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木星の陰陽師 ~遠い先祖に命を狙われていますが、俺の中に秘められた神の力で成り上がる~  作者: たつべえ
第五章 上杉龍穂 決戦編 第一幕 背中を預けられる仲間達
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第三百八十九話 それぞれの価値観

武田様が打ち立てた策。東京結界修復と平将門の顕現。

この二つがあれば、俺達が戦っても東京は護られるだろう。

その権限を行うために、俺達はスカイツリーを後にしてとある場所へ向かっていた。


「なかなかもどかしいな・・・。」


「仕方がありませんよ。これだけ東京が荒れているのですから。」


限られた人しかおらず、人混みに紛れての移動は難しい。

物陰に隠れるとまではいかないが、目的地に着くまでは徒歩の移動となった。


「しかし・・・”神田明神”か。」


武田様が俺達に命じた将門公顕現。その条件として縁ある場所に行く必要があると

神田明神への移動を命じられた。


「将門公が奉られていますし、呪いを収めるための鎮魂祭を取り仕切った神社です。

深い縁があることは間違いありません。」


平安時代。関東に精力を伸ばしていた平将門は当時の皇に対抗し、自らを新たな皇と名乗って

戦を仕掛けた。その戦いに敗北した将門は首を跳ねられ晒し首となったが、その首が

空高く跳ねあがり神田明神の近くに落ちたという。その場所がかの有名な将門塚であり、

この場所を荒そうとする者には祟りがあると伝承されてきた。

だが、近代化によってその地の開発案が生まれた。伝承は伝承、そう甘く考えていた奴らは

平将門の祟りを受けた。事故で済めば良い方であり、不審死を遂げた者も出てしまった。

この事態を重く見た神道省はその近くにあった神田明神と連携を取り、

首塚の整備と鎮魂祭を開き、そして神田明神の三之宮として奉る事で事なきを得たという。


「そうですね・・・。」


だが、たったそれだけで神の顕現など出来るのだろうか?

