表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
木星の陰陽師 ~遠い先祖に命を狙われていますが、俺の中に秘められた神の力で成り上がる~  作者: たつべえ
第五章 上杉龍穂 決戦編 第一幕 背中を預けられる仲間達
398/465

第三百九十八話 国取りの宣戦布告

「初めまして・・・。いや、久しぶりと言った方が正しいか。」


画面に映る賀茂忠行。白い背景がその異様な姿を映えさせている。

本来写ってはいけない化け物が映りこんでしまってるが、放送が中断されることは無い。


「私は賀茂忠行。陰陽という学問をこの日ノ本に広めた張本人であり、生命を超越した者だ。」


自己紹介を行う。自分の存在を日ノ本に広めるために。

今ままで隠れてたが、日ノ本の頂点に立つために前に出てきたという事なのだろう。


「さて・・・この場に出てきたのはほかでもない。

お前達の新たな”王”となる者の姿を見せておこうと思ってな。」


「こいつ・・・。」


・・始まった。いや、ここから始めると言った方が正しいだろう。

賀茂忠行による、日ノ本の制圧が。


「新たなる王とは・・・このわし。”新皇”を名乗るにふさわしいわしがお前達の王となる。」


「もう・・・隠す必要が無いってことか。」


ここまでほとんど姿を隠してきた賀茂忠行がこれだけ大胆に姿を披露している。

短い寿命を延ばすため、配下に俺の命を狙わせてきた。


「・・それだけの準備が整ったようだな。」


俺と真正面からぶつかるほどの力がないと思っていた。

だからこそ、ショッピングモールで現れたのは俺が弱った時だった。


「それが何なのかは分からない。だが・・・。」


長い時を子孫の血肉を啜ってきた奴だ。歴戦の化け物が勧請に流されて決断する事など

絶対にない。


「さて、不満を持つ者もおるだろう。王を名乗る以上、その言葉を無視することはできない。」


賀茂忠行が体を支えている杖の石突で床を叩くと、画面が切り替わる。


「海・・・?」


青く広がる海。東京に面した緩やかに波打つ太平洋がそこには広がっている。


「なので、わしの力を見せつけることにした。」


忠行の声が聞こえる。それは小さな液晶の箱からではなく、辺り全体から。

緊急時などに使われる街全体置かれたスピーカーから奴の声が聞こえてくると、

平和そのものだった海が前触れもなく荒れ始める。


「・・・・・・!?」


そして・・・海の中から現れたのはクトゥルフの落とし子。

ショッピングモールで見た巨人が海から這い出てくる。


「こいつら・・・あの時見た・・・!!!」


「・・いや。あんな”子供”じゃない。あいつ、”成熟した個体”を隠し持っていやがったな。」


辺りに見える建物が小さく見えるほどの巨体。あれがショッピングモールにいたとしたら

天井を簡単に突き破るだろう。

遠近法でそう見えると思いたいが、兼兄の発言がそれを否定している。


「手始めに・・・こやつらを東京で暴れさせる。

この地が江戸と呼ばれる頃から発展し続けてきた都市が粉々になる姿を見てもらおう。」


画面が切り替わる。海と奴らを見下ろす画面。こいつらは・・・東京に上陸しようとしている。


「今すぐいかないと・・・!!」


じっとしている場合じゃない。あれが東京に足を踏み入れた瞬間、崩壊が始まってしまう。

止める戦力は別の場所で活動しているはずだ。

だが、俺が空気と一体になって飛べばまだ間に合う。


「空わた————————」


「待て。」


空気と同化しようとしたその時。兼兄が自身の影で俺を縛り付ける。


「なんで・・・!!」


「手は打ってある。」


画面で奴らが海を歩き、湾岸に足を踏み入れようとしたその時。

巨体を支えていた一本足が爆発する。


「そうだ!!足を狙え!!!」


魔術・・・神術か?強力な一撃は奴の太い脚を破壊は出来ないが、

体勢を崩す事に成功し、荒れた海に巨体が叩きつけられる。


「波が立つが・・・いいのか!?」


「街が踏み荒らされるよりかはマシだろ!!」


画面に映る空に無数の何かが飛んでいる様子が映し出されると、

他のクトゥルフの落とし子達も襲われている。

どうやら飛んでいる何かが東京へ上がろうとする奴らに応戦してくれていた。


「だけど・・・。」


「決定打は打てないな。」


奴らが無防備に片足を上げてくれたはいいが、奴らが持つ固い鱗を身に纏った体に

傷は与えられていない。強力な一撃ではあるものの、これではいずれ上陸されてしまう。


「リーダー!!どうする!?」


飛んでいる何かが叫びをあげると、画面がさらに切り替わる。上空を飛ぶワイバーンの群れ。

