193.探索開始?
寝転がって、草をむしって、どうにか心臓を落ち着かせた。
未だに体に乗せていたワダカミを横に置き、俺は向き合って座る。ワダカミには、身体を起こす力は無いのか、地面に大の字になっている。その姿は大富豪のトラの絨毯のようだ。
「ワダカミさん、勝手にジャンプするのは止めてください」
結構強い口調になってしまったが、これだけは聞いてもらわないと、俺の心臓がいくつあっても足りなくなる。もしかしたら、ジャンプが使える時があるかもしてないが、勝手にされるのは困る。そんな時は来ないで欲しいけどなぁ。
ワダカミは怒られたのかと分かったのか、前足で目を隠して耳をぺたんと下げている。
俺ははぁと、ため息を吐いた。まるで俺の方が悪いことをしているみたいで、これ以上言う気にはなれなかった。
もう良いよと思いながら、ワダカミの頭を撫でる。ワダカミの毛並みはガサガサで手のひらがチクチクと痛かった。これは梳かしてあげないと。
「ミャ―」
ワダカミを撫でていると、エリマキが鳴きながら、俺とワダカミの頭の間に体をくねらせながら、割り込んできた。
仕方がないので、エリマキの頭もぐりぐりと強めに撫でてやる。
「ところで、ここはどこなんだ」
ワダカミが着地したところは、湖でも小屋でもない。俺達が着地した所以外は辺りは木々や草で埋め尽くされている。どちらに近いのかも分からない。
「どうしようか。うーん」
先生に助けを呼べば簡単に分かるのだろうけど。それどころか、多分、エリマキ達に聞けば、案内してくれそうな気もするが、ここは‥‥。
「探検するか!」
もしかたら、良いもの、例えば宝箱とか見つけたりするかもしれないし!何より、エリマキとスネアテがいるから怖いものなし!ワダカミと戦った時、あれだけ強かったんだから、大丈夫だろと俺は楽観的に考える。
俺はワダカミを背負い、エリマキも首に巻き付ける。
シュー
スネアテが鳴いた。
「どうした?」
俺はズボンの裾をめくるってスネアテを確認しようと思ったら、何かがスッときらめいて、目の前の草が切れて、俺の肩くらいまで長かった草は、俺の足首のあたりくらいの高さになっていた。
この犯行は誰が行ったか、推理せずとも分かった。犯人はスネアテだ。その証拠に俺の足に巻きついたまま、尻尾だけを揺らめかせている。
きっと俺が歩きやすいようにしてくれたのだろう。ありがたい、ありがたいのだが、‥‥これ、俺がスネアテを見ようと頭下げてたら、頭も草と一緒にバッサリいってたな。
シュー
「うん、ありがとうね‥‥」
今日だけで何回命の危機を味わえば良いんだろうか‥‥。