それとも、この中の誰かを代償にすることで・・・。


「あんま深く考えたらアカンで。」


この先の事を考えていると、隣で歩く純恋が声をかけてくる。


「平将門をどうやって顕現させるかなんてそいつらが考える事や。

私らは私らのやるべきことをする。そうやろ?」


平田さんと黒川は平さんの弟子だ。平さんの悲願でもあった平将門の顕現について

深く知っているはず。それに比べて俺達は何も知らない。

純恋の言う通り、考えすぎても何もできることは無い。


「私達がいまするべきなのは情報整理。白から指示が出る前に

すぐに動けるようにしておくべきや。」


「確かに・・・そうだな!!!」


俺達ともに着いて来てくれた謙太郎さんが大声で返事をするが、

その瞬間頭に拳が落とされる。


「馬鹿!敵に見つかったらどうするんだ!!」


いつもの様に伊達さんに叱られるが、謙太郎さんはびくともしない。


「あっはは・・・。」


思わず苦笑いをしてしまうが、なんだか懐かしく思えてしまう。

いつもの光景を見て、少しだけ落ち着いてくる。


「・・そうだな。少し整理しよう。」


慌ただしい中で詰め込められた情報で頭の中がパンパンだ。

純恋の言う通り、必要な情報とそうではない情報の整理が俺には必要。

ちーさん達を含めたこの場にいる全員から、

綱秀との戦いの最中で起きた出来事の説明を受けることにした。


————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————


東京結界が破壊された後、深き者ども達を押さえつけることに成功した。

その後、敵の大きな動きはない。


「ここまでして・・・手を引いたなんてことは絶対にない。」


「そうだね。純恋の話しじゃ賀茂忠行は姿を現した。必ず龍穂と戦いに来る。」


「綱秀君を唆し、龍穂君の心を壊すことに失敗した。必ず次の手を打ってくるはずです。」


次の一手か・・・。奴は綱秀を利用し、俺との決戦を目論んだ。

最小限の行動で、最大限の成果を得ようとしたんだ。

まだ手札は残っているはず。問題は・・・その手札が分からない事だ。


「三道省内部の千仞はほとんど排除したよな?」


「ああ。わずかに残った奴らもここを出る前に兼定さんに報告しておいた。

でも、東京が崩壊した後に出張るような肝の小さい奴らや。

私達の前に立って戦うなんてことが出来るとは思えん。」


「じゃあ、残された千仞は・・・比留間ぐらいか?」


「だね~。でもさ、比留間も竜次兄達にこっぴどくやられてるからさ~。

出てきたとしてもあんまり脅威じゃないかもね~。」


となると・・・厄介なのは賀茂忠行ぐらいか・・・。

冷静に考えると、俺達は有利な状況に立っているのかもしれない。

大規模な襲撃だが、俺への精神攻撃や結界の阻害など小細工がほとんどだ。

勝手に奴の手札が多いと思っていたが、強力な一手を打てないほど奴は追い込まれていると

考えていい。それは奴の小細工の多さが物語っている。


「・・もう少し、敵の動きを見たいですね。」


純恋が見た世界では奴にいいようにやられたが、今度は俺達がやってやる番だ。

俺達が有利な状況を作り上げるためにも敵の手札を最大限に減らす必要がある。


「安心しなよ。既に手は打ってあるからさ。」


俺の心中を察したちーさんは口を開きながら地面を指差す。

俺達が歩いている地面に何か仕掛けてあるのかと舗装された遊歩道を見るが、

帰ってきたのはため息だった。


「そこまで考えられるのに、察しが悪いのは変わらないね・・・。」


「えっ・・・?」


「龍穂。何度でも言うが、お前こそが敵の狙いだ。

そんな奴が仲間を引き連れてはいるが、無防備に街中を歩いていると奴らが知れば

どんな反応をすると思う?」


「そりゃ・・・。」


俺を殺し、賀茂忠行がその血肉を啜れば全てが終わる。

寿命を延ばし、勢いそのままに日ノ本を滅ぼす事が出来るんだ。


「・・殺しに来るでしょうね。」


「だろうな。でも、賀茂忠行は来ない。今の龍穂には私達がいる。

護る人が傍にいるから強いと判断したわけじゃないぞ?

私達がいるからこそ、龍穂には多くの選択肢が持つ事が出来るからだ。」


多くの選択肢・・・。目の前に賀茂忠行が現れたら・・・俺は真っ先に逃げるだろう。

当然、仲間を引き連れてだ。この状況では戦えない。

俺と兼兄相手に相打ちできる奴だ。必ず誰かが死んでしまう。


「奴は龍穂を殺すことを狙っているけど、それは最終目標じゃない。

日ノ本の頂点に立つ事こそが真の狙いだ。そのためには”東京を我が物に出来る”

状況を作り上げなければならない。」


「これだけ破壊されていても、その時じゃないという事ですか?」


「姿を現していないという事はそうなんだろうね。

恐らくだけど、東京結界が鍵なんだろう。」


「東京結界・・・。でも、あの時と今も状況は変わらんで?」


「仕掛けた二つの策の内のどちらかが成功すればいいと思っていたのでしょう。

ですが、今はどちらも空振りに終わった。慎重にならざるおえない。」


とはいえ、格好の獲物がこんな状況で能天気に出歩いている所をみすみす見逃すわけがない。


「ということは、動くのは手下という事ですか・・・。」


俺が動くと言う事は必ず何かある事は奴らも分かっている。

何もしない訳にも行かないと残された手札を必ず切ってくる。


「・・大胆な策を取るお方ですね。」


非情に有用な策であると実感していると、沖田が小さく呟く。


「龍穂さんの実力を加味した上で囮として使ったのは分かります。

ですが、龍穂さんが命を落とせば終わりである状況でこんなリスクを取るなんて正気じゃない。」


「公安課らしい考え方だね。リスクを徹底的に排除する合理的な考え。

でも・・・合理なんていうのは秩序があってこそだ。」


秩序か・・・。崩壊した街。溢れるほどにいた人達はほとんどいない。

居るとしたら・・・家の無い人や、この状況をよく思っている奴らだろう。


「秩序とは法だ。法とは人がいなければその意味を発揮しない。

定義する者。取り締まる者。取り締まられる者。それらが無ければ

秩序なんてものは生まれないし、合理的なんて考えは当てはまらないよ。」


「・・少なくとも、日ノ本は国体を維持している。合理的である必要が———————————」


食い下がる沖田の言葉を遮り、ゆーさんが言葉でねじ伏せにかかる。


「日ノ本の国体って言うのは皇が中心の国家の事だよ~。

賀茂忠行は皇の命を狙っているから、それを防ぐこと自体が国体の維持なら

私達の行動も合理的と呼べるんじゃないかな~?」


その言葉を聞いた沖田はただ黙っているばかり。


「・・ちー、ゆー。」


流石に言いすぎただと千夏さんが止めに入る。出来れば俺も反論してやりたいが、

二人の言い分はこの状況においてあまりに筋が通り過ぎていた。

皇がいれば日ノ本は維持できる。それだけこの国においては重要な役割を持っている事は

確かな事実。白として行動していた二人だからこその視点は沖田にとっては

あまりに新鮮だったのだろう。


「・・・・・お前達は元気だな。」


会話に混ざることが無かった平田さんがとうとう口を開く。


「着きましたよ。」


続いて黒川も口を開き、目の前を指差しながら足を止めた。

その指の先には大鳥居が構えられており、その神額には神田明神の名が刻まれていた。



ここまで読んでいただきありがとうございます!

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