18.昨日頼んだもの
玄関の靴置き場の隣に小さなエレベータがついており、そこから注文したもの、或いは個人宛の宅配便(検分済み)が届く。青い小さなランプがついていると荷物が到着したと分かり、注文したものは基本的に次の日には届いている。
「ん、届いているな」
エレベータから段ボールを持ち出し、中身を確認する。
牛乳とチーズを冷蔵庫にしまい、ピザ作りに取りかかる。タブレットのレシピアプリを開き、ピザを検索する。中々に本格的なものまで乗っているので、俺は重宝している。作り方見るだけでも楽しいからな。
強力粉は多め、薄力粉は少なめ、ドライイーストは適量、塩と砂糖は少量、サラダ油はたらーっと。んで、コネコネする。
雑い?残念ですがある程度、はかりにかけてるし、粉はきちんとふるいにかけてますよ。ハッハッハ、めんどくさいぜ。それでも気分転換には丁度良い。
生地がまとまり粉っぽくなくなったら、生地を3等分に分けてそれぞれにラップをかけて、放置。
「これで昼には食べられるな」
板チョコの銀紙を少しだけ剥いて、一口かじる。俺の好みはブラックだ。苦味の中のほんのりの甘さが口の中で溶ける。
タブレットから貢献度順を確認する。1位はミカヅキ、2位はヨル、3位がサカヅキか。サクラさんはどうしたんだろうか?ウーン、考えても仕方がないな。俺達も他人のプレイヤーの映像を見れたらいいのに。まぁ、プレイヤーの差別化をはかる為なんだろうけど。
タブレットの電源をオフにする。もう十分休憩したけど、まだ整理がついてない。
あー、何だか億劫になってきたな。先生に会いたくないぜ。DWMって規制ってもんが無いのか?もしかしてDWMの中はなんでもアリ状態?あの血みどろ作り出しといて(俺のせいじゃないけど)、注意のメールすら届いてないもんな。自由が過ぎるぜ。
大鬼族を食うことまでは許容範囲だったんだけど、んー、どう解釈したらいいんだろうか。自分の気持ちと相反しようが、理由があれば納得出来るんだけどな。
というか、俺、DWMの中で犯罪者認定されないか?そっちの方が怖くなってきたな。ゲームの中で村八分とか嫌なんだが。先生がいるから(捨てられなきゃ)1人にはならないけど、ん?
「そっか、先生がいるから何も怖くないじゃん」
グロ?倫理?そんなもんは全部放って置けばいい!先生といればモフモフが味わえる!村八分だろうが、お尋ね者になろうがドンと来い!こっちには若干チートの先生がいるぞ!先生万歳!!そう、モフモフと暮らすにはあの命達は邪魔だったのだ。良し、これでDWMを楽しめる。
妙な興奮に襲われる。虎の威を借る狐ってこんな感じだったのだろうか?
「先生万歳!」
命を簡単にほふる先生がなんか、魔王になる主人公みたいに見えてきた。カカオ君と違ってカッケーしなぁ。最弱のスライムから成り上がり魔王道を行く主人公。俺はそのお供モブか、四天王最弱のどっちかか!
あることを思い付いて俺はフラりっと倒れるフリをする。片手で顔を押さえて、台詞を言う。四天王最弱ごっこですよ。
「くっ、流石だな勇者よ。だが俺は四天王最弱、ここから先は俺よりも強い奴がいるぞ。ハハハハ、貴様は魔王には勝てない。···で、魔王の弱点なんかを喋っちゃたりなんかすると」
勇者は誰とか細かいことは気にしない。どうせ魔王になったら倒すやつが出てくるんだから。
良し、目指せ先生魔王化!そして、俺は四天王入りを目指そう。とても遠い目標になる気がするけど、気にしない事にしよう。あー、その前にあの世界に既存の魔王がいるのか?情報収集もしなきゃ。既存はいたら、邪魔だから誰か消してくんねぇかな。一番、確実なのはミカヅキ君か。あそこら辺のパーティがさっさと魔王に凸して、倒すんだろうな。なんせ、貢献度1位だしな。つまり先生を倒すのはミカヅキさん?うへぇ、プレイヤー同士が争うってなんか嫌だな。まぁ、魔王に立ち向かうなら、四天王最弱として振る舞うのも悪くないかな。
立ち上がり、いつの間にか平らげていていたチョコレートの銀紙をぐしゃぐしゃに丸めて、ゴミ箱へシュート。外れて拾い、普通に捨てのはご愛嬌。




