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木星の陰陽師 ~遠い先祖に命を狙われていますが、俺の中に秘められた神の力で成り上がる~  作者: たつべえ
第五章 上杉龍穂 決戦編 第一幕 背中を預けられる仲間達
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第四百話 比留間の死の謎

賀茂忠行が姿を現し、戦いの本格化がすぐそこまで迫っている中。

竜次を見送ったアル達は久しく合う仲間達と再会を果たしていた。


「久しぶりね。」


世界を旅した後、別れた仲間達。散り散りになった仲間達が一堂に会する。


「ええ。”姫様”も久しぶりだね。」


「・・小恥ずかしい事を思い出させてくれるわね。」


同じく耳を尖らせた肌の黒い女性が揶揄う様に返答をする。

それを聞いたアルはお返しと言わんばかりに両こめかみに拳をぐりぐりと押し付けた。


「あだだっ!!!」


「毎回一言多いのよアンタは・・・!!」


痛いともがく光景を目にして、周りからは笑いが起こる。

賀茂忠行の宣戦布告を目にしたにも関わらず、誰一人として過緊張に陥っていない状況は

歴戦の戦士達だと証明している。


「ほら、そろそろ準備をなさい。」


その光景を冷静且つ、笑顔で眺めていたノエルが部隊に声をかける。

ノエルの声は部隊に緊張を与え、先ほどまでの笑顔がやんわりを消えていく。


「えー!やっと合流できたのに早くない?」


「早くなどありません。ドーラ達は既に戦闘を行っています。」


「じゃあ私達が行く必要なくない?ドーラ達ならこの地球上の奴らに負けるわけないよ。」


先程は言ってきた情報では、小競り合いでいけると判断した竜次達が落とし子を

押し込んでいる様で、動く必要がないという意見は筋が通っている。


「それに兼兄と春姉達が情報収集をしてくれるんでしょ?

