理解する。


「ありがとうございます・・・。でも、これで・・・。」


視界を確保できた。騰蛇達は万全に戦える。そう確信した心の隙間、

打開できたという心の安堵に生まれた隙を狙う様に天后が動き出す。


「・・・!?」


油断していた純恋達の体に生まれる鋭い痛み。見ると肌に小さな傷が生まれており、

その中に黄砂が入り込んで傷を刺激している。

なぜこんなことになっているのか。何が起きているのか確認すると、

降り注ぐ雨が純恋達の柔肌を傷つけていた。


「これは・・・!!!」


何が起きているのか理解できない千夏を尻目に、雨を晴らすために純恋が魔術を放つ。


金烏きんう!!!」


辺りの水分を飛ばし、これ以上の被害を抑えていく。

魔術操作を誤ったのかと思ったが、青さんと神融和を行っている千夏が

そんなことをするはずがない。


「・・天后の仕業じゃな。」


「あの神様か?ってことは青さんの魔術操作を乗っ取ったってことか・・・。」


「あやつは航海などを支配する神。水の力の関しては私より上。

しかも・・・風も操りおる。下手な風の魔術を使えばすぐさま奪い取ってくるぞ。」


見ると先ほど起こした風が止んでいることに気が付く。龍穂の影響で強化されている風の力。

そして風の力に長けている楓だからこそ乗っ取られることは無かったようだが、

天空が仕掛ける術に対して生半可な対応はできない。


「相性抜群やな・・・。」


迫ってくる朱雀と玄武が一番の脅威だと思っていたが、むしろ厄介なのは

後ろに控える二柱。あまりに厄介な連携に、純恋達は再び選択を強いられる。


「・・後やな。」


前二人を先に倒すのではなく、後衛を倒さなければ状況は好転しない。

その役目は自分達だと純恋達は狙いを変える。


「ええ。ですが・・・。」


そのためには戦っている騰蛇や楓の間をすり抜けて進まなければならない。

大回りをして近づく選択肢もあるが、時間をかければかけるほど

再度霧や黄砂を展開されて前線で戦う味方を危険に晒してしまう。

最短で動き、敵に援護をさせないほどの圧を与える事が求められる。

この戦いは・・・純恋達にかかっているといっても過言ではなかった。


「・・分かってる。でも・・・。」


やるしかない。そう言いかけた時、純恋に二つの知らせが入る。

一つは頭の中。式神契約によって伝えられた龍穂からの報せ。

そしてもう一つは・・・ポケットの中に忍ばせた携帯電話からだった。


「・・行きましょう。」


二つの報せを確認もせずに純恋は全体に声をかける。

画面も見ずに決断した純恋の中には、不確定ながらも先ほどより遥かに眩い

勝利の光が灯り始めていた。



ここまで読んでいただきありがとうございます!

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