他にも背中に翼を生やし、武装した者達が誰かの指示を待っている。


「・・時間を稼ぐ。奴らがその気なら・・・こちらも手を打たせてもらおう。」


そこには・・・冷静に指示を送る竜次先生の姿が映し出されていた。

だが、体には鱗が生えており背中には強靭な羽。そして・・・手や足からは

大きな爪が生えており、明らかに人とは遠い姿と成り代わっていた。


「おっと・・・我らにたてつく勢力が現れた様だな。」


東京は一体どうなってしまうのか?火蓋を切る戦いの最中、再び賀茂忠行が画面に現れる。


「だが、海から出てきた可愛い我が子達はあんなものではない。

これから数を増やし、必ずや東京に足を踏み入れるだろう。

戦っていた奴らも・・・その内に翼をもぎ取られ、呆気なく地に伏せる。

我らにはその力がある。それだけは言っておこう。」


あのクトゥルフの落とし子は数を増やすのか・・・?

そうなれば忠行に言う通り、竜次先生達はやられてしまう。


「だが、一つだけ確実な事を言っておこう。わしの臣下を希望する者には手出しはせん。

それを証拠に、我が軍門に下りし者達を紹介しておこう。」


忠行の言葉に答える様に画面に姿を現した面々。

知らない者もいるが・・・その中に一人には見覚えがあり、仲間の一人と

深い繋がりのある人物がそこには映っていた。


「じいちゃん・・・。」


そう呟いたのは・・・謙太郎さん。

三道省合同会議の時、会を始めて早々に異議を唱えていた人物。


「この者達は、我が国の重臣を務める者達だ。忠誠とは様々な形があるが・・・

この山形上杉は”自らの息子の首を手荷物として”わしの元へやってきた忠義者だ。」


そう。山形上杉家の長であり、謙太郎さんのおじいさん。そして・・・。


「ちょっと待て・・・!」


こいつ・・・今なんて言った?自らの息子の首を・・・手荷物?


「・・・・・・・・・・・・・。」


その言葉を理解できず、思わず謙太郎さんの顔を確認してしまう。

険しく、怒りの籠った表情で小さな液晶から目を離すことは無かった。


「こうした忠義を示してくれるのなら、わしは我が国に誰でも受け入れよう。

差し出すものによっては重臣として傍に仕えさせることもやぶさかではない。」


謙太郎さんの他にも、沖田も同じような表情で画面を見つめている。

並んでいる裏切者を見ると、その中に武道省のバッチをつけている者がいた。


「出来ればそうだな・・・。現在の三道省、その中でも神道省の高官達の首を持ってきた者には

それなりの地位を確約しよう。二道省の高官達でも内容によっては同等のイスを用意する。

そして・・・皇の首を持ってきた者には飛び切りの褒美をつけてやる。

望むもの全て、出来る限りの願いを叶えてやることを約束しよう。」


・・やりたい放題言ってくれる。

この放送は日ノ本中に流れている。三道省の職員どころか、下手をすれば一般人まで

巻き込んだ大混乱が起きてしまう。


「さて・・・最後にだ。我らは今から日ノ本を制圧する。

再びこの放送に同じ画面が流れた時、それは新たな国が誕生したことを示している。

今まで蔑まれてきた者達。分け合って地位を追われた者達。

心に蟠りを抱えた者達へ次ぐ。これが最後の好機だ。

今の地位など関係ない。全てをひっくり返す事が出来る・・・最後の好機。

ここで動く者と動けない者では今後、天と地の差が開くだろうな。」


目尻につきそうなほどの笑顔を浮かべた忠行。

化け物が・・・本当に日ノ本をわが物にしようと企み始めた。


「では、良い報告を待っている。新たな国を共に作り上げよう。」


画面が再び砂嵐に切り替わると、耳に残るノイズも消え去っていった。


「・・・・・・・・・。」


境内内に流れる沈黙。その静けさとは裏腹に、各々が違う感情を抱いている。


「・・・・・どうする。」


とにかく動かなければならない事だけは理解している。だが、やるべきことが多すぎて

何処から手を付けるのが良いのか分からず、兼兄に意見を求める。


「・・ひとまずだ。どう動こうか考える前に、俺達は俺達で成すべきことをしよう。」


そう言うと、兼兄は液晶から目を離して桃子の方を向く。


「改めてだ。頼むぞ。」


東京。いや、もはや日ノ本全域が危機に陥っている。

その中枢。今から激しい戦いが行われる東京には、守り神が必要だ。

桃子と共に将門の方を向く。俺達が見つめる守り神の瞳には、大きな決意の炎が灯されていた。




ここまで読んでいただきありがとうございます!

少しでも興味を持っていただけたのなら評価やブックマーク等を付けていただけると

励みになりますのでよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