184.二人の連携
先生に倒された大きな体は、ゆっくりと上半身を起こした。グルッという低い音で鳴く。それから、赤い色に光る目は辺りを見渡した。
俺は思わず、息をひそめた。無意識に気配を消そうと思ったみたいだ。そんなことは無駄と分かるはずなのに。
獣は足に力を入れて、突進した先は炎があった。その炎をまるで、水を飲むかのように食らっていく。獣が食うごとに、身体から炎が噴き出る。しかし、その炎も一瞬で、塗りつぶされるように黒い靄に変わっていく。
もしかして、回復してるのか?それともパワーアップしているのか?
「それなら炎を全部食べちゃう前に止めないと‥‥」
先生をチラリと見るが、残念ながら、手伝ってくれる気はないみたいだ。どうすれば。エリマキやスネアテはやる気満々だけど、勝てる気がしない!!俺も煙はもうずっと前から吸ってるけど、これはもう無理ゲーでしょ!!!
思い出せ!どうやって、エミルやスネアテは‥‥。いや、参考にならなかったわ。
俺がモタモタしているうちに、エリマキは獣に襲いかかる。大きな蛇の姿で、首に巻き付く。けれど、獣には平然と食らい続けている。
少しずつ小さくなっていく炎に気持ちが焦る。その焦りは俺から思考を奪わっていく。
「せんせい、教えてください」
はぁ
そのため息から、落胆していることが伝わって、胸が痛くなる。
「口を封じれば良いだろうが」
なるほど!その手があったか!
あの獣は、今ご飯に夢中で、首を絞めているエリマキを気にしていない。そのまま口元を締め付けてしまえば、止められる。
「エリマキ!そのまま、口元も締め付けろ!!!」
エリマキは俺の言う通りに身体をくねらせて、獣が気づく前に、口元を締め付けた。口が開かなくなったことで、獣は前足で引き剝がそうとしている。ガリガリと、引っ掻かれて、エリマキの身体が傷ついていく。
このあと、どうしたら。俺が、考えていると、スネアテがシューっと体を鳴らす。
「スネアテ、出来る?」
スネアテは俺の考えが分かったように、飛び出していった。獣は今、エリマキを排除しようと集中している。
忍び寄るスネアテは、獣の身体に纏わりつく。鱗の刃を立てて、這いずり回る。少しずつ切り傷が出来る。そこから、血が流れた。スネアテを剥がそうとして、ブルブルと身体を揺らしたり、後ろ足だけで立った後に前足で着地してその衝撃で飛ばそうとしたりと、いろいろ試していた。しかし、スネアテは落ちることは無かった。
その間もエリマキも締め続け、獣はとうとうバランスを崩して倒れた。