その報告を受けてから動けば十分なんじゃない?」


「そうはそうです。ですが・・・その報告の中に気になる項目がありました。」


「気になる・・・項目?」


「ええ。それによっては・・・私も動かなくちゃいけない。もちろん、独断でね。」


白の部隊には役割がある。竜次が率いる翼を持つ遊撃隊。

春が率いる日ノ本にいた白達、偵察斥候部隊。


「それっていいの?私達”後方支援”だよ?」


アルが率いるのは神術に長けた者達が集う祈祷部隊きとうぶたい

ノエルが率いるのは魔術に長けた魔導部隊まどうぶたい

どちらも後方支援に長けており、前線に出るにおいて必ず前衛を連れて出る事が

白の規則となっていた。


「それだけ重要な事柄だと言う事です。」


「かなり引っかかるのよね・・・。”比留間刃”が。」


兼定からの報告にあった比留間刃の襲撃。何故かひどく痛めつけられており、

それでも龍穂に襲い掛かってきた。


「比留間って・・・誰?」


「敵の組織である千仞の幹部よ。一体誰に襲われたのかしらね?」


第三勢力の報告はない。例えいたとしても、比留間があれだけボロボロになるほどの実力者が

日ノ本にいたのなら兼定や泰国が見つけていないはずがない。


「敵の幹部だから・・・兼兄じゃないの?」


「馬鹿ね。この報告は兼定自身の口から出たのよ?敵幹部と戦闘を行ったなんて

重要な情報をあいつが隠すメリットが無いし、それに近くにいた春が黙っていない訳が

無いじゃない。」


「兼兄達以外の奴らにやられたなんて・・・誰なのさ。」


「そうですね。それが重要なのですが・・・その推察を行うにあたり、

一つの違和感が鍵になると考えています。」


違和感。本来ならあり得ない事が比留間には起きていた。


「・・なかなか勿体ぶるね。早く言ってくれないと、私達が答えを探しに行っちゃうよ?」


「また・・・やられたい?」


勿体ぶられ答えを欲するがゆえに二人を煽るが、返ってきたのは怒りの両拳。

先程の悶絶するほどの痛みを思い出し、勢いは消え後ずさりしていく。


「比留間の体に起こった異変。それは本来いるはずの神が姿を現さなかった事です。」


「追い詰められていたのに何で出さなかったのか・・・。

龍穂を殺しに来ていたとしたら、出さない理由はないはず。」


「ボロボロになっていたんでしょ?出せるほどの力が残されていなかったんじゃない?」


「そんな間抜けな事を、元業である比留間刃が果たしてするのか・・・。

いや、しないでしょうね。」


「もしそれだけ追い詰められているとしたら、まずは回復を選択するはず。

そこまで追い込まれていた背景があるのかもしれませんが、私はそうは思えない。」


業とは理によって動く。わずかな勝機しかないのであれば、その勝機を高める選択肢を取れと

叩き込まれる。


「あの状態でわざわざ龍穂君の前に現れた理由が必ずある。

そしてそれを考えた時、我々は臨機応変に動かなければなりません。」


本来的である比留間が命を差し出す様な行為に至った理由。

その理由が何を指し示すのは分からないが、アルとノエルの緊迫した表情から

周りの隊員達がその重要性を察する。


「・・でもさ。それだけ重要なら兼兄と春姉達はなんで龍穂と別れたの?」


「彼らは業です。あの場には・・・この国の王がいた。

しかも力を使っている。それは敵の探知に引っかかっているでしょう。」


「だから避難を優先させた。あの人が討ち取られれば・・・

私達はチェックメイトを打たれてしまう。それだけは避けなければならない。」


「皇と共にあの場から離れなかった。それは仕方の無い事なのです。」


皇の死。それはこの国を照らす太陽を失う事と同義。

もし、借りに亡くなったとしても彼にはその血を引く子がいるが・・・その輝きは淡い。

立て直すには時間がかかる。当然、その隙を狙う者や国もいるだろう。


「だから・・・単独行動をするの?」


規律とは安全であり、保身。それを守っていれば最低限の平和を得ることができる。

今までの戦い。そして生活から安全と平和がどれだけ尊いものかを彼らは実感していた。

ふざけ混じりに接していたのは本当にそんなことが起こらないと高を括っていたから。

だが・・・二人の言葉によって、平和が乱れようとしている現実を目の当たりにし、

張り付くような緊張感が辺りを包み込む。


「・・先ほどの通信の最後に、兼定は言っていました。何か起きた時、

自由に動いてもらって構わない。それを咎めることはしないと。」


「みんなの不安も分かるわ。本当なら、こんなことはしたくはない。

だけど、それだけの事態ってことよ。今までみんなが必死に守ってきた規律を破るほどのね。」


呼び出された時点で、彼らは覚悟を決めていた。気が緩んでいた訳じゃない。

いつも通り、いつも通りに全力でやれば大丈夫。今まで築き上げてきた成功体験が

この緊張感から彼らを支えていた。だが・・・それを否定された時、

彼らの体は自然と動いていた。誰かが死ぬかもしれない。自分が死ぬかもしれない。

・・そんなことがあってたまるか。同じ思いをしてたまるか。

そんな怨念に近い思いが・・・戦いの準備へと誘っていく。


「・・もう少し情報が欲しい。」


「分かっているわ。でも・・・考察程度にしかならないけど、いいわね?」


先程とはあまりに程遠い決意を秘めた顔で彼らは頷く。

これ以上、奪われるためにはいかないと。


「・・彼は龍穂に命を奪われることを望んで襲い掛かった。

そうせざるおえない理由を背負っていたと思われるわ。」


「それが何かは分かりませんが・・・肝心なのは龍穂君に倒される事。

それすなわち、他の者から与えられる死を拒んだと言う事です。」


傷をついた状況で姿をあわらしたこと自体が比留間の思惑の内だと語る。

そうでなければあれだけの猛者の行動に筋が通らない。


「だけど・・・その結末は起きなかった。奴は何者かの手によって命を引き裂かれた。

それは比留間にとって、最悪の結末だったんだと思うわ。」


「それが何かは分かりませんが・・・持っていた宇宙の神、オトゥームの力を

見せなかった所を見ると、関係があるのだと思われます。」


「・・・・・オトゥームを奪われたと?」


「恐らく・・・ね。」


オトゥームはクトゥルフの騎士と呼ばれる神。

クトゥルフ自信が傍に置くほどの信頼を寄せた存在であり、その力は強大。


「その方法については深く詮索しません。大切なのはその可能性。

オトゥームが何者かの手に渡った。それだけの力を持った者を、どこに導入するか。

私であれば・・・一番影響力のある場所に置きます。」


皇が地上に残っていれば、兼定達への支援を行っていた。

だが、再び闇に還った状況であればその選択肢はたった一つ。


「・・精鋭部隊を編成するわ。私を長として行動し、龍穂達の支援に向かうわよ。」


動き出した戦場。そしてその裏で蠢く思惑に、アル達は対応を強いられる。

全ては最高の結果のため。そして・・・秩序を保つため。

家族達を護るために、白達は動き出した。



ここまで読んでいただきありがとうございます!

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