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混ざり会う世界~テイマーになったらテイムされた~  作者: からかさ


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202/204

196.虫の山

蝉擬きの声は頭の中で響き渡り、割れそうだった。徐々に吐き気や眩暈がしてくる。立っているだけでもやっとだ。音だけなのに、こんなにも苦しめられるなんて思わなかった。


「にゃあ!」


エリマキも怒って、抗議の声を上げるが、蝉擬きの声の方が大きくかき消されてしまう。


「にゃん、にゃん」


エリマキは手を招くような行動して、何かを伝えたいようだ。もしかしたら、うるさいから俺に耳を塞いで欲しいのかもしれないと思い、彼の耳を俺の手で覆うように塞いであげた。


「みゃ!」

「あれ?」


しかし、エリマキは身体を後ろに引いて、俺の手から逃れようとする。何か違ったらしい。


「みゃん」

「ぅわぉん」


またエリマキの声に、ワダカミが気怠そうに返事をした。

ワダカミは俺の肩に乗っていた前足を動かして、爪で俺の口元をちょいちょいと触る。

口?‥‥煙を吸えってことか?

俺は煙管を取り出して、煙を吸い込んでワダカミにかかるように吐き出した。

ワダカミは腹が膨らむほど息を煙ごと吸い込んだ。


「ワオオオオオオオオオ」


ワダカミは森中に響き渡るほどの遠吠えをする。耳元での遠吠えはうるさかったが、蝉擬きの声はワダカミの声にかき消されて、一気に静かになった。体調も一気に回復する。


パタパタ


草むらに何かが落ちる音が聞こえる。一つじゃない、もっと数が多い。


「みゃん!」


エリマキは目を輝かせて、草むらに潜ってどこかに消えてしまった。と思ったら、すぐに何かを咥えて戻って来た。


「げぇっ」


それを見て、俺は顔を顰めた。それは蝉擬きだった。ピクピクと足が動いているのを見るに、まだ生きているらしい。

エリマキはそれを置き、草むらの中に潜っていき、また虫を取って来た。さっき虫を置いた場所に置き、それを繰り返し、あっという間に蝉擬きの山を作る。


「エリマキ、それはもう良いから、こっちにおいで」


手招きして呼ぶ。しかし、エリマキは虫の山を何度も見て名残惜しそうにしている。


「エリマキ!」


ちょっと強い口調になってしまったが、俺は早くここから抜け出したい。生きているということは、また動き出して鳴き出してしまうかもしれないし。もう一度あのうるささは耐えたくない。


「にゃぁ‥‥」


エリマキはしょぼんとした声で返事をする。ゆっくりと俺のもとに向かって歩き、俺の腕を伝って渡り首に巻き付く。


「んみゃあ」


丸まりながらも、エリマキは首元で不満なのか、文句なのか分からないが、みゃあ、みゃあと鳴いている。

俺は慰めるようにヨシヨシと頭を撫でた。そして、俺は虫の山から遠ざかるように反対側に歩き始める。


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